ベッドに座って頭を下げているのが辛くなっていいかな、と思いながらそろりと横になって本を読んでいた。
頭痛は大分治まったのにほっとする。
5月で下は穿いてなくても寒くもない。
なにげに本が面白くて千波は夢中になって読んでいた。
横向いたり、うつ伏せになったり。全部無意識だったんだ。
すっかり本の世界に入り込んでいて、自分の置かれている状況なんて忘れていた。
どうも千波は昔から本が好きで、読んでいると周りが見えなくなって本の世界に入り込んでしまう癖があった。
「……千波さん?」
「……え?」
声をかけられてはっと意識を取り戻した。
あ!ここは森の部屋だった。
「森…」
「違います。孝明と呼んでと言ったでしょう?」
「…た、か…あき」
現実に引き戻され、その途端に自分の格好も思い出した。
うつ伏せになってた。
やばい!そういや下穿いてない!
ゆらりと孝明が立ち上がってベッドに膝をついた。
「誘ってるんですか?」
「は!?なにが!?」
うつ伏せから体勢を変えようとしたら孝明が千波の背中を手で押さえた。
そしてもう片方の手でTシャツの裾を捲くられる。
「や、め…っ」
「白い尻だして…誘っているようにしか見えませんけど?」
「そんなわけあるかっ!」
だいたい男なのに誘うってないだろう!それに元はと言えばコイツがパンツまで洗濯したからだ!
「あっ!」
ぞくっと千波は肌が戦慄を覚えた。
「な、なに、するっ!」
孝明がぺろ、と千波の尻の肉を舐めた。
「……男とするなんて考えた事もなかったけど…」
孝明がそう呟き千波の背中を押さえたまま足の間に身体を移動させてきた。
「おいっ!何考え、て!」
千波は慌てて体勢を変えようとするが今度は孝明が千波の腰を持ち上げるように掴んだ。
「ちょっ!」
人の目の前に自分でも見ないような所を晒している。
孝明の手がぐいと千波の尻を割った。
「ふぅん…綺麗だ。イケるかな…。でもローションとかもねぇな…。女じゃないし…」
「や、やめ…っ!」
じっとそこに孝明の視線が突き刺さっているのが分かる。
「千波さん、膝たてて?」
「な、なに…」
孝明が千波の腰をさらにぐいと持ち上げ、背中は手で押し付けてくる。
「ひ、ぁっ!」
後ろにぬめりを感じて声が上がった。
なに!?
くちゃくちゃと湿った音が聞こえてくる…。
「や、…めっ!」
舐められてる!?
男同士がそこを使うのは知ってるけど!なんで!?
…ヤられるのか?
「う、ぁっ!」
何かが中に入ってくる。
「慣れさせないとね?」
「た、頼んで、ないっ!あっ!」
「…無理に突っ込んだら裂けちゃうでしょ」
「しなきゃいいだろっ!」
「煽ったあなたが悪い」
「そんな事してないっ…!や…っ」
「してたでしょ。下半身出しっぱで尻揺らして…。ああ、いけそうですね…もう指一本のみ込んでるし」
「や…め…」
ぬぷぬぷと千波の後ろで孝明の指が動いている。身体に力が入らない。
「千波さんのもしてあげます」
「あ、あっ!いいっ!いら、ないっ!」
孝明の手が千波の前にも伸ばされて捕まれた。
「…なんだ…少しは感じてたんだ?」
「ち、ちが…っ」
後ろに指を突っ込まれ、舐められ、そして前は扱かれ、キスでさえ孝明が初めてだった千波は人から与えられる初めての快感に何も考えられなくなってくる。
なんでこんな事に!
執拗と言っていい位後ろを指で弄くられ、舌でなめまわされた。
「あ、あぁっ!や、め…」
「…ってほどでもないようですけど?前も勃ってるし。千波さんのココ綺麗ですよ?…そういえばキスも初めてって言ってましたよね?セックスもない?」
「ないっ!」
もうやけくそだ!
「ふぅん…じゃ優しくしてあげますね」
5歳も年下の男になんでこんな事言われなきゃないんだ!?
そしてなんだこの余裕な態度は!
「お前はあるのか?」
「男はさすがにないですけど女なら」
当然の様に答えられて千波は何も答えられなくなる。
「男も慣れるとイイらしいですよ?」
「慣れなくていい!」
「千波さんなら俺はイケるなぁ。ほら舐めてるのも全然嫌じゃないし。…千波さんもそこまで嫌悪って訳でもなさそうだしね?」
「いやだ、って言って…ぁうっ」
指で中を擦られてぞくりと背中が戦慄いた。
「ほらね?…指ふやしますよ?」
いらないって言ってるのに孝明は無視。
そしてさらに後ろに強い圧迫を感じた。
テーマ : 自作BL小説
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