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桜誘う桜守 83

 隣の理人の自宅で音だけ聞いてた時にはあんまり分かっていなかった。
 自分の治療してもらった時も、自分が怖いばっかでよく分かってなかったけど。
 こうして客観的に見られる理人の仕事してる時の真剣な目がかっこいい。
 子供がいない時、桜も受付の中に入ってじっと理人を見る。

 ちょっと長い前髪は白衣の帽子の中。
 理人の手が患者さんの……。
 ちょっと待て…。
 あの指が桜の…。
 理人の大きい手の長い指が桜の中に入ってくるのに、その手が…。
 いや、治療の時はゴム手袋してるけど!
 思い出してしまってかっと桜は顔を赤くした。

 ナニ思い出してんだよ自分!と桜は考えないように!と思うけれど理人を正視出来なくなってしまう。
 「桜ちゃんどうしたの?真っ赤だよ?」
 小野さんに声をかけられてますます恥かしくなってくる。
 そこに理人が治療を終えて、手を洗い、受付にきた。
 「次の患者さんは…。………桜?」
 耳まで真っ赤になって顔を俯けていると理人が予約のノートで患者さんの名前を確認したけど桜が真っ赤になっているのに気付いたらしい。

 「……桜、あとはもう子連れの患者さんいないから向こう行ってていいぞ?」
 「う、うん!じゃ、すみません…。お先します!」
 理人の言葉に助かった!と桜はわたわたと理人の家のドアを開けて挨拶もそこそこに帰った。
 確かにもうお昼近いし数える位しか予約なかったので、そこは安心した。
 ドアを閉めて熱くなった自分の顔を押さえる。
 何考えてんだよ!
 自分に喝をいれ、そしてキッチンに向かった。
 …ここが落ち着くかも。
 お昼の用意、と頭を切り替える。
 お昼休みは2時まででちょっと長いからそこも嬉しい事だ。

 理人がお昼で帰ってくるのに蕎麦とおにぎりにして、お昼の準備。
 ちょうどテーブルに並べたところで理人が来た。
 「うまそう!桜のおかげでホント美味い飯食えて…いいのかね?」
 「いいんだよ。出してるの理人だし!俺まで一緒に食っちゃってるけど…家で俺の分の食費浮いてるじゃん!俺のほうこそいいのかな、って感じだ」
 「俺はものすごい助かってるけど!」
 理人はいつも満足そうに食べてくれる。
 レパートリー増やそうかな、なんて思わず思ってしまう。
 あんまり凝ったのとか作った事なかったけど夏休みの今なら出来るかも。
 
 「桜、おいで」
 片付けを終えると理人に呼ばれた。
 「何?」
 ソファに座ってた理人に近づくと理人に腕を引っ張られて膝に身体を乗っけられ後ろから抱きしめられた。
 「さっき桜何考えてた?」
 「さっき?」
 「受付で。耳まで真っ赤にして」
 忘れてた事を蒸し返されて桜は思わずかっとしてしまう。
 理人は白衣の上も帽子も置いてきてるので今は見た目は下以外は普通に見える。

 「な、何、って別にっっ」
 「嘘だ。ほら、今も顔真っ赤だし、エロい顔になってる」
 「そんな、事…ないっ」
 理人に顔を覗き込まれながら言われたのに思わず顔を隠した。
 「桜…」
 理人の手が桜の顎にかかるのに顔を覆っていた手を外す。

 キス…。
 …と思ったら寸前で理人がしてくれない。

 「言いなさい」
 だって!手見てたら思い出した、とかって!
 ふるふると桜が小さく首を振った。
 理人の手が桜の下半身に伸びてちょっと反応してしまったところをなぞってくる。
 「んっ!…っ」
 理人の指が…。手が…。

 「言って」
 「手が…っ!…指……がっ…」
 「ん?ああ……。桜の中に入ってるとこ思い出しちゃったんだ?入れてあげる?気持ちイイ…だろ?」
 いい、けど!
 「や、だ…っ!だ、って…まだ、診察…」
 「あるね。だよな…桜の中に入れた指でよその人の口ン中手突っ込めねぇな。勿体無い」
 「ばっ!…なにっ!言って…」
 「じゃあ中は後でな。でも出してやるよ?もうほら…キツそうだし?」
 くすと笑って理人が桜のジーンズのベルトを外し始めた。

 理人の手がエロい事を言われてもう勃ち上がってた桜のものに触れると桜の項や耳後ろにキスしながら桜を扱き始める。
 「や、だ…っ!」
 「ん~…さすがに今はちょっと出来ない、な…。でも夜まで桜がこれじゃ可哀相だろ。いいよ。出してやる。イっていいから」
 そんな事言われて理人にされちゃえばあっという間にあっさりと桜は精を吐き出してしまう。
 「う~~~~~……」
 そうじゃないのに!桜だけがしたいんじゃないのに!
 身体を理人の方に向けて抗議の意味をこめ理人の胸を叩いた。
 「足んない?仕事終わってからな?」
 「ぁ、んっ」
 耳元に囁かれれば身体がぞくんと反応してしまう。
 
  
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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