その日、バイトから帰ってきてベッドに入った途端に尚が遥冬に手を伸ばしてきた。
まるで恋人同士のようにキスを交わし、尚が待ちきれないといわんばかりにシャワーを浴びて着たばかりの遥冬の服を剥いていく。
すでに尚は前を大きく漲らせていたのに遥冬は安心した。
男の身体は正直だ。
遥冬の女と違う遥冬の裸体にも力を失わない尚のそそり立ったものに手を這わせ、遥冬は自分から口づけ、そして含んだ。
さらにむくりと大きくなるのに気をよくして遥冬は夢中で舐め、吸いあげる。
「おま…やばいって…ほんと……。遥冬、こっち」
「ん、ぁ…っ」
尚がぐいと遥冬の下半身を引っ張り上げると尚の顔を跨ぐような恥ずかしい格好をさせられた。
「ちょっ…!」
「いいから。ほら?舐めて?」
慣れてると尚が思っているならこんな事も平気にした方いいのか…?
遥冬は羞恥を隠し、自分から腰を突き出す。
「…ほんっと……」
「?」
尚が溜息を吐き出していた。
なんか気に食わないのか?
「……いい眺めだ」
手にしていた尚の屹立がまたぐんと反応したのにダメではないらしいと遥冬はほっとしてまた尚を口に含んだ。
鈴口に舌を這わせ、舐め上げるように、そして喉の奥まで尚を含み、さらに舌を動かす。
「んんっ!」
下肢を尚の目の前にさらけ出していた遥冬の後ろのすぼまりに尚が口をつけてきたのに遥冬の腰が揺れた。
尚の手が遥冬の前に伸び、上下に刺激し、後ろも舌を差し込んでくちくちと湿った音が響いていた。
「あ、ぁっ!」
尚の指が中に入ってきて遥冬の尻がひくんと揺れる。
ぐっと奥に尚が指をいれて内壁を擦る。
さらに前への刺激も尚が緩めないのに遥冬は尚の屹立を口から離してしまう。
「あ…ん……ぅ……」
どうにか声を我慢しようとするのに背中が仰け反りびくびくと身体が反応してしまう。
「ここだろ…?」
「あ、あああっ!」
尚がそう言って遥冬の奥のある一点をぐり、と刺激すると我慢しようとした声は抑えがきかなくなる。
もっと…。
自然にねだるように腰が揺れればそれに応える様に尚の指はそこを衝いてきた。
「だ、め…だ……イく…」
「いいよ…」
遥冬は身体の力が抜けそうになると尚が遥冬の身体を反転させ上に乗ってきた。
「このほういいだろ。腕は首にまわしとけ」
尚の背中はまだ傷が残っている。
遥冬は言われた通りに尚の首に腕をまわすとぎっちりと掴まった。
「な、お……」
声に吐息が混じってしまう。
浅い息。
「一回先イくか?」
遥冬は首を横に振った。
「入れて…いい…」
尚だってもう痛そうなくらいに膨張している。
「まだキツイだろ」
「いい、…んだ」
「ダメ。も少し待ってろ。指増やすぞ」
尚が指を増やしてゆっくりと入り口から中を解していく。
「遥冬」
尚は遥冬の名前をよく呼ぶ。
家でもあまり呼ばれた事がなかったのに。
呼ばれないどころかいなくてもいい存在だったのに…。
喘ぐ声を我慢しながら、じっと遥冬は尚の目を見た。
すると尚がくすっと笑って遥冬の頬を撫でた。
「目の…奥に蒼い炎が見えるようだ」
「…え?」
「名前が冬だからかなぁ?紅い炎ではないな。蒼だ。深い蒼。静かに揺らめいてる」
「………寒そう、とか…なら…言われた事、あるけど…」
「表面はな。でもちげぇだろ。お前の中はそうじゃない…。なんてな…。分かったふりして、と言われりゃそれまでだけど」
「そうだ、ね……何も知らない…くせに…あっ!」
尚が後ろに自身を宛がってきた。
「…知ってる事もあるさ。お前の中は熱い」
ズ…と尚が遥冬の入り口をこじ開け中に入ってくる。
「あ、ああっ…っ!」
遥冬は尚にしがみついた腕に力をこめた。
「遥冬、息吐いて…ゆっくり」
尚に言われた通りにゆっくり息を吐き出すと、それに合わせて尚もゆっくり身体を進めてくる。
蒼い炎、なんて…。
氷のようだと言われた事はあってもそんな事誰にも言われた事などない。
「な、お…」
そんな事を言われて尚を離す事なんて出来るのだろうか?
「奥まで入った…痛くねぇ、か?」
「…たく、ない」
酷い圧迫感はあっても痛みはなかった。
もし痛みがあったとしたっていいんだ。
「尚…動いて」
こすり付けて、尚で一杯に満たして欲しい。
「こ、の…ほんと煽ってくんだから…」
「んあっ!」
ずっと尚が腰を引くと遥冬から大きな声が漏れた。
いい、んだ。もっと…。
尚に穿たれ、遥冬も夢中で快感を追う。
どうしよう…一緒にいればいるほど尚は遥冬の事を正確に分かってしまうのかもしれない。
今までずっと押し殺してきた心の中を…。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学