「綾世さん、風呂いきますよ」
「え?」
「アイツに触られたとこ洗ってあげます」
「別に…ないけど…」
綾世の言葉なんて莉央は聞かないでずんずんと綾世の腕をとって風呂場に行くとすぐに綾世の服を剥いでいく。
「それと、すみませんけど、俺余裕ないんで」
「余裕?」
一体何が?
全然分からない。
「莉央…?」
莉央が全然綾世を正視しない。そして話をさせてくれない。
「莉央……見ろよ…」
「ん?なんです?」
やっと莉央が綾世を正面から捕らえた。
「ちょっと待って下さい。今、自分を抑えてるんですから。綾世さんは身体冷えたでしょ。はい、ほら入って温まってて下さい。俺もすぐ脱いで行くから」
莉央が浴室に押し込めてくるのに綾世は頷くしかない。
まだ礼も言ってないのに…。
そして言った通りにすぐに莉央が入ってくる。
「洗ったげます」
「い、いい…自分で…」
「ダメ」
莉央が今日は強引だ。余裕がない、とさっき言っていたけれど…。
どこか焦燥感を漂わせている莉央に黙って綾世は身体を任せれば、莉央は満足そうだった。
湯船に入っても莉央はずっと綾世の身体を離さない。後ろからずっと抱きすくめられていた。
キスをかわしながら綾世が口を開いた。
「莉央……礼もまだ言ってなかった…ありがとう」
「…当然ですから。……でも俺、かなり焦ったんですからね。帰るのメールきたのに帰ってこないし、店の電気は消えてるし、電話して…」
「うん……莉央…ありがとう…」
「綾世さん…していい?」
莉央が綾世の項にキスを何度も繰り返しながら聞いて来た。
「……ここ、で……?」
「うん。我慢できそうにない…声響くから我慢して下さいね?俺は聞きたいけど…」
莉央のモノがすでに大きくなっていたのには気づいてたけど…。
「ぁ……」
莉央の怒張した自身が綾世の後ろに当たっている。
「綾世さん、向き、こっち向いて?キスするのに首痛くなっちゃうから」
「ん…」
湯船のお湯の音までもが艶めかしく聞こえてくる。
莉央のマンションのお風呂は大きめで贅沢だ。綾世は実家を出てから今まで自分の帰るアパートに拘った事などなかった。ただ寝られる場所なだけだったのだが、莉央といるようになってからは違う。
誰かが待ってくれている帰る場所があるのがなんて幸せな事だと思うようになった。
「んっ…お湯、が…」
莉央の指が綾世の後ろを探って入ってくるとお湯まで入ってきそうに感じた。
でも莉央はもう性急に指を埋めている。
向きを変え、莉央と向かい合わせになった綾世はぎっと莉央に抱きついて縋った。
そのまま莉央は自分を綾世の中に進めてきた。
「すみません…綾世さん…綾世……痛くない?」
「…ない、よ…」
いつもより性急だ。キスも荒荒しい。腕にも力が入っている。
名前を呼び捨てにされるのにも、どれにも感じてしまう。
「…いい、んだ……莉央の好きにして…」
「ダメです。そんな事言っちゃ…ひどくしたいわけじゃないんです」
「莉央はひどく、なんてしない、から…」
「あ~~~、もう…綾世さん、俺、ほんともうダメみたい…」
莉央が腰を衝いてくるとお湯が揺れる。
声が出そうになって莉央にキスした。
「ゴムつけてないけど…中に出していい?あとでちゃんと流してあげますから…」
「…んっ……いい……」
「ああ…綾世さん…」
「り、お……ぅ、ん…っ!」
互いを貪り合うように夢中に求めた。
どうなるかと思ったけれど、莉央は離さないでいてくれる。
「…愛してます。何あったって離さないですから覚悟してくださいね」
「……り、お……嬉し、い…」
「だから、そんな事言っちゃだめですよ…」
莉央が激しく突き上げると綾世の中で熱い飛沫を放つ。
でもまたすぐに力を取り戻す。
「ん~~~…明日綾世さん大丈夫かな…?」
「暇、だから…いい…」
「また、そんな事言って煽ってくるんだから…知りませんよ?」
何度も何度も互いを確かめるように抱き合った。
「綾世さん…大丈夫ですか…?」
のぼせてしまったのと、何回も莉央を受け入れたのにくたりとしてしまった綾世をベッドに寝かせ、莉央は心配そうに綾世の傍らにいた。
「…大丈夫」
綾世が答えると莉央は綾世を抱きしめた。
「…よかった……。綾世さんが俺の手に戻ってこなかったらどうしようかと思いました」
「戻らない?どうして?……莉央は僕が離れると、思って…?」
「そうじゃないですけど……もう気が気じゃなくて…事故るかと思いましたよ。……これから帰りは毎日店まで迎えに行きます」
「いいって」
「ダメ!俺が安心出来ない!…心臓に悪いです、ホント…」
莉央が溜息を大きく吐き出した。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学