学校でエッチした週の土曜日、部屋に行っていいかと言いたいのを我慢して遥冬の部屋に泊めてもらえる土曜日になった。
さすがに毎週泊めてもらってて突発でも行ってしまい、さらにまた行っていいかとは言いがたい。
ずっと学校でのセックスが頭をよぎって疼いて仕方なかった。
エッチの時の遥冬は壮絶にエロい。
誘うような目をして、羞恥を必死に押し隠しているのがまたそそる。
恐らく、いや確実に尚が初めてだったはずなのにいかにも知っている風を装っているのはすぐに気付いたが、なんで遥冬はわざわざそんな態度をするのだろうか?
分かっていても尚はそれを問いただす事はしなかった。
どうも何か理由があるらしい。
ぽつりぽつりと過去が漏れる事も出てきたが、それを聞かれるのを拒否している空気は読み取っていたので、聞きたいのは山々だが遥冬から話されるまで待とうとは思っていた。
それより気になるのは遥冬は自分の事をどう思っているのか、だ。
嫌われちゃあない。
それは分かる。
好かれているだろうとも思う。
自惚れではないだろう。
でもどれ位?
ひっかかるのは電話だ。
GW中何度かかかってきていた。…多分相手はあのスーツの男。
でも電話で話す遥冬の口調にいつもと変化はなかった。
…鉄壁の無表情さだ。普段は。
学校でもその通り。
遥冬の表情は学校ではほとんど変わらない。
その為に学校で尚は、よく一緒にいるな、とか声をかけられる事もある。
でも尚は遥冬の笑った顔も泣きそうな顔も不安な顔も知っている。
かすかに口元に笑みを作るのも多くなっていると思う。
自分に対して、は、だ。
尚は遥冬のマンションに向かう電車の中で思わずにやけそうになる口を覆って顔を俯けた。
遥冬が尚に対しては警戒心が薄れたのか、どうなのか理由はわからないけれど、ある程度の表情を出すようになっていた。
自分にだけだ。
それが尚を優越感にひたらせる。
セックスは拒まれた事はなくむしろ積極的。
そりゃそうだ、自分から手を伸ばしてきた位だから。
尚も溜まっていたけど、遥冬も溜まっていたのか?
普段はエロなんて感じさせないような雰囲気なのにあれは壮絶にヤバイと思う。
「…してぇ、な…」
遥冬を抱きたい。
誰でもいいんじゃなくて、遥冬を。
官能に歪む顔、イく時の顔。
「…やっべ…」
思い出しただけで勃ってきそうになる。
やっぱこれって遥冬が特別好きって事だろうか…?
自分でヌく時も想像するのは遥冬の顔だ。
そういや岳斗でエッチなんて考えたことはねぇなぁ…と尚は首を捻った。
千尋に抱かれてるんだろうと思う事はあってもそれだけで、千尋にどうしても対抗意識を持っていたから、岳斗に絡んでいただけなのか?
岳斗の目はいつでも千尋一筋だ。
あれが欲しいと思っていたけれど…。
今だってきっと岳斗は千尋に会いに行っているはず。そして久しぶりに会えば抱かれるだろう。
でもそれに対して別に何とも思わないけど、遥冬がもしあのスーツの男と…と考えればとてもじゃないが平静でいられないような気がする。
岳斗の事を好きなんだと思っていたけど、違ったのか?
千尋と岳斗が羨ましかっただけか?
……まるでガキじゃん。
尚は頭を抱えた。
そして携帯を取り出し遥冬に今向かってる、とメールするとすぐに分かった、と返事が返ってくる。
電話もメールも毎日会っているのでした事なんてほとんどない。
それなのにそのメールの返事だけで遥冬の顔が脳裏に浮かんでしまう。
毎日見てんのにどんだけだよ…。
GW中なんか10日近くもそれこそ24時間一緒にいたのに見飽きないし、それどころかもっと捕まえておきたい位の勢いだったんだから。
セックスもかなりいい。
本当はもっと何度もイタしたい所だが、一度出してしまえば終わりだと思っているのか遥冬は素っ気なくなる。それでもわざと中で出してかき出すときにイタズラをしかけるのだが、いつも逃げられてしまうのだ。
恥ずかしいだけかもしれないが、事後はいつも表情を隠してしまうので読み取れなくなる。
でもそれで嫌がられているわけでもなく、朝寝起きに遥冬からしかけてくる時もあるんだから、いつも翻弄されてばかりだ。
それでつい乗っかってるんだからメロメロなんじゃねぇか?と尚はやっぱり頭を抱えた。
だよなぁ…。
今だって今日はやっと遥冬を抱けると思えば浮き足立っている位だ。
仕掛けるか、仕掛けられるか。
それも楽しいんだから。
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