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2013.06.16(日)
<注意>
3p(ピーじゃなくてページです 笑)のSSです。
「熱視線」「熱吐息」「熱抱擁」をお読みでない方は
お話が通じないと思います(><)
すでに完読の方はそのままお進み下さいませm(__)m
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「ちょっと瑞希さんと出かけてくる」
「え~?どこに?」
遅い朝食を食べながら明羅が怜さんに声をかけると怜さんは嫌そうな顔をした。
「お父さんの所」
「うぇ………なんでまた…」
はぁ~と怜さんが大きく溜息を吐き出した。
「今日父の日でしょ?瑞希さんが何かプレゼントしたいって」
「………ああ」
怜さんが薄く微笑みを浮べる。
瑞希さんが本当にお父さんの養子になって初めての父の日で、何かプレゼントしたいから付き合ってと言われていたのだ。
家族がいなかった瑞希さんにとってはきっと初めての事だろう。怜さんもそれが分かっているんだ。
「怜さんは来月コンサートあるし練習しててね?」
「……別に一日位しなくても…」
「じゃあお父さんの所に一緒に行く?」
に~っこり笑ってやると怜さんはぶるぶると頭を振った。
「行くわけないだろっ」
「じゃ、そゆ事で」
明羅はすました顔で食事を進めた。朝位は明羅が用意すると言ってるのに結局いつも怜さんが先に起きてささっと用意してしまうので全然役に立ってない。
「……宗は?」
「怜さんと一緒」
「……だろうな……」
はぁ、と怜さんがまた溜息を吐き出しながら頭を抱えた。
「行ってくるね。買い物してお父さんに渡してくるだけだから」
「分かった。気をつけてな?」
「あのね…子供じゃないです」
電車で行くから、と玄関先で靴を履く明羅に怜さんが心配そうにしてるのに呆れてしまう。
「明羅」
「んっ」
ぐいと怜さんが明羅の身体を抱き寄せてキスを交わす。
「…早く帰って来いよ」
「…ん」
仄かに明羅の顔が紅潮する。
どこか遠くに行くわけでもないのに!
「…どうしても行くのか?」
「行きます」
玄関でもう出かけるというのに宗がまだぐずぐずとごねていた。
「宗も一緒に行けばいいでしょ」
「それは無理」
「……………」
言い切る宗に瑞希が呆れたような視線を向ける。
「桐生もいてさらに親父のとこ?冗談だろ」
宗が恐ろしいといわんばかりな表情で頭を横に振った。
「……明羅くんが待ってるから行ってくるね?何か買ってお父さんに渡してくるだけですぐ帰ってくるから」
瑞希が宥めるように宗の不機嫌さを表す口に軽くキスした。
「…だって、父の日なんて…初めてだから…」
瑞希が小さくいえば宗は深く吐息を吐き出した。
「………………仕方ないな。くれぐれも誰にも彼にも愛想ふりまくなよ?」
「…まるで俺が誰にでも尻尾振るような言い方……」
「心配なんだよ」
「……………いってきます」
つんと瑞希は宗から視線を離して玄関を出た。
「お待たせ」
電車の駅ですでに明羅くんが待っていたのに瑞希が小走りで合流。
「でがけに宗がぐずぐずして」
「宗が?…ホント我儘。そんな瑞希さん心配なら一緒来ればいいのに」
ふんっと明羅くんが鼻を鳴らす。
「怜さんはそんな事なさそうだよね…」
「でもないよ?早く帰って来い、だって。だいたいあの兄弟感覚が全部おかしいよね」
「…怜さんも明羅くんが心配なんだよ」
「いいかげんもう20をとうに越してるのにまだ高校生位だと思ってるんじゃないのかな!?」
見た目は十分可愛いと思うけど…とは怒られそうなので言わないでおこうと瑞希は笑みを浮べるだけにする。
「まぁいいや!いこ!」
「そうだね…。何がいいかな…?お父さんはいつもスーツだし、やっぱりネクタイとかタイピンとか?」
「でもお父さんだったらタイピンなんかだとすっごい高価なのしてるよ。きっと、絶対。でもそのラインだったら無駄にはならないかな?」
「そうだよね。いつも宗に連れて行ってもらってる店、お父さんも行ってるらしいし」
「あ、知ってる!俺も怜さんに連れて行かれたよ。二階堂家御用達の店!うん。そこにしよ!」
電車に乗り込みながら二人で相談。
「明羅くんは?お父さんに何かしないの?」
「怜さんの?俺の?」
「明羅くんのお父さんに」
「あ~しないしない!忙しいし。何か送ったとしても開けてもらえるまで時間かかるから。父の日に合わせたって意味ないんだよね。そのうちまた怜さんのコンサートで行く事あるか向こうがコンサートで来るか、その時に食事でもすればいいの」
「……普通はそんな感じなのかな?」
「まさか!ウチが特殊なの!だいたい親がウチにいないんだから。家どころか日本にいないのがほとんどなんだもん」
「…そうだよね」
普通の家庭が知らない瑞希は普通がどういうものか分からない事だけど、明羅くんも十分普通じゃないんだった…と思わず納得してしまった。