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波が打ち寄せる。 3

 『もしもし?』
 「あ…と…あの…電話して…悪いんだけど…」
 『別に構いませんけど?どうしました?したくなった?』
 千波が思わずかけてしまった相手は孝明だった。
 だって個人的に会った事があるのは孝明だけだった。
 大学の友人とも同じ教職の先生とも深い付き合いはない。いつも上辺だけの付き合いでしかなかったから。

 「そう、じゃない…猫が…」
 『……猫?』
 「猫が…小さいんだ。箱に入ってて…公園で…震えてて…」
 なんと説明していいか分からずたどたどしくなってしまう。
 千波の腕の中にいる子猫は鳴き声も上げず静かになっている。
 『捨て猫ですか?一匹?』
 「3匹…でも1匹だけ…他の子は…」
 『…ちょっと待ってください。今夜間の動物病院探しますから。病気とか持ってる可能性ありますので病院行った方がいい』
 孝明の言葉が途切れる。

 『千波さんのアパートの近くにまだやっている動物病院ありますね。そこに行ってみてください』
 PCで調べてくれているらしい。住所と場所を教えられれば確かに近くだった。
 「……分かった。行ってみる…。…その…あり、がとう」
 『いえ』
 じゃあ、と孝明との電話を切って携帯をしまうと千波は泣かなくなった子猫を突いてみた。
 生きているのだろうか…?
 微かに身じろぎしたのにほっとしてその小さい身体を抱いたまま孝明に聞いた動物病院に向かった。

 何をやっているんだろうと思いながら動物病院に千波はいた。
 たまたまか細い声を聞いただけだったのに。
 きっと普段なら聞き落としていただろう小さな声だった。
 捨て猫だったことを病院に告げたけれど、それではいさようならという気にもなれずに病院に千波はいた。
 かなり衰弱していたらしい。
 一緒にいた他の子の事を思い出せばやるせない気持ちが浮かんでくる。

 その時待合室のドアが開いた。
 視線をなんの気なしにそちらに向ければなんと孝明だった。
 「千波さん、猫は?」
 「い、今…治療中…」
 わざわざ、もしかして来てくれた…んだよな…?
 孝明のアパートとは駅一つしか離れてなくて、近いといえば近いんだけど…。
 わざわざ…?
 千波が電話して聞いたから…?

 孝明は何も言わずに千波の横に座った。
 それに千波はどうしていいか分からず心の中でうろたえてしまう。
 ただ聞く人が他にいなかったので電話して聞いただけだったのに。
 「…捨て猫でしょ?千波さんどうするの?」
 「どう、する…?」
 孝明に話しかけられて隣に視線を向けると孝明がじっと千波を見ていた。
 昼間の真面目そうなスーツ姿ではない、眼鏡もかけていない、髪も下ろしている孝明になっている。

 「病院…ただで治療しないでしょ。慈善事業じゃないから。飼うんですか?」
 「…そう、なる…かな…?」
 はぁと孝明が溜息を吐き出した。
 「猫飼ったことは?」
 「……ない」
 「…犬よりかはいいでしょうけど…」

 「篠崎さん」
 診てもらっていた先生に呼ばれたので千波は立ち上がって診察室の方に入っていくと孝明も後ろについてきた。
 「捨て猫だったそうですが…どうしますか…?」
 孝明と同じ事を聞かれた。先に孝明に聞かれていたおかげで千波は自分の心の準備が前もって出来ていた。
 「僕が引き取ります」
 医者がほっとした顔をした。
 診察台の上に鳥かごのようなカゴが乗せられその中に小さな子が小さくなって丸まって入っていた。
 「おい…猫…?」
 大丈夫なのか?と思いながら千波が声をかけると小さくミャーと鳴いて顔を上げた。

 「衰弱してるので入院を三日ほどさせてください。その間に検査などもしておきます。土曜日に引き取りに…で構いませんか?よろしければ…ひきとってもらえるなら入院費は手術もするわけでもないので結構です」
 「…え?」
 先生の言葉に千波は顔を上げた。
 「この子が可愛がってもらえるなら…。それにこしたことないですから…。ああ、ただワクチン代はいただきますよ」
 「え、ああ、そりゃ勿論…でも…本当に…?」

 親切な医者だ。
 千波がカゴに手を伸ばすと子猫が擦り寄ってきた。
 千波が助けたというのをこの子は分かっているのだろうか?
 「じゃ土曜日に来ます。それまでお願いします」
 「はい。ああ、顔を見に来られるのなら来てもいいですよ?」
 「じゃあ仕事の帰りに寄ります。近くなので」
 医者ににこやかに告げられて千波は頷いていた。
 
 
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続きに拍手コメお返事です^^
S様
 う~~~ん…多分尚ほど上がらないかも^^;
 あんまカッコよくない…(笑)
 一番スマートじゃないなぁ~^^;
 電話はモチロン(爆笑)
 じゃないと話が進みませぬ~
 かーちゃん、とーちゃんだから~(^m^)
 ありがとうございます~^^

KRB様
 1万ベリーです^^b
 ほっとけないよねぇ~(笑)
 モチロン…(^m^)
 ありがとうございます~^^

MR様
 わざわざいいんですよ~(><)
 あ、孝明は私も分かりまへん(笑)
 そう。両親です(笑)子育てに入ります(爆笑)
 
 確かに!BLだといきなり襲うもアリ…
 なぜでしょうね…???^^;
 でも私は好きではないんだけど…
 好きじゃないのに書くなってね…^^;
 ありがとうございます~^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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