無事着いたの後、全然理人から連絡がない。
まぁ、きっと色々話があるんだろうけど。
黒田とゲームしながらも桜は何度も携帯を気にする。
それを黒田が呆れたように見てた。
昨日は理人が隣にいたのに今日は黒田。そう思いながら夕飯を食べていたら理人からの電話がかかってきて、慌てて桜は席を立って電話にでた。
「もしもしっ!」
『桜?』
「うん…」
理人の声だ。
そういえば理人と気持ちを確かめて好きと言ってから丸一日会わない日なんてなかったんだ。
『お前、今、家?お母さんいる?』
「え!?あ、うん…」
代わってと言われてしぶしぶ電話を母親に渡した。
「もしもし…。…え?………あ、はい。…………ふふふふ……」
母親が電話口で笑ってた。
なんだ?
「分かりました。まかせて」
まかせて?
「はい、桜。撫子、ちょっと。…あ、黒田君も」
なんだぁ?と思いつつ電話を返されたのでもう一度出る。
「もしもし?理人?どうしたの?」
『いや、明日の朝、桜迎えに行くから』
「は?迎え?」
『そう。だから1泊の用意しててね?』
「1泊?」
『そう。遊びに連れてってやるから』
「ん。分かった!…それはいいけど…今のなに?」
『なんでもないよ?じゃ、明日の朝な?ちょっとだけ我慢して?寂しい?』
「べ、別に!」
『え~。俺は桜に会いたいけどなぁ。桜は違うんだ…』
「ち、ち…ちがく、ない…」
くくく、と電話口で理人が笑っている。
『うん、明日な。寝ればすぐだから。朝にはお迎え行くからな?』
「…うん」
じゃ、と電話を切る。
声聞けただけでなんか照れくさい。
それに明日の朝には会えるって!遊びに連れて行ってくれるって!
それだけで嬉しくなってくる。
実家に2泊かも、なんて言ってたのに…。
早く切り上げてくれるのは桜の為?
そうだといいなぁ…と桜も思わず顔がにやけてきた。
だって迎えに来てくれて1泊でどこかになんて…。
そういや初めてだ。……ちゃんとしたデート?
どこ行くんだろ…?
理人のお見合いの話なんてすっかりあっという間に桜の頭からなくなっていた。
ふふ、と顔がにやけっぱなしになるのに黒田はずっと呆れ顔。
「…お前、幸せそうだねぇ」
「まぁ…うん」
「だよなぁ…男同士なのに母親と妹公認って…。まぁ、お前ならそれもアリだ、って納得できるとこがまたおかしいけど。…明日が楽しみだ」
「明日?」
「ご愁傷様」
「なにが???」
「さぁ~~?」
わけわかんね、と思いながらも黒田の事なんてどうでもいい。
どこ行くのかな?一泊ってどこかな?と楽しみの方に桜の意識が向いてしまう。
「な、な、なにすんだよ!!!」
「諦めろ」
朝起きたら黒田に捕まって、さらに母親と撫子にむりやり着替えをさせられた。
黒田だけだったら暴れてもよかったけど母親と撫子相手には手加減するしかない。
無理やり着替え!それも女物!!!
見た事あるから撫子の服だろう。
「諦めなさい。先生からの要望だから」
「…理人から!?」
母親の言葉に桜が怪訝に眉を顰めた。
理人がなんで!?
男も女も関係ねぇって言ったのに!
理人の要望と聞いて桜は大人しくした。
面白くない!
「ムカツク~~~~!ウエスト緩いってどういう事!?」
撫子がちっと舌打ち。
「あ、でも残念!胸がない~」
「ばかか!当たり前だろうがっ!」
そんなんで優越感を見せる撫子に頭が痛くなってくる。
胸なんかあるか!
ピンクのゆったりめのふわふわした可愛いブラウスにひらひらスカートをはかせられて、髪には花のピンをつけられた。
むうっと桜の顔が仏頂面なのは当たり前だろう。
黒田は腹を抱えて転げて大笑い。
「すっげぇ美少女~~~~~!!」
「やっぱムカツク…」
「桜ちゃん可愛い~~」
違う!絶対なんか間違ってる!
ピンポンとインターホンがなってしぶしぶ出ると理人だった。
一目桜を見て目を見開き、そしてぶっと思い切りふき出した。
「あんだよ?理人が言ったのか?コレ?」
「ああ、そうなんだ。桜、悪い!説明は車ん中でするから。荷物は?ああ、じゃ行こう。すみません、じゃ桜お借りします」
理人はずっと笑いっぱだ。
「桜」
ひらひらのスカートで慣れなくてなんかあちこち気になる。
RV車の車高の高い車でどうやって乗ったらいいんだ?と思ってたら理人が桜の腰を掴んで乗せてくれた。
「あ、りがと…」
「いいえ~」
ぶくくくと理人は笑いっぱなしだ。
「説明っ!」
「ちゃんとするから」
そしてまた理人が口を押さえてふき出した。
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続きに柚埜さんに描いていただいた女装桜ちゃんがおります(笑)
隠してください、って言われちゃったので隠しますが…^^;
レースも手描きだそうです!スゴイッ!(><)
コレBLのイラストじゃないよ~?(爆笑)
チョーかわゆす!!!デス
ありがとうございます~^^
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