--.--.--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2012.09.11(火)
土曜の朝っぱらからインターホンがなった。
「…また宗…?」
明羅は身体が重い、と思いながら目を覚ました。
金曜の夜はいつも怜が身体を離してくれなくて…。
「宗以外考えられないが…」
怜が明羅にキスしてからベッドを立ち上がり、そして明羅ものろのろと起き上がって着替えを始めた。
始めの頃のように意識がなくなるほど、まではなくなっていたけど…。
それでもかぁっと明羅は顔が火照ってくる。
「明羅」
怜の呼ぶ声に明羅は寝室からリビングに向かった。
怖い…。
何故か向かいにいるのは怜さんのお父さんで。
明羅はそっと怜の顔を伺った。
「何の用です?」
「お前に用はない」
は?
明羅は怜の顔と怜の父の顔を見比べた。
怜の父は憮然とした顔で明羅を見ていた。
「…何、でしょう、か?」
「宗が君からCDを貰ったと」
そりゃ、あげたから。
明羅は怜を見た。
「……その首に点々とあるのは…」
明羅はばっと首を押さえた。
そしてかっと顔が赤くなる。
金曜の夜は怜がうっすらとキスの証をつけていくのだ。学校がある時はしないけど、金曜の夜は2、3日で消える位のものを。
恥かしすぎる!
「君は佐和子さんの息子なのか?」
怜さんのお父さんは脈絡なく明羅に質問を続ける。
「え、と…はい」
そろ、と隣に座る怜に明羅は身体を寄せた。
意味分かんないんだけど…?
ちらと怜を伺ったら怜も肩を竦め、その怜が明羅の肩を抱きしめてきたのに明羅は驚いた。
「…っ!」
お父さんの前だよ!?
明羅は目を丸くして怜を見つめた。
「…佐和子さんの息子に何してる」
「何って?」
挑戦するように怜がお父さんに視線を向けた。
お父さんはそれを受け流して明羅をじっと見た。
「君は…怜の事が、好きなのか?」
「……好き、です…。すみません」
まさかカミングアウトさせられるとは思ってもみなかったが怜の事で嘘はつきたくない。
「これをか!?」
「これじゃないですっっ!!」
また怜さんを軽んじるような口だ。
ぎゅっと怜の服を掴んだ。
悔しい。
その明羅の頭に怜がキスしてくれれば泣けてきそうになる。
「俺はどうでもいいが。親父、明羅の事で頼みがある」
「……なんだ」
「CDのせいでもしかしたら明羅が騒がれるかもしれない。そうならないようにして欲しい」
怜は明羅にCDを渡して顎でお父さんに渡せと指した。
自分で渡せばいいのに、と明羅は思ったけどCDをお父さんに渡す。
「…宗から借りればいいじゃん」
「………貸さないと断られた」
お父さんがじっとCDを見た。
「…これは君か?」
作曲者の名前に気付いたらしい。
明羅は頷いた。
「チケットは頼んでありますからっ!」
「君も行くのか?」
「当然ですっ」
一体怜さんのお父さんは何が言いたいのか?なにがしたいのか?
「チケットが来たら君が届けてくれ」
「はぁ?」
明羅は眉を寄せて怜を見れば、怜が口元を緩めて手で隠していた。
「いいですよ。明羅に届けさせますから」
え?
怜が了承していた。
「怜、明羅君の件は了解した」
「お願いします」
お父さんが立ち上がった。
怜も立ち上がるのに一緒に明羅も立って玄関まで見送った。
お父さんは怜さんに視線は向けなくて明羅ばっかり見ている。
「名刺を渡しておこう。何か困ったらいつでも連絡しなさい」
「………はぁ…」
名刺を受け取って怜を見上げればやっぱり顔が笑っている。
そのままお父さんは帰っていって、明羅はリビングに戻ってソファにへたりと座った。
「……なんなの?」
「さぁ?佐和子さんの息子見にきたんだろ。あと宗だけがお前からCD貰って面白くなかったんだろう」
「…なにそれ」
「いや、分かりやすいっていえば分かりやすいが…」
怜が口元を押さえて笑っていた。
「コレ宗に教えてやれ。…あとその名刺、大事にしまっとけ。プライベート携帯だろ。俺だって知らん」
「はぁっ!?」
「だから、あの人にとって佐和子さんは別格なんだ。お前はその息子だからな。しかも佐和子さんは外国で滅多に日本に帰ってこないし、その点お前はここにいるから。……煩くなりそうな気がする」
はぁ、と怜が嘆息するけど明羅には疑問符しか浮かばなかった。