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立ち上る焔。 8

 いくら田舎だからといって何もかも知らないなんて事はないだろう、と尚だって分かっているはずだ。
 でも尚は何も聞かない。
 ゲームセンターを出て尚が楽器屋に行きたいというのでついていく。
 ギターを弾く時に使うピックというやつが欲しかったらしい。
 遥冬は待っている間並んでいる楽器を眺めていた。
 「わり。終わった」
 「いや。…コレ、尚のギターと一緒?」
 同じような形と色で木の目が入っているギターを指差す。

 「ちょっと違う。形は一緒だけど、俺のは一応もちょっといいやつだ」
 「ふぅん…」
 遥冬からしたら同じにしか見えないけれどどうやらなにか違うらしい。
 「そろそろ行くか」
 「あ、ああ…ん…」
 尚がそう言ったので遥冬も頷き、一緒に駅に向かう。

 「…なんでバイトすんだ?」
 歩きながら尚が唐突に聞いて来た。
 「……親の金を使いたくないから。…といってもマンションだって学費だって全部出してもらってるけど。それ以外はなるべく自分でどうにかしたいと思って…」
 金は余る位に毎月振り込まれるけどそれに手をつけたくなかった。
 そんな事したって誰も気にしないだろうし、ほんの小さな事だとは分かっていたけれど、自分の中では出してもらっている事が嫌で仕方なかった。

 「……えらいなぁ。俺なんてせいぜい大学の間はすねかじっておこうと思ってるのに」
 尚は遥冬が親の負担にでもならないようにと考えて、と思っているのだろう。
 そんなのと全然違うのだが。
 詳しく話す必要もないので尚がそう思ってるならそれでいい。
 遥冬はそれ以上余計な事は付け加えないでいると尚もそれ以上突っ込んで聞いてくる事はなかった。


 「……お邪魔します」
 案内された尚の家は真新しい家で遥冬は少々緊張した。
 「いらっしゃ~い!きゃー!ホント綺麗な子!」
 「………………」
 遥冬は目を見開いてぱたぱたと出てきたその人を見て、尚を見た。
 「…母親だ」
 尚が苦笑して言うのにまた遥冬は驚く。
 「…お姉さん、じゃなくて…?」
 尚よりずっと小さくて可愛い感じでどう見てもお母さんには見えない。

 「よく言われるけど~!」
 「うるせぇ。いいから、ほら、入れ」
 「あ、…ああ…。…加々美 遥冬です。すみません、ご迷惑おかけします」
 「全然!いつでも来ていいのよ?尚の方が迷惑でしょう?」
 「…いえ………」
 今度は廊下の先に中学生くらいの子が顔を出したのにまた遥冬は尚の顔を見る。どうみたって弟だと分かる位尚に似ていた。 
 「弟」

 「うわ!まじ綺麗!」
 「……尚…似てる」
 「まぁな」
 尚をちょっと小さくした感じなのに思わず遥冬の口の端が緩みそうになる。
 「…面白い」
 お母さんに見えない尚のお母さんと尚そっくりの弟。
 「面白いってな…」
 尚がぼそりと吐き出した遥冬の言葉に脱力している。
 「これにあと親父。今日は仕事で帰ってこねぇけど」
 「なんだ残念…」

 来いと尚に腕を引っ張られて二階に上がっていく。
 尚の部屋はわりと広くて綺麗だ。
 そしてギターがある。
 「適当に座れ」
 いいのかな、と思いながら床に座ってきょろりと部屋を眺めた。
 明るい部屋。
 グリーンが基調になっていてベッドカバーとかカーテンも淡いグリーンだ。

 「ギター練習してたのか?」
 「しますよ!そりゃ!岳斗にバカにされるし。っつったって別に岳斗が聴きに来るわけもないけど」
 「…そう、…?」
 来ない?
 …なんだそっか。来る予定ないのか。
 「ゲームすっか?」
 「え?」
 別にしたいわけじゃないけど、と思いつつもとりあえず頷く。
 「ゲームもした事ねぇ?」
 「…ないね」
 やっぱり、と尚が笑い、そして教えられながらゲームをして時間を潰した。
 夕ご飯をご馳走になって、布団を尚の部屋に運んでもらう。

 「いつも誰か友達とか…来るのか…?」
 「いいやぁ?俺は基本家にはよばねぇな。外でばっかだ」
 疑問を投げかければ尚が答えてくれる。
 「普通こうして友達とかって泊まったりとかするものか…?」
 「人によるだろうけどな。普通だろ」
 へぇ、と遥冬は面映くなる。

 「お前はなさそうだな」
 「ないね。初めてだ」
 「だろうな…」
 尚がいかにもと頷いていた。
 ゲームも何も初めてというのが分かられればそう思うのも当たり前だろう。
 自然に尚に対して質問が多くなっている。
 遥冬が何を聞いても、知らなくても尚は何一つ遥冬に嫌な顔をする事はなかった。
 


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拍手コメントお返事です^^
(7/20.21.22 朝分まで)
S様
 まとめて~^^;
 酔っ払いテンションすぐに分かるので(笑)
 お気になさらず(^m^)
 そう!天然放置CPが…(笑)
 でもあんまり出てこないけど^^;
 何しろ岳斗ちゃんは夏休み中は千尋先輩んとこ
 行っちゃってるので~(^m^)
 あ、遥冬くんディープです^^;
 だから昼ドラみたいって~(笑)
 ありがとうございます~^^

KRB様
 尚は場数踏んでますか?(笑)
 その通り~だけど~(^m^)
 おデート。
 見つけたらそりゃ付いていきますね~(><)
 目の保養…♪
 ありがとうございます~^^

MR様
 気に入っていただけて嬉しいです(><)
 遥冬くんはお好みの仕上がりになってますでしょうか?^^;
 私が書くとどうもズレていきますけど…(--;)
 これからヤバくなっていきます~…どうしよ…^^;
 いつもありがとうございます^^

AHN様
 ムビりますか?(^m^)
 間違いなくガン見で妄想はしますね(笑)
 GWはね~…
 黙っときます^^;
 ありがとうございます~^^

MDR様
 岳斗はね~…多分皆さん大丈夫~!って言いたい
 でしょうけど(笑)
 あ、にゃおさんとのおデート見つかりましたか?(笑)
 携帯だと最新記事しかでないので、
 同じ時間帯に記事を二つとかupすると
 前の記事が下にさがっちゃうんですよ(><)
 なのでなるべくお知らせは上に来るようにしているのですが…
 
 たま~に記事二つとかupしてる時があるので^^;
 最新記事の所もチェックしてみて下さい~m(__)m 
 ありがとうございます~^^

MMZ様
 初めまして!いらっしゃいませ^^
 嬉しいお言葉ありがとうございます(><)
 はい、全部あまあまです(笑)
 少しでも幸せと感じていただけたら嬉しいです^^
 一番は千尋先輩と岳斗ですか?(^m^)
 嬉しいです~/////
 この話では岳斗しか出てきませんが、
 次のスピンオフではセットで出てきますので~^^b
 (ちょっとですけど…笑)
 それまで残念賞の彼を見といてください(笑)
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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