「岳斗」
千尋先輩の手が待ちきれないと言わんばかりに岳斗のTシャツを脱がし、自分も脱ぐ。
クーラーは高校に合格してつけてもらったから二階でも岳斗の部屋は快適だ。
「千尋先輩っ」
会いたかった。
誕生日の時から会ってなかったんだ。
たった5日なのに。
もうこんなに足りなくて来年になったら本当にどうするんだろう、と思ってしまう。
交通費の分だけ考えればバイトで貯めた分で月に1度は行けるだろうか?
高速バスだったらもっと安いだろうけど時間がかかりすぎるしやっぱり新幹線だ。
そんな、今考えても仕方ない事を色々と考えてしまうけれど、今は今だ。
千尋先輩の目が、手が、身体が、岳斗を欲しいと思ってくれているのが分かればもう今は何も考えられない。
千尋先輩の大きな手が岳斗の頬をなぞり、包み、指が唇をなぞって、そして合わされる唇。
「ん……は……っ……ぁ…」
貪るように千尋先輩の舌が岳斗の口腔を嬲り蠢く。
絡めて吸い上げられるだけでもう岳斗の身体は反応してしまっている。
「…ちひろ、先輩…」
ちょっと汗ばんでいる千尋先輩の髪をかきあげるてやるのが好きだ。
前髪が上がると凛々しい眉と瞳が露わになる。
ほつれて額にかかる前髪もさらに岳斗の心をぎゅっと鷲掴む。
「はっ…」
千尋先輩からも短い息が漏れるのに感じてくれていると分かればもっと感じて欲しいと思ってしまう。
自分なんかでいいなら…。
言葉もなくただ互いを貪る。
唇を交わし、肌を感じ、手で触れ、熱を感じる。
「ぁ……っ」
千尋先輩の唇が岳斗の耳朶を食み、それから首筋を移動していくのにぞくぞくとこれから来る快感への期待感に岳斗の身体が反応してしまう。
誕生日につけられたキスマークはもうなくなっている。
日々薄くなっていったそれにその位会ってないんだと言われているようで切なかった。
「…つけ、てっ」
「ぅん?」
「いっぱい…消えないように…つけてっ…」
岳斗が訴えると千尋先輩が岳斗の胸の辺りを痛い位にきゅっと吸い上げた。
「あ、あぁっ!」
それだけで歓喜が湧く。
いっぱい欲しい。千尋先輩の痕が!
「っとに…お前は……」
あちこちをきゅうっと吸われる。
その度に岳斗の口から嬌声が漏れ、身体がびくびくと反応してしまう。
「あ、はっ……い、た……ぁっ!」
「…敏感、だな。……待ってた…?」
「…ってた…よ…っ!や……こ、え……ん、んんっ!」
あまりにもよすぎて、感じて、出すぎる声に岳斗は口を押さえた。
「声聞かせろ…」
鎖骨から下に向け、なにもない平たい胸の周りまで吸われるのが続く。
片方の胸の尖りは千尋先輩の指によって刺激され、さらに身体は敏感に反応してしまう。
「こ、え…はずか、し……」
「恥ずかしい声だからいいんだろ」
千尋先輩がくっと笑って岳斗の耳元に囁く。
千尋先輩の岳斗の耳に響く甘い声。
毎日携帯に入れた千尋先輩の声を聴いていた。
何度も何度も。
でもやっぱり直接耳に響く声には勝てない。
そして耳に舌を差し込まれ、耳の中に水音が響く。
「や、ぁっ……」
まるでいやらしく舐められている音のようなくちゅくちゅという音が直に聞こえるのに背筋が震える。
「…やらしい…岳斗」
うっすらと目を開けてみると千尋先輩の頬も上気している。
「ち、ひろ…せん、ぱ……い……っ!…やぁ…コレ…」
「やらしい音すんだろ?」
さらに胸の飾りを摘まれてくり、と捏ねられるのに声が上がってしまう。
「岳斗…」
「や、だ……イ、きそう…」
まだすっかり勃ちあがった自身に触れられもしていないのに千尋先輩の言葉と声だけで感じすぎる身体は熱の放出を訴えていた。
「なんだ…?これだけで…?」
「だって……っ!」
ついと千尋先輩の手が伸びて岳斗に触れた。
「本当だ…先から物欲しそうに垂れてるな、もう…」
「や、だっ…言わない、で……っ!」
意地悪だ…。
目を開けて千尋先輩に訴えれば千尋先輩は楽しそうにくっと笑う。
「いい。岳斗…。いくらでもイっていいんだ。時間はたっぷりある」
「あ、あああんっ!」
千尋先輩が声と一緒に岳斗のものを扱きだす。
「や、…だ、めぇ…っ…」
「いい。岳斗」
「や、……だ…イく……っ!イっちゃう…よっ…」
「イけ」
「あ、……イ、…っっ!」
岳斗の背中が強烈な快感に仰け反って震える。
千尋先輩以外に誰も触れられた事のない岳斗のそれはちょっと上下に擦られただけの刺激ですぐにどくどくと精を吐き出していた。
テーマ : 自作BL小説
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