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2012.09.12(水)
「怜さんのお父さん…変…」
車に戻って明羅が言えば怜が噴き出した。
「だから親父にとって佐和子さんは特別なんだ……そういえばCDご両親に送ったんだろ?連絡ないのか?」
「ないね。どこかに公演にでも行ってるんじゃないかな」
「……お前の家も十分変だろ」
「うん」
怜の言葉に明羅は頷く。
「でもそのおかげでこうして怜さんと一緒にいられるし、いいかな~っても思う」
「………それは確かに」
怜も納得する。
「伊藤さんはもうすぐ調律来る?」
「ああ、そうだな。チケットはその時でいいだろう」
「うん。宗には明日学校で渡せばいいし」
楽しみだ~と明羅は口元を抑えた。
「プレッシャーかかるな」
「え~?怜さんが?」
「ん~…プレッシャーというのとはちょっと違うか…。やっぱり怖いのは明羅だな」
「え?俺?」
「そ。いままでのコンサートでも、10年、お前の姿がいるかいないかが気になっていた。今はこうやって隣にいるけどお前に飽きられたら…もしくはお前が幻滅したら、が怖い、かな?」
「…ないけど?年一回の音だけで10年だよ?今は音だけじゃないし毎日いっぱいいっぱい貰ってる分あと100年以上大丈夫だと思うけど?」
怜は大きく目を見開いてそして派手に噴き出した。
「……笑う所?」
「いや、悪い。あまりにもあっけらかんで…」
「……じゃあ怜さんは俺に…飽きちゃう?やっぱり女の人でもないし…幻滅する…?」
明羅は声のトーンを落とした。
「いや、ないな…悪い。お前がじゃないんだ」
「怜さんだけだって…言ってるのに…」
「いや、だから明羅がじゃなくて、俺がだ…明羅」
怜が明羅の肩に手をかけた。
「運転中」
「大丈夫だって。ほら信号だし?」
車が止まった。
ぐいっと身体を引き寄せられてキスされた。
「れ、怜さんっ」
明羅が慌てると怜がにやっと笑った。
「責任取らないとな」
「責任?」
顔が熱い。
「そ。なにげに宗も親父もお前受け入れてるからあとはお前の家だ」
「…は?」
「明羅くんを下さいって言わないと」
「な……に……?」
かぁっと身体が熱くなってくる。
「だって返す気ないし。明羅くんは誰のもの?」
「…れ、怜さんのだよっ」
くくっと怜が笑って信号が青になるちょっと前にもう一度キスされた。
「CDの事とか学校じゃ言われないのか?」
「言われないよ」
夜、ベッドで横になりながらの会話だ。
「先生には呼ばれて聞かれたけど。進路の事もあって丁度よかったから」
「…そうだ、進路どうしたんだ?」
「ん~。外国の音大に行こうかと考えてるって言っといた。そんな事考えてないけど。そうしたら学校側じゃ何も言えないでしょ?親もあっちに行ってるの知ってるしそれこそ専門なんだから」
「…本当にそれ考えた方がいいと思うけど、な」
「え~…やだよ。怜さんが行くなら考えるけど。離れるのは無理。死んじゃう」
「……大げさだろ?」
「ううん……本当だよ。家帰った時いつもそうだったから。怜さんが車で帰ったあと、すぐ声聞きたくて会いたくて…いつも携帯握ってた」
「…かけてよこせばよかったのに。そしたらすぐ戻って明羅を奪ってやったのに」
怜が明羅の身体を抱きしめた。
「だって…怜さん俺、帰すから…いらないのかな…って……俺はずっと一緒にいたい、って思っても怜さんは違うかもって…」
「ばか」
怜が明羅の唇を啄ばんだ。
「我慢してた。宗と同じで、高校生でって。ま、全然もたなかったけど」
怜の手が明羅の服の下に忍び込んでくる。
「怜さ、ん…」
身体がすぐに反応してしまう。怜の手が与えてくれる愉悦をもう明羅の身体は知りすぎていた。
怜の舌が明羅の身体を辿れば疼きが湧き上がってくる。
ウェストに手をかけられ下半身を剥かれるとやっぱり恥かしくて怜の首ぎゅっと抱きつく。
「がりがりで細いのにな…」
むっと明羅が口を結ぶとそこに怜が笑いながらキスする。
「がっついてる俺の方が恥かしいだろうが」
全然恥かしくない…。怜がそうしてくれれば明羅は嬉しいだけだ。
「怜さん…」
欲しい。
怜さんなら何でもいい。
…ただ、全部欲しい。