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揺れる焔。 7

 「遥冬」
 部屋に入ってすぐに尚が遥冬を抱きしめ唇を重ねてきた。
 …尚…。
 まだどこか夢見心地のまま遥冬は尚の首に腕を回してしがみつき、尚の存在を確かめた。
 蠢く尚の舌が遥冬の舌を掴んで離さない。
 「んっ……ふ…」
 声が漏れる。あんなに尚でいっぱいにしたと思ったのにこんなにももう足りなかった。
 唾液が入り混じり遥冬の口端を伝う。

 尚も足りないと思ってた?尚も欲しいと思ってくれていた?
 あんなに具合が、気分が悪かったのに今は全然満たされている。ただ尚が傍にいるだけでなんでこんなに違うのだろう…。
 キスが気持ちいい…。
 もっともっと…。
 遥冬は自分からも舌と突き出し尚の舌と絡めると尚はさらに熱を込める。
 「ぁ……ん……」
 冷え切っていた心と身体が熱くなってくる。けれど体力がなくなっていたらしい遥冬の身体は根を上げて、くたりと力が抜けてきた。

 「遥冬…?大丈夫か?」
 尚がくす、と笑いながら唇を離して遥冬の身体を支えた。
 「…ん」
 尚に抱きつくようにして体重を預けると尚が力強く抱きしめてくれる。
 ああ…やっぱり幸せだ、と思う…。
 「…お前ホント顔色悪い」
 「……うん。全然食べれなくて…」

 尚が遥冬のスーツを脱がせていった。
 「スーツなんて疲れるだろ。ああ、…なんか着替えはあった方がよかったな…」
 「いいよ…。寒くない…」
 上着を脱がせ、ネクタイを外し、シャツの一番上の首のボタンを外して…。でもそこまでだ。
 「…しない…の?」
 してほしいのに…。
 「ダメ。顔色悪いし、細っこくなってるし!まだたった4、5日しか経ってないのに!」
 ……だって尚がいなかったから。
 自分から離れたはずなのにそんな事を思ってしまう。
 
 「尚…」
 ベッドに座らせられ、目の前に尚がいるのに…と、遥冬は尚の首に腕を回した。
 「ダメ」
 尚は遥冬の腕を離すと車を下りる時に持っていたビニール袋を開けた。
 「こっちこい」
 椅子とテーブルの方に手を引かれて遥冬はソファに座った。
 尚がお湯をセットしたりと動いている間に部屋を眺めてみる。
 「……なんか普通のホテルみたい」

 「ああ…。でもほら?」
 ベッドの脇の棚にあるカゴを遥冬に渡してきてなんだろうとみたらゴムとかローションの小さい袋が入ってた。
 「……なるほど。へぇ…」
 動いていた尚はコンビニで食べ物を買ってきたらしいものを用意していたらしい。
 遥冬にはリゾットとかバナナとか、固形物じゃないものを買ってきてくれたらしく小さなテーブルに用意してくれる。
 「ちゃんと噛めよ」
 「……ん…」
 まともな食事なんてしてなかった。何を食べても吐き気しかしなかったのに、今はこのお湯を入れただけのものがすごく美味しく感じる。温かく体にしみこんでいく感じがする。

 「…おいしい」
 「…ゆっくりな」
 「……ん」
 向いに座る尚の目がずっと遥冬を追っている。
 それがなんか妙に恥ずかしい気がする…。
 何日かぶりの尚だ…。
 尚も自分用に買ってきた弁当を食っていた。
 「尚…なんで…いた、んだ…?」
 そう、いたんだ。すぐ傍に。
 「なんで?お前を迎えに来たに決まってるだろ。もしくは連れ出しに」
 「ど…して…?」
 「どうして?……なんでもどうしてもないだろう?覚悟しとけ、って言ったはずだけど?」
 「だって……こっちに来た日だって…あんな態度…してた、し…」

 尚に嫌われたって仕方ない位の完璧な無視だったはず。
 「バァカ。あんなの好き好き言ってるようなモンだろうが。お前は。遥冬が本当にどうでもいいと思ってるような相手だったら普通に仮面の顔を向けるだろ。それが出来ないからアレなんだろうが」
 かぁ、っと遥冬は眦を赤く染める。
 「……遥冬…ホント可愛いね」
 「か、…わいく…なんかない」
 「可愛いよ?」
 「ない!それに好き好きってなんだよ!?そんな事僕は言った事ない」
 「ないですけどね。…でも俺遥冬サンに愛されちゃってるから」

 「そっ!んなっ…!」
 ますますかっとしてくる。
 「誰が!?そ、んな…っ!」
 「え~?違うの?…実家に行くのが嫌で一週間も遥冬離してくれないし。キスマークいっぱいつけろの中に出せのって色々い~っぱい言われて。愛されてんなぁ~と思ってたんだけど…ちげぇの?」
 ちげぇの……って……それを肯定するのも否定するのも出来なくて遥冬は眉間に皺を寄せる。
 「キスマークは?消えちゃった?」
 「……消えた」
 「つける?」
 尚がにっこり笑顔を浮べていた。
 「つけ、て…っ!」
 「うん。あとでいっぱいつけたげます~」
 尚が満面の笑みで答えた。
 
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続きに拍手コメお返事です~^^ 
KRB様
 雪豹!ステキ!ぴったんこです^^
 ほんとそんな感じ~~~♪
 やっと尚の出番でした~^^
 ありがとうございます~^^

AHN様
 尚王子(笑)←ここまでが尚のあだ名ですね!
 (笑)をつけないといけません!(爆)
 さん 付け呼び…ありがとうございます~^^
 嬉しいです♪
 あとはもうあははうふふの世界へ~(大笑)
 ちょっと短いですけど^^;
 なにしろ尚なもので…(笑)
 ありがとうございます~^^

TNT様
 いい所でしたでしょ?(笑)
 そして王子様(尚w)どうしても笑と尚はセットに
 なってしまいます^^;
 かっこよくなっててもどこか笑いを誘う…
 体調はあまり外出ないので(笑)
 大丈夫です^^
 お心遣いありがとうございます~^^

S様
 白馬ならぬパパ車に乗った王子様に笑い!
 そしてお城はラブホ(爆)
 お城のラブホにすればよかったな~~~~!(大笑)
 イマドキないのか?^^;
 ありがとうございます^^

MR様
 ラブホでした~(笑)
 尚かっこいい?(^m^)
 でもなぜかお笑い担当な感じが…おかしいな~(笑)
 ラブホでらぶらぶだけど…もちょっとかな…^^;
 ありがとうございます~^^

okw様
 尚、王子様なってましたか~?(笑)
 遥冬ムダに頑張りました^^;
 あまあまに甘えられればいいのですけどね~^^
 …なってるか…(笑)
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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