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波が打ち寄せる。 1

 週が明けて月曜日。
 また一週間がはじまる。
 早めに出てきた千波は心臓が妙にばくばくと脈打っていた。
 どういう顔で森 孝明と顔を合わせたらいいのか。

 「篠崎先生」
 佐藤先生がこそりと話しかけてきた。
 「いやぁ、金曜日はお迷惑おかけしました」
 「い、いえ…」
 内心まったくだ、と思ってしまう。
 やっぱり付き合うなんてしなければよかった。
 おかげでとんでもない事になったんだ、なんて言えるはずもないが…。
 「まったく…また1週間がはじまるかと思うと胃が痛くなりますよ」
 あんたのせいでこっちも胃が痛くなりそうだ…と心の中で千波は毒ついた。
 教生としてなら文句なしだが自分がされた事を思い出せばこれからどうしたらいいかと悩んでしまう。
 
 土曜日はあの後は何もなく、でも孝明の所に結局泊まった。
 …というか着る物を渡されなくて帰るに帰られなかったんだけど。
 狭いベッドに一緒に寝た。小さくなって。
 あんな事されて、でもあとは何もなく、日曜の午後に服を貸され、送られて自分のアパートまで帰ってきた。
 部屋に入れろとか言われたらどうしようか、と思ったがそれもなく、そして孝明は帰っていった。
 アレがなければ別に何でもない事だ。
 千波にすれば人の家に泊まった事もないからいつもとは違う事ではあるが、それでも意識が飛んでたのを介抱してもらって、といえば普通の範囲だ。
 もう二度とない事。でも借りた服は返さなければいけない…。
 
 「おはようございます」
 どくん、と心臓が大きく跳ねた。
 「お、はよう…」
 「今週もよろしくご指導お願いします」
 折り目正しく孝明が挨拶すれば他の先生達も感心したように見ている。
 今日も孝明は眼鏡をかけ、髪をあげて、スーツ姿だ。
 土日とは別人の様…。
 千波は息が止まりそうになりながら孝明を見た。

 「篠崎先生?指導案を見ていただけますか?」
 くすと孝明が眼鏡の下で目が笑った。
 「あ、ああ…」
 動揺して心臓がうるさい。
 あんなコトされたなんて今の孝明を見ていればとてもじゃないが信じられない。
 千波でさえ、信じられないのだから。
 動揺して立ち上がった拍子に椅子にぶつかりよろめいた。
 「大丈夫ですか?」
 すぐに孝明が千波の身体を支える。

 「だ、い…」
 大丈夫だ、と言おうとしたんだ。
 「身体まだヒドイですか?」
 小さく耳元に誰にも聞こえないように孝明に囁かれ、千波は心臓が跳ねた。
 「大丈夫、だ…」
 すぐに孝明が離れたのにほっと思わず息を大きく吐き出した。

 「おはようございます~」
 小出さんの登場。間延びした声できりっとしている所などどこもなさそう。
 スカートは相変わらず短い。そして男性教諭の視線をちらちらと気にしているのも見て取れた。
 …いったい何をしに来ているのだろうか。
 千波がちらっと佐藤先生を見ればげんなりした様子。
 それも頷ける。

 いったい孝明に対してどうしたらいいのだろうと千波は身構えていたが結局孝明はそれ以上何も余計な事は言わず普通に真面目に授業に取り組み、千波はかえって落ち着かない感じで一日を終えた。
 ただ、孝明は何も余計な事は朝の一言以上言わなかったが、時折眼鏡の下から意味ありげな視線で千波を見てきた。
 まるで忘れてませんよ?といわんばかりに。

 気にするな。
 千波は自分に言い聞かせた。
 そんな事言い聞かせたって忘れるなんて無理だと分かっているけれど、そうする事しか出来ない。
 キスも何もかもが初めてがコレ…。
 なんで男にやられなきゃないのか。
 ずっと親の言いなりになって勉強でもなんでもやってきた。弟はそれに反発して問題起こしたりしてたけど、千波は大人しくずっと親の意に添ってきた。

 ただ、大学を卒業して地元に戻ってきなさいというのにはそれを蹴った。
 何もかもが言いなり…。
 それに反発したのだろうか?
 自分でも分からないけれど出来る所まで自分で、一人でやる、と言えば親はもう反対しなかった。
 弟もこっちに出てきて、初めは全然会いもしなかったけれど、有名になってきたころ一緒に住んでいる子と挨拶に来た。

 …男の子。
 まさか男の子と、とは思ったけれどでも二人を見ていたらどうにも何も言えなくなった。
 あの子も千波がされたような事をされてる?
 でも好き同士なんだからそれはいいだろう。
 千波は別に好きでもなんでもなかったのにされたんだ。

 けれど、だからといってとんでもない嫌悪感までは浮かんではいないのが自分でも不思議だった。
 元々孝明を気に入ってはいたんだ。話も態度もどれも千波が苛立つ事がなかったから。
 そんな人は珍しいのに。
 …きっとそれでそこまで嫌悪感がないのだろう。
 でも落ち着かない事は確かだ。 
 
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りっくさんから1周年のお祝い画いただきました^^
ギャラリーに足してます~^^
続きに拍手コメお返事です^^
MS様
 すみません…お返事漏れてました(><)
 二度目ましてでした~^^
 千波可愛いですか~?(^m^)
 しっかり襲われてしまいましたが…^^;
 通常はあまり崩れる事ないので無事でした(笑)
 ありがとうございます~^^

MR様
 千尋先輩中学で~~~~!!!!?
 ………は、はやい…^^;
 まぁ、孝明も尚もご同類ですかねぇ?(笑)
 千波さんは奥手で潔癖入ってマジメって所でしょうか?
 ありがとうございます~^^

KRB様
 見事にぱくりでした(笑)
 可哀相?(笑)
 ヨかったのでいいのかな、と^^;
 孝明くん?勿論めろめろですともさ!^^b
 当然ですぅ~(^m^)
 ありがとうございます~^^

S様
 最低ですか~?(笑)
 最低からだとあとは上がっていく一方なので(^m^)
 これで好き好きなったらダメ~?(大笑)
 さてさて…?どうかな…???^^;
 私もえ~!って感じだったんだけど…(実は…笑)
 毎回自分で書いておきながら流れわかってないから^^;
 ありがとうございます~^^

okw様
 やっぱり!…ですか?(笑)
 そんなキャラでしたが後はもうただのバカ?^^;
 ウチの攻め男クンたちは皆そんな感じなので
 仕方ないですね(笑)
 ありがとうございます~^^

ppp様
 そこまでじゃないです~(笑)
 今はそんな感じですけど^^;
 ずっとそのままは書けません(笑)
 
MM様
 わざわざ拍手コメすみません~(><)
 私はしまった~!今日はやめときゃよかった!
 …と思いましたが…^^;
 失礼致しました~(滝汗)
 ありがとうございます~m(__)m

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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