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羽がすれ違う。 9

 千尋先輩の手が岳斗の肌に触れている。
 キスが、舌が岳斗の身体を這っていく。
 「あぁっ!」
 「岳斗…自分でシた?」
 「そ、…な…」
 「俺にされてるの想像しながら?」
 「な……そ…ん……」
 なんでそんな事っ!
 ドキドキしていた心臓がさらにどくどくと大きくなってくる。
 顔は真っ赤になるし!

 「俺は何度もお前を抱いてた」
 「や、……そ、んな…」
 「でもやっぱ生の岳斗が一番いい」
 「俺、だって…本物、がいい、…よ」
 「あ、シたんだ?」
 しないわけないでしょっ!
 「岳斗の中の俺はどんな事した?」
 「や、だ…っ!あ、ああんっ!」
 千尋先輩が岳斗の腰を持ち上げるとソコに舌を這わせた。
 「わりぃ…我慢できねぇ…中入れたい。いいか?」
 「んっ!いい、…して!」

 岳斗だって千尋先輩が欲しいんだ。
 自分でしたけれど、必ずその後は虚脱感が襲う。
 千尋先輩にしてもらったような満足感なんてないんだ。
 舌で舐めながら千尋先輩の指が入ってくる。
 「あ、ああぁ…」
 「……キツくなったか…?してねぇから…?」
 「し、らないよぉ…っ!ちひろ、せんぱ、いしか…知らない、よ…そんな、の…」
 「ああ…少しほぐさなきゃねぇかな…」
 「あ、ぁ…っ!」
 指が…千尋先輩の指が……!
 岳斗の中を弄っているのにひくひくと身体が反応してしまう。

 「岳斗…欲しかった…お前が…」
 「俺も…千尋先輩、にして、ほし…か、た……あ、ぅんっ!」
 奥に!指が…っ!
 「ばっか…我慢なんねぇって言ってんのに…」
 そんな事言っても千尋先輩は優しくしてくれる。
 「千尋先輩…好き…」
 「ああ」
 着いて早々に、部屋に入って早々にすぐ身体ってどうなの?って感じもするけれど、だって欲しかったんだ。ずっと足りなかったんだ。
 一番これが千尋先輩の全部を感じやすいんだ。
 千尋先輩の息遣いも手も体温も触れる肌も、岳斗が欲しいと思っていたように千尋先輩も欲しがっていたのが分かるんだから。

 もうはち切れそうに大きくなっている千尋先輩が中に入ってくる。
 「あ、あぁっ!お…き、い…よ…っ」
 「ったりまえだ…欲しくて仕方ねぇ…すぐイきそうだ」
 「お、れも…もう…」
 千尋先輩を中に感じてだけでもぞくぞくして耐えられそうにない。
 「ああ…いい、ぞ…?イっても」
 「や、ぁっ!だ、め…そんな、した、ら…す、ぐ…っ」

 千尋先輩の手が岳斗の勃ったままのものに手を添えてきた。
 腰を使われるのと一緒にそこを刺激されれば保つはずもなくて。
 「イっちゃうっ!イ、く…」
 「いい、岳斗…」
 千尋先輩が触ってる。それだけでもイきそうなのに!
 擦られ、扱かれれば千尋先輩を受け入れてる後ろをきゅっと締め上げて身体を震わせてあっという間に白濁を放ってしまう。
 「あ、あああぁ………っ!」
 「うっ!」
 そして締め上げた瞬間に千尋先輩も呻いた。
 どくんどくんと岳斗の中で千尋先輩も熱を放っていた。
 「こ、の……よすぎだ、って…」

 はぁ、はぁ、と短い息が重なって、そしてまた千尋先輩が動き出す。
 「今度は滑りやすいからもっと感じるだろ?」
 ぐちゅぐちゅと中をかき回される音が耳に響いてくる。
 「や、だ…」
 「やだ、じゃねぇくせに…岳斗のここヤラシイ…」
 ずんと奥まで衝かれて顎が仰け反る。
 萎える暇もない位飢えてた…?
 千尋先輩が…?

 「お前だけだ、って言っただろ」
 「…う、んっ!あ、ぁ……っ!」
 「お前の中にいるのは?」
 「ち、ひろ…せ、ぱい……っ」
 「ああ…お前をこんな風にしていいのは、俺だけ…」
 「んっ!んん……ぁっ……」
 千尋先輩も気が気じゃなかった、って言った…。
 ほんと、に…?
 でも岳斗がこうしたいのは千尋先輩だけ、なのに…。
 「千尋、せんぱ、い…いっぱい……ほし…」
 「ああ…出なくなる位してやる」

 激しい律動、穿たれる腰。
 淫猥な音が響いて肉のぶつかる音が響く。
 ずっと不安だった心がもうどこにもいない。
 ただ互いを求めてキスを交わし、心を確かめるように、身体を確かめるように、身体を重ねた。
 岳斗の全部は千尋先輩のもの…。
 岳斗は腕をずっと存在を確かめるように千尋先輩の首に回してぎゅっと抱きついていた。
 離れたくない。一緒にいたい。
 その気持ちをこめて。
 
 
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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