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2013.03.30(土)
「エロ~」
「ふざけないで!」
「いいじゃん。エロくて!」
バスルームがガラス張りなのに宗の顔がご機嫌に笑ってた。
「ねぇ…一泊ここいくらする、の…?」
「さぁ?知らん」
さっきみたいな宗が怒っているような状況も以前だったらきっと宗に萎縮していたかもしれない。でも今は普通だ。
宗が心配してくれたんだ。
そしてそれが嬉しい。
前は宗が怒るのが怖かった。でも今は宗が心配して怒ってるのが分かる。
「いいのかなぁ…」
「いいだろ。ああ…あのプライヴェートの電話かけてやれば?ありがとうって。またよろしく、って言っとけ」
「言わないよっ!」
ルームサービスを食べながら宗とじゃれる。
そのままキスしてお風呂入って抱き合って。
思わぬ幸せな時間を過ごしてしまった。
宗の腕はいつも瑞希を捕まえていてくれる。
「ん…」
目を開けるとすでに宗は目覚めてたらしい。
すぐに瞼にキスされた。
「よく寝られたらしいな?」
「うん……ん……?」
「なんだ?」
「あの…ここ、お父さんの支払いでしょ?」
「だろ」
「二階堂社長の…ってベルボーイが言ってたんだからお父さんって分かられてるんだよね?」
「だろうな」
「それで…男二人で泊まって…ベッド…ベッド……?」
「初めからダブルだけど?ダブルって言うかキングサイズ。今更言ったって遅いだろ」
宗がくっくっと笑っている。
「ほんと瑞希って面白いよな。そんなの気にする事ないのに」
「普通は気にすると思う!宗とかお父さんの方が絶対おかしいよ?」
「慣れろ」
「無理だと思う」
くくくっと宗が笑ってる。
「だから可愛いっつぅんだ。お前は…」
ソレ違うと思うけど…と瑞希は思うけれど、宗が瑞希の顔のあちこちにキスしてくるのに瑞希もくすぐったくてくすくす笑った。
「ん…?」
宗と瑞希の声が重なった。
瑞希の携帯が鳴っている。
「誰?」
今日は土曜日。瑞希に電話をかけてくるような人はいないはず。
「あ、れ…明羅くんだよ?…もしもし。……え!?あ、うんっ!分かった。急いで帰るね。うん。ごめんね!……宗!帰るよっ!明羅君ウチの前にいるって」
「はぁ?なんで?兄貴は?」
「なんか明羅くん、一人で前の便で帰ってきちゃったらしいよ」
「は!?」
「早く!早く!」
瑞希はばたばたと着替え始めるけれど宗は嫌そうな顔。
「なんだよ…せっかくゆっくり出来るとこだったのに」
「いいから!ほら!」
瑞希に急かされて宗も仕方なく着替える。
「迷惑な奴だな」
「……………俺、話聞いてるけど、宗はそんな事言えないと思うけど?」
ちろりと瑞希が睨むと宗は頭をかく。
「…仕方ねぇな」
ちっと宗が舌打ちし、そして慌ててホテルを出た。
運転は宗に任せて、その車の中で瑞希は宗のお父さんに電話をかける。
土曜日なのに宗のお父さんはすぐに電話に出てくれた。
宗と同じように低いいい声ではい、と声が聞こえる。
「昨日はありがとうございました」
『なんだ?もうチェックアウトしたのかい?』
「はい。あの明羅くんから連絡来て!帰ってきたみたいなんです。それでウチの前にいるって言うので」
『そうか。今度明羅くんと二人で遊びにでもおいで』
「…はぁ」
二人で遊びにって…何して遊ぶんだ?
『怜もか?』
「それが怜さんと別で帰ってきたみたいなんです…だから今俺達帰ってるとこなんです」
くすくすと電話口でお父さんが笑っていた。
『まぁ、何かあったら電話よこしなさい。明羅くんにも言っときなさい』
「はい。あの…ありがとうございます」
じゃ、とお父さんが電話を切る。
宗のお父さんの声が優しい。思わず瑞希が笑みを浮べると宗がむっとした顔をしていた。
「なんでそんなに親父に懐いてんだ?」
「え?だって宗と似てるもん…。カッコイイよね…。宗もああいう感じになるのかなぁ、とか」
「似てる…は嬉しくないんだけど」
「ええ~?そうかなぁ?優しいし、声もいいし」
「…………瑞希、おかしいかも…。ああ…俺の事優しいとか言ってる時点でおかしいからな…」
「なにそれ?おかしくないよ?宗はかっこいいし、優しいから」
「……瑞希がいいならいいけどな」
「いいよ。だって俺、宗しかいらないし」
「………うん、俺もそれだけ言ってくれるの瑞希だけしかいないと思う」
宗がしみじみと呟いたのに瑞希がぷっと笑った。
「そんな事ないのに」
瑞希に宗は勿体無いのに。でももうダメ。宗は瑞希のものだ。