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立ち上る焔。 10

 一度遥冬のマンションに行って荷物を置いて買い物にまた出た。
 色々と尚が買い込むのに支払いをどうしたらいいのかと悩んでしまうが親から食費もらってきたからいい、と言ってさっさと尚が払ってしまう。
 そして夜はバイト。
 これから丸何日間と尚と一緒にいることになるんだ。

 ステージでの尚はやっぱりどうしても普段より割増しでかっこよくて目をひかれてしまう。
 …そんな事言う気はさらさらないけれど。
 お客さんからの注文に遥冬が狭い客席を縫うように歩く。
 ノリのいい曲では身体を動かす人も多いし、踊りだす人だっている。
 GWなのに、なのか、だからなのか客は結構入っていて遥冬も忙しい。
 でもその合間にどうしても尚を見てしまう。
 そして何度も視線が合った。
 汗をステージのライトで光らせながら楽しそうに演奏する尚に自然に表情が緩んでいるのが自分でも分かる。

 尚は4回のステージをこなし、遥冬も休憩の時以外は立ち尽くしのバイトを終え、一緒に遥冬のマンションに帰った。
 「…ステージ、よかった、と思う」
 「ん?そう?…サンキュ」
 エレベーターの中で遥冬は尚に背中を向け、ボタンの所を見ながらぼそりと言うと尚が嬉しそうな声を出した。
 「いいけど腹減るなぁ…遥冬でもさすがに腹減るだろ?」
 「…少しは」
 「少し~!?」
 全然少しじゃないらしい尚に思わずまた口端が緩む。

 「遥冬」
 呼ばれたのでぱっと遥冬が顔を上げると尚がふっと表情を緩めていた。
 「…っ」 
 そして手を伸ばしてくると遥冬の口元をついと撫でてきたのに遥冬は驚いた。
 「な、なにっ!?」
 ぱっと思わず遥冬は尚の手を払った。
 「ああ、わり。いや、笑えるようになってよかったなぁ、と思っただけ」

 笑える…?

 「能面みたいな顔だったのに」
 「…能面はいいすぎだろ」
 「ああ、わりわり」
 ぷっと尚が笑っているのに、遥冬はふいと尚から視線を外した。
 …耳が熱い。
 エレベーターが着いて遥冬が降り、尚が後ろをついてくる。
 変な感じだ。
 部屋に入って尚はギターを下ろすとキッチンに向かった。

 「遥冬、先シャワー。俺は腹減ったから何か作って食う」
 「…ああ」
 遥冬は頷いてシャワーに向かった。
 そして上がってくれば二人掛け用のダイニングテーブルにはチャーハンが二つ乗っていた。
 そういえば出がけに尚がご飯をセットしていったのだ。
 「お前も食え」
 「…え?」
 「市販の元混ぜてるからそこまでまずくはないと思うけど」
 「………尚、料理できるんだ?」
 「料理ってほどじゃないだろう。最低限だけな。俺器用だし。イマドキの男子はこれ位は出来ないとダメじゃね?」
 「………そう…?」
 「だろ。ま、いいや、ほら」

 遥冬は尚に勧められ、椅子に座るとおずおずと口に運んだ。
 ここの部屋で作ってというのは初めてだ。
 自分が、じゃないけど。
 尚がちらちらと遥冬を見ているのに遥冬は首をかしげた。
 「…おいしいよ」
 「あ、いや…そうじゃなくて…」
 困った様に尚が頭をかいていた。
 「違う?」
 「ああ。いや、さ…お前、まずくね?」
 「マズイ?」
 チャーハンがまずいんだろうか?

 「あ~~~……料理がじゃなくて!お前が!昨日も思ったんだけど…風呂上りで…髪濡れて…色気パねぇけど…いつもそんな?」
 「………は?」
 「やばいって」
 尚が遥冬から視線を外して顔を少し赤くしているのに遥冬は目を瞠った後くすりと笑った。
 どうやら尚にとって自分の容姿は少しはそういう対象に入るらしい。

 ふぅん。

 人形みたいに綺麗だ、とは影で言われてきたので少しは自覚はある。
 それに尚は自分の母親とかにも遥冬を綺麗だ、と言っていたらしいのだ。
 学校では全然尚の口からそんな言葉を聞いた事はなかったけれど、今まで自分は人に誉められた容姿に別になんとも思った事はなかったが、少しは役にたつかもしれないと遥冬はうっすらと笑った。
 そういや、尚は溜まってる、と言ってたな…。
 自分から好きだとか付き合うとかそんな事言う気などさらさらないけれど、そうだな…どうせ誰かとすることがあるのならば尚がいい。

 ここにいる間に誘惑してみようか?
 友人関係ではいられなくなるだろうけれど今更別に友人などどうでもいい。
 それに元々自分にパートナーなんて作る気もなかったんだから。
 たまたまちょっと惹かれただけだ。
 いずれ誰かと、というのならば初めては自分で選んだっていいだろう。
 …尚には気の毒な話かもしれないが。
 くす、と遥冬は妖しい笑みを浮べた。
 
 
----------------------
拍手コメントお返事です^^
(7/22分)
HRN様
 進展してました?(^m^)
 仲良くはなってますね^^
 ナンパ!
 こわいですね~~~(><)
 でもされる位可愛い♪という事です~(^m^)
 そこにカッコいいヒーロー登場なら
 文句ないのにね…(--;)
 今の男の子はダメかな…^^;
 頼りにならなさそうだよね…↓
 いくらでも書き込んでいいですよ~(笑)
 ありがとうございます~^^

S様
 暑いのね~…
 ウチの方は毎日涼しいです^^;スミマセン(笑)
 う~~~ん…泥沼ってほどじゃないけどなんか薄暗い感じ?^^;
 でも尚が出ると途端にギャグっぽくなるけど…
 お尋ねの件は一応ちょっとだけ予定してます~(^m^)
 ありがとうございます~^^

FNH様
 返信不要とありましたが…^^;
 尚は空気読めます~(笑)
 そして勿論デロアマ…というかエロアマ(?)になりますです^^;
 でも遥冬くんがう~~~ん…
 あ、黙っておきます(笑)

 そしてお言葉ありがとうございますm(__)m
 あの時は本当にいいタイミングで(笑)
 つい、そうなの~!と思って^^;
 凝り凝りは肩甲骨動かすのがいいんですよね~(><)
 肩甲骨動かす体操(ってほどでもないけど)
 教えていただいたのですが、
 ついまた猫背でPC前に…^^;
 だからいけないのですね~(><)
 分かってはいるのですが…気をつけます^^;
 応援もありがとうございます~^^

OKW様
 尚かっこいいですか~?(笑)
 なんか残念さがどうしてもなくならなかったのに…^^;
 基本はかっこよく書いたんだけど、
 何故か、どうしても…(爆)
 キャラクター像浮かびますか?(^m^)
 嬉しいです~~~////
 読みやすいかは自分ではよく分かりませんが^^;
 そう言っていただけて嬉しいです♪
 ありがとうございます~^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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