花束も綾世のプレゼントもマフラーも全部ダイニングテーブルに置いて、莉央はすぐに綾世をベッドに誘(いざな)った。
「り、おう…」
「ん?なんです?もう待てないです」
「だって…」
莉央がキスしながら綾世の服を脱がせていく。
部屋は暖房をタイマーにしていたのかすでに暖かくなっている。
「メリークリスマス…プレゼント、嬉しかったです。でもいいんですよ?綾世さんが裸で自分にリボン巻きつけてプレゼント、で」
「するかっ!そんな事っ」
何バカな事言い出すのか。
たまに莉央はそんなバカな事を言い出す。
「真面目なんだけどな?」
莉央が首を捻る。
「僕も、嬉しかった…。首が寒いって…思ってた。……僕が寒いと思った所全部を莉央が温めてくれる…。心も身体も…」
「……そんな風に思われるの嬉しいです。いくらでも温めます」
莉央の手が綾世の肌の上をなぞっていく。
もう幾度となく莉央に抱かれている。
それでももっと欲しいとも思ってしまうのだ。
莉央の手が唇が綾世の全部を知っている。もう知らない所なんかないだろう。
それでも、だ。
「綾世さん…綾世……」
「ぁっ!…」
誰かとプレゼントを交換して特別なクリスマス。
誰かと、じゃない…恋人…か…?
かぁ、っと身体から耳まで熱くなってくる。
「綾世さん?どうかしました?」
自分で思ってうろたえてしまった綾世に莉央が不思議な顔をした。
「え?あ、…いや、…」
「どうしたんです?何慌ててるの?言って?」
言ってみてもいいだろうか…?
「その、僕は…莉央の…恋人でいい、のかな、と」
「はぁ!?」
莉央が眉を顰めた。
…え?違うのか?
そして莉央は綾世の身体から手を離してベッドに座り込むと頭を抱えた。
「莉央…?」
綾世も起き上がって莉央を覗き込んだ。心配になった。
違うのか?こんなこと思うのがやっぱりおかしかったのか?
「………あのね…綾世さん、恋人じゃなかったら一体なんなんですか?」
「え?…………いい、のか?」
「いいのか?じゃないでしょ!何言い出すんですかあなたは!……ああ、すみません…なし崩しに俺が綾世さんをお持ち帰りしてここに無理に住まわせたからですね」
「ちがっ!」
綾世は慌てた。
「そんな…つもりじゃ…」
「恋人だと思ってたのは俺だけですか?」
「莉央…そうじゃ…僕、だって…」
莉央が落ち込んだように言うのに綾世は首を横に振った。
「だって…まだ信じられなくて…」
「俺を?」
「ちがう!僕を…その…大事に…思って、くれる人がいるっていう、のが…だ」
はぁ、と莉央が溜息を吐き出した。
「大事ですよ。何よりもね。言ってるでしょう?綾世さんが大事です。大切です。好きです。愛してます。オッケーですか?大事な恋人です。お付き合いさせて下さい。あとはプロポーズ位?それは虹をまた一緒に見た時にします」
「………見なかったら?」
「見なかったら?前にもいいましたけど、見ても見なくても一緒にいるのは変わりないですから」
当然のように莉央が言い切るのに綾世は大きく目を見開いた。
「見ても、見なくても…一緒…」
「ええ。……ホント、綾世さんには驚かされてしまいます…勘弁してくださいよ…。俺の一人よがりかと思いました」
「…ごめん…。莉央…」
莉央が自分の唇を指差した。
「キスしてください」
綾世は莉央の頬を手で挟んで唇を重ねた。
「莉央…好き、なんだ……ごめん」
「ごめんってなんですか!ほんとにもう!…ごめんはいりません。じゃあ俺も言いますよ。綾世さん好きでごめんなさい」
違うと綾世が首を振る。
「分かりました?」
「だって莉央は…」
「あのね、お互いが好きになってるんだからごめんはいらないでしょ。謝るのなしです!いい加減怒りますよ?そんな事言うんだったら愛してるの方がいいです。もしくは何も言わないでキスで」
「ん…」
綾世がやっと小さく頷くと莉央は満足そうに息を吐き出した。
「綾世さん~~~…お願いしますよぉ…ほんともう」
「え、と…ごめん…。莉央…その、愛して、る…」
そして綾世は莉央にキスすれば莉央が綾世の舌を捕らえて絡め深いキスを交わした。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学