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焔が燻る。 1

 我慢出来なくて学校でイタした後の遥冬は何ごともなかったかのように綺麗な顔で学食で普通に飯を食っていた。
 人形のような、と称される顔はその通り表情を見せず黙々と食事を平らげている。
 ダルそうな雰囲気もなくだいぶ後ろに慣れたらしいのに尚は安堵した。

 ひどくなさそうなのに安心はするけど、ホント振り回されっぱなしだと思う。
 遥冬に誘惑されりゃ一発で堕ちてしまうんだから…。
 我慢出来なくてトイレに連れ込むくらいに。
 はぁ、と思わず溜息が出てしまう。
 遥冬がどうした?という顔をして尚を見たのになんでもないと尚は首を振った。

 昨日は遥冬から電話が来て、初めての電話に何事か起きたのかと思ったら岳斗の事だった。
 岳斗に元気がない、と。
 行ってみれば確かに意気消沈してた。
 どうせ行く前から千尋の事で、という事は分かっていたが。

 岳斗に惚れてるんだ、と思っていた。
 あの一途な目が自分を見るなら、と思っていたはずだった。
 でも岳斗にキスしたいとは思わない。
 …そう、昨日気付いた。
 岳斗が泣いていても凹んでいても勿論心配はするしお節介もやいてやる。
 実際、昨日も岳斗を家まで送り、そのまま帰ろうかと思ったのにまた舞い戻ってまだまだバイトの終わらない遥冬を待っている間に千尋にメールを送ってやった。
 岳斗は自分で泣いてるなんて送りはしないだろうから。
 寂しいも言わないで我慢しているんだ。

 でもそれだけだ。
 惚れてたはずなのに?
 岳斗の顔を見て岳斗が笑っているのを見ればほっとする。
 よかった、と思う。
 千尋の残していったクロスを大事そうに岳斗が触るのにはイラっとする。
 でもそれだけだ。

 尚は自分が分からなくなって遥冬のマンションの前で待った。
 セキュリティがあるので中には入れず、でも顔は覚えられていたので咎められる事もなかったのはよかったが…。
 思ったよりも早く帰ってきた遥冬は顔が強張って青白くなっていたのにわざわざ戻ってきてよかった、と自分を誉めた。
 そして時間が経つと遥冬の顔色が普通に戻ったのにほっとした。
 …気になって仕方ないんだ。
 岳斗に対する気持ちと遥冬に対する気持ちが全然違う。
 なにが、どう、とは自分でも分からないが…。

 イメージが間逆だ。
 岳斗には安定、安らぎ、笑顔、春、太陽、…連想するならそんな感じか。
 遥冬は不安、焦燥、無表情、冬、闇夜の月、…そんな感じだ。
 でもどうしても放っておけない。

 一緒に眠っている時、遥冬は気づいていないだろうけど、尚が手を離しているとずっと寝返りを何度も打つのだ。
 起きてるのか、と思ったけど寝てはいるらしい。
 そして尚が捕まえると安心したように大人しくなって寝ている。
 それに悲痛な声を漏らして魘されていたのも何度かあった。

 なにを抱えているんだろうか?
 それを考えるともう頭の中は遥冬だけだ。
 大学に入ってからずっと遥冬の事ばかり考えている気がする。
 最初はずっと一緒にいるからだろ、と思っていたけれど、それを考えれば高校の時なんか千尋達とずっと一緒だった。
 学校で同じクラス。バンド練習に、と。休みに家に行ったり来たりで集まって曲決めとか、散々会ってたって遥冬に対するように考える事なんてなかったのに。

 「尚?どうかした?」
 「え?ああ、なんでもない」
 いつの間にがぼうっとして考え込んで箸が止まっていた。
 「ちょい待って。すぐ食い終えっから」
 「…別に。急がなくたっていい」
 すでに食べ終わっていた遥冬がつんとして言い放つ。
 遥冬の別に、は<いいよ>の代わりだ。

 何も思っていないのかと、感じないのかと、最初は思った。
 でもそれは勿論間違いで、遥冬はたまに隠しきれない炎を瞳の奥に見せる。
 それにぞくぞくとくるんだ。
 もっと見たいと思うのにそれはすぐにまた隠されてしまうのが残念で仕方ない。
 最初はそれだけだった。
 それが笑顔も見せるようになって、さらに色々な表情を見せるようになってきたのに次はどんな顔を見せるのか、とつい遥冬の顔ばかりを追うようになったんだ。

 挑戦的な顔も誘惑して来る時の顔もただ笑みを浮べた顔も、それを引き出し、向けられるのが自分だという所に優越感を持ってしまう。
 はぁ、と尚は小さく溜息を吐き出した。
 …けど、いくらなんでも学校でセックスはマズイだろと自分でも分かっているけど、なにしろ止まる事が出来なかったんだ。

 「……やっぱ遥冬が悪い」
 ぼそりと尚が呟くと遥冬は一瞬何が?という顔をしてそれから表情を変えずに器用に耳だけを仄かに赤く染めた。
 尚が何を言いたかったのか分かったらしい。
 そして多少自覚もあったらしい。
 尚はそれに満足してくすっと笑ってから遥冬の背中をぽんと軽く叩いた。
 
 
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みーしゃさんからイラストいただきました~^^
本日怜のお誕生日でした(^m^)
ありがとうございます~
サイト chaque jour
 
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続きにお返事です~^^
みらい様
 名前だしたけど…いいよね^^;
 こちらこそありがとうございます~m(__)m
 すみません…忙しいのに…(T-T)
 これはキラキラ明羅クン(命名)
 次はエロエロ遥冬クン
(お願いします! あ、でも時間ある時で…^^;)
 なんか随分差があるような…^^;
 怜と明羅はオトイレではイタしませんね…
 基本上品なお方達でしょうから~(笑)
 イラストもコメントも
 ありがとうございます~~~m(__)m

thz様
 お返事よろしいとの事でしたが…
 かわえええーー!!!とみらいさんにお伝えしないと(^m^)
 こう言っております^^
 ホント何だってやるさ!ですよね(笑)
 ありがとうございます~^^

HM様
 すっげかわいい~!とこちらもみらいさんにお伝え分という事で^^
 そうなの~!これアナログってすごすぎです…
 もう髪が…髪が…やはり神…(><)
 ありがとうございます~^^

KRB様
 エロくて最高(笑)
 ありがとうございます~(^m^)
 なんと!スッキリしただけでした~(爆)
 ありがとうございます~^^

okw様
 イタしてしまいました~(笑)
 いいですよね…学生(爆)
 イラストは是非~(^m^)
 いつでも待機しとりますデス、ハイ!^^b
 帰省気をつけて行ってきてくださいね~^^/
 ありがとうございます~^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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