二度目に達したあと、遥冬は身体から力が抜けて半分意識をとばしていた。
風呂場ではじめてしまったからというのもあるかも…。
尚はぐったりとした遥冬の身体の後ろに手を這わせ、中から自分の放ったモノをかき出し、遥冬を抱き上げて風呂場を出た。
「ちょっと立てるか?」
「…う…ん…」
尚にもたれたままの遥冬の身体をふいてやってそのままベッドに運び、自分は冷蔵庫からミネラルウォーターを手にまた寝室に戻る。
「遥冬、水だ…飲めるか?」
「のめ、ない……のま、して…」
声を出すのも億劫そうで、尚は自分で煽りそのまますぐに口移しで遥冬の口に運ぶ。
こくりと嚥下する遥冬の白い首には尚のつけた赤い痕。
「もっと?」
「ん…も、っと…」
何度か繰り返すとやっとはぁ、と遥冬の口から安堵の息が漏れた。
全裸のまま力なく横たわる遥冬の身体に視線を這わせた。
困った事にまだ治まらないらしい。
好きだ、と自覚したからか?
スーツの男の影が見えるからか?
くったりとしている遥冬の身体を指で辿った。
「…な、お…?」
「悪い…イタズラ、していい?お前が欲しくてたまらない…」
水を飲んで息をついたのか遥冬がうっすらと目を開けた。
「僕が欲しい?」
「ああ、遥冬が欲しい」
「いいよ。…尚の好きなようにして」
「ばっか!そんな事言われたら止まれねぇって。やめろ、って言え」
「言わない…。……いい、んだ。して…?」
薄く笑みを浮べた遥冬の目の奥から蒼い炎が放てられている。
尚を雁字搦めにして焼き尽くすように覆っていくようだ。
「ばか…止まんねぇぞ?」
「いい、と言ってる」
尚は遥冬の身体中あちこちに口を這わせ痕を残していった。
「ぁ…っ……」
その度に遥冬からは甘い吐息が漏れる。
なんで…好きにさせる?
でも遥冬からきっと肝心なその言葉は出てこないのだろう。
……自分をコマと言い切った遥冬からは。
それならば…。
「遥冬…好きだ」
「……えっ!?」
「え?ってなんだよ。好きじゃなかったらこんな事するか」
「…だ、って……」
「お前の全部を分かっているわけじゃないけど……それでも分かってるつもりだ。その全部が好きだ」
「あ、ああっ!」
遥冬の力を無くしている自身に手を触れそして口に含んだ。
「な、おっ…や、め……」
少しずつまた硬くなってくるのに手を添え、口は足の付け根に場所を変え、そしてそこにも痕を残す。
どこもかしこも尚の痕だらけにしてやる。
全部だ。
腹も背中も首も腕も足もあちこちに散らしていく。
一応首とか見えるようなところには気をつけたつもりだけど何箇所かはわざとつけておく。
あの電話をかけてくるヤツにも分からせるように。
遥冬はもう俺のものだ。
…好きだと告げたからか?遥冬の身体もまた敏感に尚の痕跡を感じ取って身体が戦慄いている。
「おかし、く…なり、そ……」
「いい。遥冬……」
「ああ!尚…ほし…い……っ」
いつも自分を制御しているだろう遥冬に望まれればそれは全部叶えてやる。
「ああ。もっと言っていい。なんでも…」
遥冬の腰にまた己を突き刺していく。
遥冬が相手だといくらでも出来そうだ。
尽きる事がなさそうだと苦笑してしまう。
でもそれじゃあ遥冬が壊れてしまいそうだ。それなのにまた煽ってくるのだ。
「尚…もっと……」
足を尚の身体に絡め、キスを貪り、腕が尚に抱きつく。
尚も遥冬の背に手を回しぎゅっと身体を抱きしめ、そして奥を突く。
「遥冬…好きだ…」
「あ、あああっ!」
言葉に感じたのか遥冬が身体を震わせ達するけれど、遥冬の出したものはすでに薄くなって少量だけになっていた。
「遥冬…?」
そして今度は意識を本当に手放してしまったのか眦に涙を浮べて身体をぐったりとさせ力を失っていた。
「遥冬」
遥冬が達した時に尚もまた締め付けられどうしたって誘導されるように自分も遥冬の中に吐き出せられて苦笑してしまう。
「よすぎだっつうの」
「…っ」
尚が遥冬の身体から出ようとしたら遥冬の身体が反応してまた締めてくるのに溜息を吐く。
意識を飛ばしているのに、それでも逃さないと言っているようだ。
「お前に捕まってるよ?」
遥冬の耳元にそっと囁いた。
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