欲望を解放され千波の身体は弛緩したが、その千波の後ろで男の律動が続く。
「う…ぁっ」
さっき走った電気のような感覚がまた千波の身体を襲ってきてびくん、と身体が跳ねた。
「…ここ、ですか?」
ぐいと孝明が腰を押し付ける。
その箇所を刺激されると熱を放ったばかりなのにまた前が反応してきた。
「…後ろでイけそう…?」
何度もそこを衝かれるとまたどうしていいか分からない衝動が襲ってくる。
「イイみたいですね…初めてなのに後ろでイケる?千波さん男にヤラレる方がイイんじゃないですか?…ああ、女性も知らないんでしたね…」
何言われてももう耳にも入ってこない。
「俺ももう出そうです…。中に出しますよ?」
なんだっていい…もう、早くコレから解放されれば…。
「はや、く…」
「イきたい?」
「イき、たい…」
「いいですよ…」
激しい律動に、荒い息遣い。
自分から求めて何をしてるんだ!?
でももう感じすぎておかしくなりそうだ。
「はや、くっ」
「仕方ないですね」
腰を押さえられ激しく肉のぶつかる音をたてながら腰を打ちつけられた。
「あ、ああっ……っ」
今まで感じた事のない快感に千波は身体を震わせそしてまた吐精した。
ひくひくと身体が震え、後ろがぎゅっと締まったのが自分でも分かると孝明が千波の奥に自分を押し付けてきた。
びくびくと千波の中で孝明のものが震えたのを感じる。
あまりにも強い快感に千波は力を失ったように身体を弛緩させた。
「……よかったみたいですね…?」
項にキスされながら囁かれるのに千波は顔を顰めた。
男に犯されてヨガって…なんて…。
「う、ぁ…っ」
ぬるりと千波の中から孝明が出ていったのに声が漏れる。
「敏感な身体だ…」
つっと背中を指でなぞられ身体が震える。
「ココもヒクついてヤラシイですね…?」
指でつんと今まで孝明をのみ込んでいた所を見られ、触られる。
「や、め…っ!さわ、る…なっ!」
自分が…なんで…。
みじめになってくる。
いいようにされて、ヤられて、言われて…。
なんで好きでもない、しかもヤローに!
さらに自分が担当してる実習生なのに。
穿たれたそこを晒したまま顔を布団に押し付けた。
自分が悔しくて、情けなくて…。
「千波さん?」
孝明が千波の身体をひっくり返した。
「泣いてるんですか?」
顔を見られたくなくて手で覆うと孝明が不思議そうな声で千波を呼んだ。
「…身体洗ってあげますから」
「い、いいっ!」
何言ってるんだ!?
「よくないですよ」
はい、立って、と手を引っ張られ起こされた。
後ろに引き攣るような痛みが走る。
「ぅ……あ、っ…な、何…」
そして身体の中から何かが蕩けてきたのに力が抜けそうになると孝明の腕が千波の身体を抱きとめた。
「ああ…。俺の出したのが出てきたんです」
なんて事ないように言われかっと顔が赤くなった。
…本当に、シタ…んだ…。
そのまま浴室に連れて行かれ後ろを掻き出される。
…こんな事…。
顔も見られたくなくて壁に手をつき顔を覆った。
孝明はただ淡々と、先ほどの熱なんか何も感じないような態度で千波の中を綺麗に流していく。
そして身体も真新しいタオルで拭かれた。
…甲斐甲斐しい…とは思うけど、いや、だから!おかしいだろ。
「千波さん」
「……なんだ」
Tシャツも着せられ、眼鏡もかけられれば視界がやっとはっきりする。
コイツにには平然とした顔をしろ。
自分に言い聞かせる。
「よかったみたいだし、またしましょう?千波さんが欲しいと思ったならばいつでも俺はいいですから。呼んでください」
「お、思うかっ!」
「だってあんなによがってたのに。俺今んとこ付き合ってる彼女はいませんから」
……付き合ってる彼女<は>?付き合ってないのならいるのか?
思わずじろりと睨むと孝明はけろりとした顔でなんです?といった表情。
「それかいつでも来ていいですよ?」
「来るか!」
「…そんな事言って…」
にこりと笑顔を向けられたのに千波は怪訝な表情を浮べた。
「俺は人を好きになった事ないし、人に執着した事なんてなかったんですけど…」
くすと孝明が笑っていた。
「うまく世の中渡ってきたんですけどね…。こんな事されて千波さん訴えます?でも千波さんも早く、とかイきたいって自分から言ってるんですから…どうかなぁ?」
「……そんな事しないから放っておいてくれ」
自分の恥じになるような事を世間に晒すはずがない。
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