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焔の行方。 2

 「突然にすみません」
 運ばれてきたコーヒーに一口つけ、男が口を開いた。
 そして胸の内ポケットから名刺を取り出して尚に渡してきた。
 「水野と申します」
 「……どうも。井上です」
 ここにこうしているって事はこいつは俺の事は知ってるんだろうと思いながらも一応挨拶した。
 名刺を見ればなんか色々と肩書きが載っている。
 会社の顧問とか、秘書とか、コンサルタントとか、…。ありすぎて結局なんの仕事なのかイマイチ分からない。
 思わず名刺を見て尚が頭を傾げると水野がふっと表情をほんの少しだけ崩した。

 「主な仕事は加々美の家の事です。遥冬さんのお父様は県議会議員ですがその秘書は別におります。私はどちらかといえばプライヴェートの方のサポート役です」
 「ふぅん。水野さん、ね。GW中に遥冬に電話してきてたのもアンタ?」
 「左様でございます」
 …こんな年下のガキにその口調は馬鹿にされてる感もするが、顔を見れば馬鹿にしているのではないらしい。いたって真面目な表情で、そんな言葉遣いをする人に会った事がなかった尚は新鮮に感じた。

 「単刀直入に話をさせていただきます。遥冬さんの事はどういう風にお思いでしょうか?それと今回の件はお聞きですか?」
 「…………」
 尚は計る様に水野を見た。
 こいつは遥冬にとって味方なのか?違うのか?
 …いや、いずれにしたって尚は隠し立てする気はない。
 「一番大事な存在だけど?」
 尚の答えに水野は口を押さえ、考え込む。
 「……どんな状況でもそう言えますか?」
 「そのつもり」
 遥冬に好きだ、と告げた時点で尚は腹を括った。どんな事でも遥冬の事なら受け止める、と。
 即座に迷う事なく尚は言い切った。

 「………今回の件ってのは?…それに、アンタは遥冬のナニ?」
 尚が一番気になっていたのはそこだ。
 最初はコイツが遥冬の相手かと思ったがどうも違うらしい。何しろ遥冬は初めてだったはず。コイツとヤッってたらあんな息を止める様な状態になるはずない、とは思うが…。
 「目付け役、とか世話係とか、そのようなものです。遥冬さんのお父様はお忙しい方なので」
 忙しいだけじゃないだろう。遥冬は興味なんてないんだ、と言っていたんだ。
 「遥冬の父親は遥冬本人に興味なんかない、とか言ってたけど?」
 尚がそう言うと水野が驚いたように大きく目を見開き、尚を凝視し、そしてゆっくりと息を吐き出した。

 「遥冬さんが自分からお話に…?…驚きました」
 水野という男は本当に驚いたらしい。
 まぁ確かに遥冬の学校での他人に対する態度を見て、あれがもし今までもずっと誰に対しても壁を作り、あんな態度だったのならば分かる気もするが…。
 人形のようだとか、氷のようだとかしか言われた事ないと遥冬は言っていた。今では尚の前では全然そんな事はないと思う。
 可愛くてエロくて、拗ねた感じも、笑った顔も全部尚のものだ。

 「…遥冬さんの全部を背負う気がある、と?」
 「勿論」
 尚は水野と視線を合わせたまま尚はそれにも迷わず即答する。
 「……それ位でないと遥冬さんだってきっとご自分から話すなんてする事はないでしょうからね…」
 納得しているような水野だが、その遥冬からは返事は貰っていないとは言わないでおいた方がいいだろう。
 何かを抱え込んでいるのはもう分かっている事だ。でもそれを遥冬は自分から出してはこないけど。
 「事情をお話しましょう」
 「……アンタから?」
 遥冬から直接聞きたいのだが…。

 「私から聞いた事を遥冬さんに告げる告げないはお任せ致します」
 水野がコーヒーを啜り、喉を湿らせた。
 「遥冬さんからどれ位聞いておりますか?」
 「そんなには…。半分血の繋がったお兄さんがいる、って事。ずっと人形のようだとか、…そんな事言われてた事。………あとは自分をコマ、と…。お兄さんもそうだ、とも言ってたな…それ位だ」
 「…………」
 水野が眉根を寄せた。
 「………そう、ですね……」
 遥冬の父親に使われているはずのこの男も頷く位なのか…。
 尚もまた難しい顔になってしまう。

 「加々美の家は病んでます…」
 水野が尚をじっと凝視したままだ。
 「あなたは遥冬さんをあの家から解放させてやる位の決意を持っていますか?」
 「さっきも言った。当然だ」
 尚は動じず言い切った。
 「権力にも屈しない?あなたの家にも迷惑が被るかもしれない」
 「問題外だ。家の事など親父は気にするな、と言ってくれるはずだ」
 ふぅ、と水野が息を深く吐き出した。
 「そんなに…遥冬は何に囚われているんだ?」
 「お話します」
 水野がゆっくりと頷いた。
 
 
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続きに拍手コメお返事です^^
KRB様
 たまらんですか~?(^m^)
 ゴミ箱はきっと尚は自分で処理するでしょ~(笑)
 …多分^^;
 じゃないとね~ヤバイっす!
 ありがとうございます~^^

S様
 あ!確かに!言われてみれば尚の方が抜いてる~!
 千尋先輩はかっこ重視だったので(笑)
 ほんとやらかしてますね~!
 尚に世話になりっぱですもんね!(笑)

 黄門様…私そんなお下品な事言えな~い////
 エロは書いてるくせに~と突っ込まないように!(笑)
 
 ハピエン…嬉しいです^^
 同じです~^^
 だからつい笑いの方に行ってしまいたくなるんですけど^^;
 ありがとうございます~^^

msz様
 尚に声援ありがとうございます~(笑)
 一応がんばります^^b
 尚パパちょこちょこと…(笑)
 つい出したくなってしまって出てきます~^^;
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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