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白立つ波。 6

 「君は…その、男の方が…好き、なのか?」
 「まさか!」
 即座に森が否定したのに千波はほっとした。
 「キスを気にしているのなら、なかった事でいいですよ?あれはあなたがどうも危機感なさそうなのでしただけですから。そんな事より、俺としては教師としてのぶっちゃけた話が聞きたいんです。学校内じゃまさかね」
 「ああ…そういう事、ね」
 なかった事でいいですよ、って軽く言われたのに内心初めてだったのに!と思わなくもないが、まさかこの年で初めてですも言えるはずもなく何でもない事、と流すように自分にも言い聞かせる。

 「そうです。篠崎先生は話しやすいですし、やっぱり先生をしている人の話が聞きたいですから」
 「話しやすい?…そんな事言われたのは初めてだが?」
 「そうですか?」
 「ああ…でもそうだな、確かに森先生とは今までにない位話しているかもしれない」
 会話のテンポがいいのか?受け答えがいいのか、イラッとする事がないのは確かだ。
 「それなら是非。あとで携帯の番号教えて下さい」
 一瞬どうしようか、と思ったがまさか嫌だ、とも言えず千波は曖昧に頷いた。

 「それから、俺いるときはいいですけど、ここになるべく一人はやめた方がいいです。身体の小さい子ならいいですが、この間のヤローみたいに大きい子だと力もそれなりになってますから。若い分暴走も止められないでしょうし」
 「……気のせいじゃないですか?」
 「いえ。違いますね」
 森が言い切る。
 「俺睨まれてますからね。篠崎先生のファンには」
 「ファン?」
 「ええ。結構いますよ?先生の所によく質問に来るメンバーは確実ですね。ただ篠崎先生がきっちりと壁を作っているのでそこまでですが」
 「……随分と君は人の機微に聡いね?」
 「割と」
 森は謙遜する事なく頷いた。


 それ以上は何も問題が起きることもなくどうにか実習1週間目をクリア。
 「じゃあ、お先します」
 「はい、お疲れ様。また来週」
 森が先に帰って千波はやっと1週間が終わったとほっとした。
 これが後2週間も続くんだ。それに実習生の公開授業もあるから気は抜けないけれど、森なら大丈夫だろう。

 「篠崎先生、ちょっと飲みにいきませんか?」
 職員会議の後、千波に声をかけてきたのはもう一人の実習生を受け持った佐藤先生だった。
 結婚してて子供もいたはずで幸せそうな印象だったのに、この一週間で大分疲れた様子だった。
 千波は同じ実習生でも自分は優秀な森で、問題がなくてどことなく後ろめたい感じだ。
 多分愚痴が言いたいのだろう。
 「…いいですよ」
 愚痴なら聞き役に徹すればいいのでまぁ、いいだろうと千波は頷いた。

 安い居酒屋に行き、ピールを煽る。
 そこからはもう佐藤先生の口が止まる事はなかった。
 千波は相槌を打つだけだ。
 聞いているだけでも胃が痛くなってきそう…。
 千波も料理を少し摘み、ビールを流し込みながら相槌を打つ。
 大概、学校の教師なんて普段どうしても節制される職業なものだから、飲み会というと愚痴合戦だ。
 だいたい生徒だけでも大変なのに、それに先生同士やら、保護者やらも入ってくる。さらに実習生が問題児ではやつれてしまうのも無理はない。

 同情しながらも自分が受け持ったのが森でよかった、と千波は内心ほっと胸を撫で下ろしてしまう。
 ちょっとばかり、キスされたことはあったが、本人もなかった事でいい、という位だ。気にする必要もない。
 「本当に男癖が悪いというのか、なんというか、…それに何でも、態度の事だけでなく指導案の事もちょっと注意しただけで泣かれるは、本当に酷いんですよ…。生徒の質問にも答えられない、どもる、黙る、まぁまったくもって授業にもなってない。スカートは短かすぎるし、もう少し考えてと注意すりゃ泣く。いつぞや森君に縋って泣いてましたよ」
 「…え?」
 千波は思わず眉間に皺が寄った。

 なんだ?ヤツはバカ女呼ばわりしていたのにそんな事をさせていたのか?
 「森君は怒っていましたがね」
 …なんだ。
 「普通実習生同士、情報や助け合って仲良くなるもんですけど…あれでは森君の邪魔にしかならんでしょう。森君は優秀でしょうから小出君が騒いだ位じゃ痛くもないとは思いますけど」
 それからも繰り返し同じ事の愚痴愚痴。
 さすがに申し訳ないな、と思いつつも千波も胃が痛くなってきそうだ。
 早く終わらないかな、と千波もビールを流し込むが積り積もった佐藤先生の愚痴からなかなか解放されなかった。
 
 
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続きに拍手コメお返事です~^^
MR様
 そうなんです~!いきなり早いです(笑)
 年下攻めいいすか?
 私あんま好きじゃなかったはずなんだけど…
 なにげに書いてるの多いんだよね^^;
 おかしいなぁ…(笑)
 お気遣いもありがとうございます~^^

a様
 はじめまして~^^
 あら~!偶然ですね!
 …他人事じゃない?(笑)
 でも私も嬉しいです~♪♪♪
 是非悶えて下さいね~(笑)
 これからもよろしくお願い致します^^
 ありがとうございます~^^

S様
 天然…ですね(笑)あははは~
 まぁ千尋先輩もね~微妙な感じだから(笑)
 長男だし?^^;
 イケイケ包囲網に思わず笑い!
 Linxイケイケばっかでした^^b
 ありがとうございます~^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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