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蒼の焔。 5

 土曜日でGWのバイト終了。
 「お疲れっした!」
 「また来週から土曜日限定だけどよろしく」
 「お願いします!」
 尚がバンドの人とか店の人に挨拶していた。
 明日は日曜で50’Sは休み。そしてGWも終了だ。

 遥冬が終わるのを待って尚と一緒に帰る。
 こうして一緒に過ごすのも今日で最後か、と思ったのにどうやらまだ土曜日限定で続くらしい。
 「遥冬、わりぃな」
 「……何が?」
 「いや、来週からも世話んなるから」
 「……別に」
 遥冬の返事に尚はにっと笑った。
 「よろしくな」
 それに遥冬は返事をするでもなく尚と一緒にマンションへと帰った。
 
 「なぁ、俺の着替えとかちょっと置いてていい?したらギター一本だけで来られるなぁ、とか思ったんだけど」
 「……どうぞ」
 「サンキュ」
 何が楽しいのか尚はずっと顔が笑っている。
 その一緒にいられるGW最後の土曜、尚はやっぱり遥冬を抱いた。
 明日尚は自宅に帰るだろう。
 そうしたらまた遥冬は一人だ。
 でも土曜にはまた尚が来るんだ。



 GWが終わって普通に大学も元通り。
 構内で尚と一緒にいるのも変わらない。尚の態度も。
 うるさかった視線はいくらか治まった感じはした。
 あんな目を向けられても尚の態度は何一つ変わらなかったんだ。
 今まで田舎の固執概念で凝り固まった衆人の目の中にいた遥冬には尚が新鮮だった。
 誰もが今まで遥冬を腫れ物に触るような扱いをしていたのに、尚はそれがない。 

 …それにしても…。
 週末の土曜日に尚はギター一本背負ってバイトに来て、ステージを終えると遥冬と一緒にマンションに帰り、そして当然の様に遥冬に手を伸ばす。
 しかもかなり執拗と言っていい位に濃厚にキスやセックスを繰り返した。
 日曜は遥冬のバイトも休みだからだろうけど。
 そして尚の腕の中で目覚める朝が毎回恋人同士のようだ、と思ってしまう。

 でも互いに何も言葉なんてない。
 遥冬からだってないし、尚からもない。
 学校では今まで通り何も変わらない尚だったけど、マンションに来ればずっと遥冬を離さない位な感じで遥冬は戸惑ってしまう。

 一体尚は何を思っているのだろうか?
 何を思って遥冬を抱くのだろうか?
 ただ欲望のはけ口、と言うには尚は優しすぎる。
 キスも何度も何度も。
 勘違いしそうになってくるじゃないか。
 それならそんな関係などやめればいいのに遥冬は自分から止める事も出来ないんだ。
 
 大学からの帰り、最寄の電車の駅に降り立つと改札口出口で水野が待っていた。
 「おかえりなさいませ」
 「…別に用事ないけど?」
 「今日はこちらを」
 水野から結構厚めの茶封筒を渡された。
 「……何?」
 「井上 尚について」
 じろりと遥冬は水野を睨んだ。

 「誰が頼んだ?」
 「いえ、頼まれたわけではありませんが、一応身上に裏がないか調べないと…。これはそのついでです。今日の用件ははそれをお渡しするだけでしたので。遥冬さん、彼に本気になっても無駄ですよ?」
 「本気?」
 はっ、と遥冬は馬鹿にした笑みを浮べた。
 「くだらない事言うな」
 「………そういう事にしておいてもよいですが…」
 意味ありげに水野が遥冬を見ていた。

 「では失礼致します」
 本当に用事はそれだけだったらしい水野が頭を下げるのに遥冬はそのまま挨拶もせず自分のマンションへと帰った。
 手には茶封筒。
 部屋に入ってそれをあけて見た。

 家族構成?知っている。
 両親に尚そっくりの弟だ。
 「あ…」
 尚の写真も色々と入っていて、その中の一枚は高校の時のバンドをしていた時のものだろう物も含まれていた。

 へぇ、と思わず見入ってしまう。
 ちょっと幼い、かな?
 思わずふっと顔が弛んだ後に今度は顔が強張った。
 出てきたのは尚が岳斗くんと一緒にいるところの写真だった。
 尚の顔が弾ける様な笑みを浮かべている。
 写真は岳斗くんのバイト先の酒屋さんらしい。
 ……行ったりしてるんだ。

 そういえば知り合いがいて、そこでたまたま遥冬を見かけたと言っていた。
 あれは岳斗くんの事か。
 入学式のあの後、尚はわざわざ岳斗くんの所に来ていたんだ。そしてそれは何回も、だ。
 何枚もある写真の尚の服装が違う。
 …やっぱり尚は岳斗くんが好きなのか…?

 「………っ!」
 写真を次々見ていくと遥冬と尚が一緒にいる写真もあった。
 自分はこんな顔して尚を見ているのか!?
 写っていた写真の遥冬の目は尚を凝視していた。
 愛しいと切ないが同居しているような目で。
 遥冬はその横で遥冬を見つめる尚の顔が写っている写真をじっと見つめた。
 


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続きお返事です^^
(7/29,30午前分)
TNT様
 いえいえ~拍手だけでもありがたいです(T-T)
 ありがとうございますm(__)m
 素直はなかなか…でも隠しきれてませんけど^^;
 それでも何故か尚にどうしても!
 残念感がにょきっと生えてくるんですよ(笑)
 捨てきれませんでした~(><)
 かっこいいはずなのに…^^;
 ありがとうございます~^^

KRB様
 尚はがんばるのですが~^^;
 そして土曜日は通い夫になります~(笑)
 尻に敷かれ~いいようにされ~状態ですけど(^m^)
 学校でのらぶらぶモードはさほど嫌でもなさそうです(笑)
 でもぴしゃり、とされますけど(笑)
 ありがとうございます~^^

S様
 感想ありがとうございます~^^
 …というかええと…あのお二人って有名なの???^^;
 よく分かってないのですが…???
 でもありがとうございます~♪

 甥っ子ちゃんお誕生日なのね~^^
 おめでと~!と私が言っても仕方ないけど^^;
 昼ドラは別に三角とか四角になるわけではないです~
 なんとなくドロドロな感じ?^^;(私にしたら、よ? 笑)
 でも何しろ尚なのでやっぱり漫才は入ってる感じになりますけど^^;

AHN様
 口元緩みますか~?(笑)
 楽しみなんて…////嬉しいです♪
 ありがとうございます~^^

USGちゃん様
 こちらにお返事で分かるかしら…?^^;
 わざわざご来店ありがとうございますm(__)m
 私も一気読み派なのでお気持ちは分かります(^m^)
 熱シリーズは結構皆様そう言ってますよ(笑)
 私も実は年下攻めってそんなに好きじゃないはずなのですが、
 なぜか書いてました^^;
 嬉しいお言葉本当にありがとうございますm(__)m
 岳斗も気に入ってくださって嬉しいです~♪
 他の作品もお楽しみいただければ幸いです^^
 ありがとうございます~~^^/

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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