「綾世さん…もう……」
横になっている莉央が浅い息遣いを漏らしている。
莉央の大きく張り詰めたものを綾世は口に含んでいた。
「や、ら…」
「ぅ……ヤバイですって…」
どくんとさらに口の中で莉央が大きくなる。
莉央のものを口に含んでるだけで触れられてもいないのに綾世自身ももう張り詰めそうな位大きく興奮していた。
莉央の上気した表情が嬉しい。自分に感じてくれているのが嬉しい。
ただヤられるだけがセックスじゃなかったんだ…。
自分はどれだけ偏見に偏っていたのか。
莉央とのセックスは満たされる思いでいっぱいになる。
身体も精神的にも。
「綾世さんっ…でる、から」
「いい…」
莉央を含んだまま答える。
莉央が綾世にしてくれるように舐めて手で扱く。
もっと感じて欲しい…。
舌先で莉央の先を刺激する。
「あ、ぁっ……」
横になっていた莉央は身体を起こしてそして手を綾世に伸ばしてくると綾世から声が漏れた。
「綾世さんも俺の舐めて興奮してるんだ…?先滲んでますよ?」
だから、言うな、と言うのに!
「あっ…」
莉央が綾世を刺激してくる。
「や、ぁ……だ、め…」
思わず莉央を口から離してしまう。
「お口が留守になってますよ?」
「だっ…てっ!…莉、央が……あ、あ……」
莉央の手が綾世をいつもの様に煽ってくる。
自分がしたかったのに。
莉央が綾世に触れていれば神経がそっちに向かってしまう。
「だめ……ぁ…」
口に含もうとしても莉央の刺激につい声を漏らしてしまう。
「だめです。もういいから…これ以上されたらホントもたない……綾世さん」
莉央は綾世を横にした。
「きもち、よく…ない…?」
「反対ですって!何言うんだか、この人は…」
莉央が苦笑する。
「綾世さん、先に一回イっとく?」
綾世は首を横に振った。
「……一緒にイく?」
「んっ…」
「ああっ!もう…ホント可愛いんだから…」
莉央がキスしてくるとその舌に綾世も応える。
さらに莉央の指が綾世の後ろを探りつぷりと中に入ってくれがさらに身体はざわめく。
「あっ……」
ひくりと身体が揺れる。
もっと…欲しい…。
身体だけの生理的な快感とは全然違う莉央とのセックスはいつも感じすぎる位でおかしくなりそうになる。
足りない…。違う…。
指じゃなくて、莉央が欲しい…。
苦痛でしかなかった行為が今は貪欲な欲を孕んで莉央を求めている。
「莉、央…っ」
「うん…綾世さんの中ひくひくしてますよ…?」
「だ、から…そんな、こと…」
言うな、と言うのに!
莉央がくすくす笑う。
「だって、顔真っ赤にして可愛いんすもん…。それなのに中は早くって言ってる…」
「言って、ないっ……!」
「嘘ばっかり…」
「あ、ぅ…っ」
くいと莉央の指が奥まで入ってくると思わず身体が震えた。
もう分かっている。
これから強烈な快感が綾世を包むのだ。
身体が期待に震えている。
ゆるゆると莉央の指が綾世を刺激する。
「ほら、締め付けてる…」
だから!言うなって…言ってるのに…っ!
き、っと思わず莉央を睨むと莉央は笑うだけだ。
「だから、睨んだって可愛いだけだって言ってるのに」
ちょんと莉央がキスするのに綾世は莉央の首に腕を巻きつけた。
いつもいつも余裕のない綾世は莉央に笑われてちょっと悔しい。
莉央を出し抜くにはどうしたらいいのか…?
「莉央…早く、欲しい……莉央の……入れて……?」
こんな事絶対言わないのに!
莉央が焦るところを見たくて綾世は思い切って口にしてみる。
「ぅ……綾世さん……ヤバイ、って……」
莉央がぐぅっと声を詰まらせて焦燥感を浮べたのに綾世は満足する。
いつもいつも莉央は余裕な感じだったのをやり込めた気分になった。
してやったり、と綾世に笑みが浮かぶと莉央はがりがりと頭をかいてそして笑った。
「いいですよ?もっと言って?いくらでも」
「あ、ああっ…っ!」
すぐに自分を取り戻した莉央が綾世の中に入ってくる。
大きな質感…。でもそれはいつも綾世に充足感を与えてくれる。
「…ゆっくり出来ないです、もう」
莉央が激しく腰を動かし律動を繰り返すと綾世の嬌声は止まらなくなる。
「一緒に<いきましょう>……ね?」
いきましょう?
達く…と違う含みを感じた。
生きる?
行く?
「莉、央…?」
揺さぶられる中で莉央を呼んだ。
…全部の意味?
聞きたかったけれど、快感に支配された身体は莉央のされるがままに翻弄され、莉央を感じ、何も考えられなくなる。
でも、きっと莉央は全部の意味をこめて言ったんだ…。
綾世がそう感じたのだから。
きっと…。
テーマ : BL小説
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