「んっ…」
遥冬は口を両手で塞ぎ、声を押し殺した。
それでもつい小さく漏れてしまう。
「ん…ふ……」
尚の屹立が遥冬の中に埋まってくる。
…夏休みまであと何回出来るだろう…?
「遥冬…好きだ」
「……っ!」
尚の囁きが耳に入れば、その甘い言葉に身体も心も震える。
今まで誰にも与えられなかった嬉しさが遥冬を包んでいくのだ。
必要とされていなかった自分が尚には必要と言われているようで…。
そのいらない自分が今度は加々美の血の為に必要とされている。
でもそれは遥冬でなくてもいい事だ。必要なのは加々美の血が入っている精液だけだ。
尚は違う。
遥冬を必要と言ってくれているだ。
抱きつきたい。
しっかりと。
「んっ」
「…明日な…。お前の部屋でいっぱいしてやるから」
尚が遥冬を穿ち、律動を始める。
夏休みを終えたらどうなっているのだろう?
全然先など読めない。
女を抱く事になるのだろうか?抱けるのだろうか?
「遥冬…何考えてる?」
尚が頭の中で色々な事を巡っている遥冬に声をかけてきたので遥冬は小さく頭を横に振った。
何でもない。
尚には関係のない事だから。
自分の家の事なんだから。
「尚」
…今は忘れさせて欲しい。
「遥冬、我慢することないんだ。何でも言っていい、望んでいい。叶えてやる」
「な、んでも…?」
息が短く切れながらも尚に確かめた。
「ああ。何でも」
「……尚が…ほし…」
「いいよ。あげる。俺なんかでいいならいくらでも」
尚が小さな律動を繰り返しながら囁く。
本当に…?今だけじゃなくて尚の全部が欲しいのに…?
そんな事を望んじゃいけないと分かってるけど…。
遥冬は尚に与えられる快感と律動を追った。
口を押さえ、声を押し殺しながら…。
「……っ!」
尚の手が遥冬の前をさらに刺激してくるのに身体が震える。
「んっ……んぅ…っ」
「感じるか?イイ?」
遥冬はこくこくと小さく頷く。
「で、そ……う…」
「いい…遥冬…」
尚がキス出来ない代わりに遥冬の耳にキスしながら囁く。
さらに奥をも衝かれると背中が反り声が大きく漏れそうになるのを必死に我慢した。
「…我慢してる遥冬もイイ…。扇情的だな…」
「な、に…言って…」
「いや、もう何だってイイにしか見えないんだけどな…困った事に…」
言い返そうとしたけれどだめだ、と口を塞いだ。
「遥冬…イくぞ?」
「ん…っ」
律動が早くなり尚の身体にも額にも汗が浮かんでいる。
微かに目を開け、尚の目を見ると尚も遥冬を見ていた。
視線が絡んだままぐっと奥に尚が腰を押し込み、遥冬は顎を仰け反らせて達し、身体をひくひくと痙攣したように戦慄かせると尚の屹立も遥冬の中でびくびくと反応していた。
荒い息のまま身体を弛緩させ、手を口から外し、回せなかった尚の首にぎゅっと抱きついた。
「汗でべたべただぞ?」
「…いい」
尚は仄かな風を送り込んでいたエアコンのスイッチを押すと、冷たい風が身体を冷やしていく。
そのまま何度かキスを繰り返した。
「……お兄さんの用事ってなんだったんだ?」
「…………尚には関係ない事だよ?」
びしりと遥冬がシャットアウトした。
言えればいいのに。
本当は全部。
「………無理に聞いた方がいいのか?お前ずっと…実家に行ってから変だろう?」
…やっぱり尚は分かってるんだ。
遥冬は頭を静かに横に振った。
「…どうしうようもない事だから…いいんだ。…今こうしてくれるだけでいい」
「そんなのいくらでもしてやるけどな…」
尚が遥冬の身体を力強く抱きしめてくれる。
「ちょ…な、尚…」
「ん?ああ、中でまたおっきくなってる?」
くすっと笑いながら尚が遥冬の中から抜け出たのにびくんと遥冬は身体を揺らした。
「今日はいいよ…。やっぱお前の声聞きたいし…。明日な?」
「……別に」
「うん。いっぱいしてやるから…」
くすくす笑いながら尚は遥冬の身体から手を離して、後処理をしてくれる。
どうしていいか分からない遥冬はいつも尚に任せきりにしてしまうのだが…。
「…僕も、する…?」
「いや、いい。お前にされたらまたしたくなるもんよ」
遥冬はかっとしてタオルケットに包まった。
「遥冬さぁん?」
「……寝る」
「うん。一緒寝る?くっ付いて?」
「…………別に」
「はいはい」
尚はいつも笑ってそして遥冬がして欲しい事をしてくれるんだ。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学