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Father’s Day presents 2

 明羅と瑞希は一緒に二階堂家御用達の店に一緒に入った。
 「いらっしゃいませ。……今日はお二方、で…ですか?」
 すぐに店のマネージャーが明羅と瑞希に気付いて応対に出てきた。
 「そう。プレゼントを探しに」
 明羅がにこりと笑ってマネージャーに告げるとマネージャーはちょっと考え、そしてふわりと笑った。
 「二階堂社長にですか?」
 「そう」
 明羅と瑞希が頷く。
 「好みのネクタイとかタイピンとか、教えていただけますか?」
 瑞希が言えば勿論です、とマネージャーが頷いた。

 そこから明羅と瑞希は店のマネージャーに意見を聞きながら時間をかけ、父の日のプレゼント選び。
 二人で折半してネクタイとさらにタイピンのセットも購入した。
 そして店を出て瑞希が携帯を取り出すと父に電話する。
 「あの…今お家にいらっしゃいますか?…え?そう…なんですか…」
 「いないの?」
 明羅の質問に電話を持ちながら瑞希が頷く。
 「え?あ、明羅くんと一緒で…今から一緒に伺おうか、と…え?今ですか、あの、いつもスーツ買う店の前ですけれど…え?…あ、はい」
 「何?どうしたの?」
 携帯を切った瑞希に明羅が大きな目を向ける。
 「お父さん、今車乗ってるらしいけど、近くだからここまで来るからって」
 「じゃ、待ってればいい?」
 「…うん。でもお仕事、かなぁ?」
 「どうだろ」

 二人でリボンをつけてもらったプレゼントの入った袋を持って父の到着を待った。
 本当に近くにいたのか黒塗りの車が店の前の道路に停まったので二人は顔を合わせて車に近づくと後部座席にいつも通りきっちりとスーツを着用しているお父さんが乗っていた。
 「お父さん、お仕事?忙しい?」
 「いや、そうでもない。乗って」
 「忙しいのでしたらご迷惑でしょうから…」
 「瑞希くん、明羅くん、乗って?」
 お父さんがにこにこ顔で車の中からシートをぽんぽんと叩いているのにまた明羅と瑞希は顔を合わせてからそして小さく頷いて車に乗り込んだ。

 「お仕事じゃなかったの?」
 「仕事だよ。でももう終わった」
 本当かな?と明羅と瑞希は顔を合わせた。
 そのまま二階堂家に到着。
 瑞希は二階堂家には何回か来た事があったけれど、明羅は初めてで珍しそうにしていた。
 広いリビングに通され明羅と瑞希はさすが、というような立派なソファに並んで座り、向いに二階堂父が座った。
 「どうしたのかな?二人揃ってなんて、珍しい…」
 「あの…これ……気に入るかどうか分かりませんけれど…。俺と明羅くんから」
 「?」
 父は不思議そうな顔をして瑞希が差し出したラッピングされた箱を受け取った。
 「ええと…その…」
 「今日父の日でしょ?瑞希さんがお父さんにって!俺は便乗」
 瑞希がしどろもどろしていると明羅がすぱっと言う。

 「!」
 「便乗っていっても!二人で折半したし、一緒に選んだんです」
 そしてその明羅と瑞希の説明に父が驚いた表情をしたと思ったら次の瞬間に顔が崩れた。
 「あけても?」
 こくこくと明羅と瑞希がその二階堂父の蕩けきった顔に驚きながら頷くといそいそと父がプレゼントの箱を開ける。
 「これの為にあそこにいたのかい?」
 「そう!」
 「……怜と宗は?」
 「お家で留守番」
 ふむ、と父が考える。

 「ありがとう。…嬉しいものだね…。…そうだ!お礼に食事でもどうかね?」
 「え~!帰る。だって怜さんに早く帰って来いって言われてるし~」
 途端にしゅんとする父に明羅と瑞希が顔を合わせる。
 「そうか…宗も、だろうな…。私はいつも一人だから…たまには、と思ったのだが…」
 明羅と瑞希が困った顔を合わせて小さく頷いた。
 「あの…怜さんに連絡するから…たまには、お父さんと、でもいいかな~」
 父の日だし、と小さく呟きながらこくこくと瑞希も頷くとぱっと父の表情が明るくなった。

 「そうかそうか!じゃでかけようか?」
 「はい?」
 明羅と瑞希が声を揃えた。
 「じゃ、怜と宗に連絡入れておきなさい。私はレストランに予約しておく」
 あっという間に決定事項にされて明羅と瑞希はそれぞれお父さんと食事してから帰るね、と電話すると各電話から大きな声が聞こえてくるのに用件だけ伝えて二人はぷちっと切ってしまう。
 「じゃあ行こうか!」

 そして父は早速二人から貰ったネクタイとタイピンをいそいそと身につけ、車に乗り込むと、先ほど二人がプレゼントを選んだ店に舞い戻った。
 「いらっしゃいませ」
 また来たんですか?なんて顔はしないマネージャーだが、明羅と瑞希はなんで???と首を傾げる。

 「二人に見立ててやってくれ」

 父は先ほどまでの蕩けきった顔とは違うきりっとした顔でマネージャーに告げると、あっという間に明羅と瑞希はジーンズ姿から一変、正装させられた。
 「君達も人前に出る仕事があるんだからこういうものはいくらあってもいいだろう」
 二人の出来栄えに満足そうな父と困惑顔の二人だ。
 ただプレゼントして帰るはずだったのに…。
 高価なスーツ一式をそれぞれプレゼントされ、そのまま高級レストランでディナー。
 なんでこうなっちゃった?と明羅と瑞希は顔を合わせてしまう。 
 

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