「ちひろ、せんぱ…い……!…ぁ……」
「…もう先輩とれば?学校じゃねぇし」
「ち、ひろ……?」
「ああ。…んでも、そうお前が千尋先輩って呼ぶのが可愛いんだけどな…」
くっと千尋先輩が笑いながら岳斗の服をぽいぽいと脱がしていく。
「お前が毎日へろへろになって帰ってくるから我慢してたけど、今日は我慢しねぇぞ?俺をずっと見てるって言ったのに見てねぇからお仕置きだ」
「だ、て…やだった、んだもん…!俺…隣…立てない…」
「バーカ!隣なんて誰でもいいんだよ…。俺の中にいるのはお前しかいねぇのに。それじゃダメなのか…?」
「ダメじゃ、ないっ!」
だってそんな強い思いがあるなんて知らなかった…。
千尋先輩を創ってるのが自分、だなんて…。
「ちひろ、せん、ぱ…い…」
もう何度も抱かれてるのに、ずっと一緒にいるのに千尋先輩はずっとカッコよくていつもドキドキしてしまう。
「キスマークももう全部消えてるし」
「んっ!…つ、けて…」
「言われなくても…」
「あっ!んッ!」
痛い位…強く!
首筋を舐められ、乳首を転がされ、舐られれば声が上がる。
あちこちに散らされる赤黒い花。
粟立つ肌、恥かしくも上がる嬌声。
どれも千尋先輩しか知らない。
全身舐められて千尋先輩が岳斗を知らない所なんてもうない。
「あ、ああっ!」
すでに勃ちあがったものを口に含まれれば背中が弓なりになり、顎が強烈な快感に仰け反ってしまう。
そして岳斗の中は次にくる官能を待ち構えてさらに中が収縮してしまう。
「ちひ、ろせ…ぱ、い…んっ…ぁ……」
先輩をつけなくていい、と言われても…やっぱりつけちゃう。
だってもう高校1年の時からずっとだから…。
もう5年…?
うっすらと岳斗が目を開けると汗ばんだ身体で、焦燥感を訴える千尋先輩の瞳をぶつかった。
岳斗には何もないのに、それなのに千尋先輩はそれでも自分を欲しいと思ってくれている。
千尋先輩の首に腕を回して抱きつく。
「好き…大好き…!…千尋先輩はこんなカッコイイし、凄いのに…なんで俺?」
「岳斗だから。お前は俺の背中に天使の翼があるってよく言うけど俺からしたらお前のほうだ、それは。学校の屋上で俺の上に降ってきたのはお前だろう?」
「そんな事、ないよ。ぜ、…ったい…あ、ああっ!や…」
後ろに千尋先輩の指が入ってくる。
「あるって。深尾なんかお前をいつも天使クン呼ばわりだろが」
「んん、ぁっ!…」
千尋先輩のベースを操る長い指が岳斗の中のイイ所を的確に刺激してくる。
「…うちのバンド、俺よりもずっとカッコイイ奴らだし、音もいい、と思う。他にも俺より上手いな、と思う奴だっている…。それでも…岳斗は、俺だけ、か…?」
「千尋先輩…だけ、だもん…。俺…」
「岳斗…」
「あ、ああっ!やぁっ……お、く…」
千尋先輩の指がくいと奥まで入ってきてぐちぐちと抽送を繰り返している。
そしてキス。
舌を絡めて熱い息が交じり合う。
好き。大好き…。
いつもいつもそう思いながらキスする。だって思いが溢れて仕方ないんだ。
「好き、なんだ…千尋せんぱ、い…俺…ずっと、ずっと…初めて見た、時からずっと…」
「岳斗…俺もお前しか見ていないから…。お前しか見えない…。お前しか必要じゃない。隣に誰がいたって何していたって岳斗しか俺には必要じゃないから…」
嬉しい…。
そんな事言われるなんて…。
不安だった。岳斗はどうしたって華やかな表に立てる側ではないんだ。 それなのに…そんな岳斗でいい、と千尋先輩は言ってくれる。必要だと言ってくれるのだ。
「俺、だって…今日…見られなかった、けど…ずっと…頭では千尋先輩の弾いてるとこ…見てた、もん…」
「…また、そういう事言う」
「や、あぁっ!」
ずるりと後ろを弄っていた指が抜けたのに声が上がる。
そして次に訪れるさらに大きい圧迫感をもう身体が期待して待っている。
「岳斗…」
でも千尋先輩は宛がうだけで中に入れてくれなくて…。やわやわと入り口を刺激するだけ。早く欲しい、のに…。思わず誘うように、ねだるように腰が揺れてしまう。
「ん?どうした?」
笑いを含んだ声で千尋先輩が意地悪を言う。
「い、じわる…っ」
「ちゃんと言え?」
「欲しい、よ…千尋先輩…ちょ…だい」
よくできました、と言わんばかりに千尋先輩が岳斗の中にぐい、と滾った千尋先輩自身を挿入させてきた。
テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学