薬を飲んで尚が遥冬の手を引きながら風呂に一緒に行く。
尚が遥冬の服を剥いでいき、自分も脱ぐと湯船にお湯を出しながら遥冬の身体を洗っていく。
その合間にキスは幾度となく繰り返した。
首にも身体にも。
あちこちに。
「尚…」
だめだ…やっぱり離れたくない…。
一度尚から離れる覚悟を決めたのに、こうして一緒にいられればもうそんな決意なんてどこかに飛んでいってしまう。
「遥冬」
尚も何度も何度もキスしてくる。
どくん、と身体が熱くなってきた。
何…?
なんか違う…。
「尚…なんか……変、だ…」
「ん?何が?」
怖くなって尚にしがみついた。
「身体、が……」
「ん…?」
疲弊しきっていた遥冬の身体は正直でさっきまで尚とのキスに感じていても前は全然反応していなかったのに今は変な位に反応してる。
「勃ってる、な…」
「変、だ…なんか」
身体が熱い。
「いつも、と違う…よ」
尚とする時はいつも感じすぎる位に感じていたけれどなんかそれと違う気がしてならない。
尚が眉を顰めた。
「…お前、さっきの薬の種類は?」
「…知らない…。でも昼の分とは種類違ってた…間違えるな、って……」
もしかして……。
具合が悪くて、乗り気じゃない遥冬が勃たなかったら女を抱くなんて出来ないから…か?
「バイアグラ、かその辺か…?」
尚もそう思ったのか難しい顔だ。
「………そこまでするか!?」
尚が遥冬を抱きしめてキスしながら背中を撫でてくれる。それさえももうどうしようもなく感じてしまう。
「尚…変だ……嫌だ……」
「ああ…いつもお前感じすぎる位なのにな…体力ねえのに風呂場はマズいな…」
尚はシャワーで身体を流し、タオルでさっと拭くと遥冬の変に力が入ってそれなのに体力が落ちてるくたくたの身体を抱き上げた。
「ほら…いきなり軽いし」
「そこまででもない…」
「ある。本当は今はお前の事思えばしないほういいんだけど」
遥冬は首を振った。
「ダメ。変だ…ものすごく…尚……」
たすけて…。
「ああ、分かってる。…けど…手加減できっかな…」
「しなくていい…。いい、んだ……」
「よくねぇよ。お前大事だし。…でもこれはつれぇからな…」
遥冬の意志に関係なく強制的に身体が反応してるんだ。
「尚にだったらいい……」
「ほらな?俺、愛されてるだろ?……遥冬」
ベッドに裸のまま横にさせられキスされる。
もうそれだけで身体が震えてしまう。
「な、お……」
息も熱くて仕方ない。
尚が遥冬の強制的に勃たせらているものに触れる。
「あ、ぁっ」
それだけでもう感じすぎる。
「遥冬…心配した」
「んっ……尚……尚……」
声が聞きたかった。会いたかった。
…こんなにも…。
「お前具合わりぃのに…」
「いい!尚の所為じゃない…し……。それより…早く…ほ、し…」
「ああ…」
尚の手が遥冬の屹立を擦ればあっという間に射精してしまう。それでもまたすぐに勃ちあがってきて萎える気配がない。
息が荒々しく途切れてしまうと尚の心配そうな視線とぶつかった。
「だい…じょうぶ……いい…尚……。ほし、い…んだ…」
「遥冬…」
尚が遥冬をぎゅっと抱きしめた。
温かい…。
あんなに実家にいた時は寒かったのに。
そして尚から離れようと思ったのにこうして一緒にいると離れたくないと思ってしまうんだ。
当然だ…。
そうじゃなきゃ迷惑も顧みず電話なんかかけられない。
迷惑をかけるのが分かっていてさえも心が尚を求め、助けを求めてしまったんだ。
「ごめん…尚……」
「何が?」
「電話して…」
「馬鹿。電話来ないほうが嫌に決まってんだろ。遥冬が俺を必要だと思ったから電話してきた。そうだろう…?」
「…そう…。迷惑になると分かってたのに…」
「迷惑は考えなくていい。その時その時で考えればいい事だ。俺は遥冬から離れる気はない。今回は一回は遥冬を実家に帰した。けどもう離さねぇよ?……遥冬、好きだ。お前は?」
言っていい、のだろうか…?
言ったら最後、遥冬の方こそ離れられなくなるのに!
「……僕、は…」
「うん…」
「言ったら…尚だけでいい、になってしまう。実家でも家族だなんて今までも思った事ないし、誰にもこんな気持ちなんかなった事ないんだ」
「うん。言って?」
「…尚…好き、…だ……尚だけ、なんだ…自分を出せる、のは…」
「いい。いくらでも。俺にだけな…。遥冬が可愛いのも俺しか知らねぇんだ。…だろ?」
「可愛い、は知らないけど…尚だけ、だ…」
唇が重なると互いを貪った。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学