2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

熱視線 練習曲~エチュード~3

 生方は名刺をおいてブログを立ち上げたらメール入れてと言って帰って行った。
 結局何をしにきたのだろうか?明羅の服を届けてくれただけ…?
 明羅は首を捻った。
 「…じゃ、ブログ作る?フリーメール持ってる?」
 「………俺に聞かないでくれ。全部任せる」
 「それは困る。アドレスどうするか、ブログ名前どうするかとか決めないと」
 「…………意味が分からんから無理。洗濯機回してくる」
 そそくさと怜は洗面所に消えた。
 明羅は思わず笑ってしまった。
 あんな機械つけてるのに本当に全然使わないんだ。
 もったいない。

 そういや明羅も自分のメールのチェックもしてなかったと思い出し、明羅はPCを立ち上げて自分のメールのチェックをした。
 やばい…。締め切りがあった…。
 やっぱりこの機械借りてしまおうか。
 ちょっとシンセの電源も入れて触ってみる。ヘッドホンがあったのでそれでちょっと確かめてみる。
 やっぱり自分の使ってるやつよりも音の数が豊富だ。
 あちこちいじっていると音が広がっていく。

 「わっ!」
 ぬっと横に立っていた怜に驚いた。
 「…お前こんなの使えんの?」
 「一応。大丈夫みたい。お願いあるんだけど…ちょっと貸してもらっていい?メールとかも使っていい?自分の方のメール使うけど」
 「…意味分からんからどうぞ。勝手にしていいよ」
 まるで宇宙人を見るかのような目で怜は明羅を見ていた。
 「うん。あとで…夜にかして?…いい?」
 「だから俺はまるきり使えないから、勝手にどうぞ」
 「ありがとう。じゃブログのほう…」
 アドレスとかは候補を挙げて怜に選んでもらう。
 「だからテンプレートってコレが自分の部屋みたいなもんで、どれがいい?例えばこれだと…こうなって。コレはこう…」
 「おお。なるほど」
 「やっぱ音楽系みたいな感じ?」
 「いや、…どう…種類がありすぎるぞ。シンプルでいい。シンプルで」
 「……色は何色が好き?」
 「ん~~緑、かな…」
 怜のイメージは黒だけどなぁ、と明羅は思いながら明るいパステルグリーンを選ぶ。
 「ブログ名は?」 
 「知らん」
 「これは流石に何か音楽用語なり入れた方いいかな」
 それでもありすぎで困る。

 怜をじっと明羅は見た。
 燕尾服の時とは全然違う怜にくすと明羅は笑ってしまう。
 「…なんだよ」
 「いや…別人だなぁと」
 「ほっとけ」
 「ハノンとかスケールじゃあなぁ…」
 母親のブログも父親のブログもそのまま自分の名前載せてたけど。怜は謎が部分があったほうがいい感じがすると思う。
 そう思うのも自分がこうしていられるからかもしれないけれど。
 「音…二階堂 怜…熱情……エチュード…」
 「あ、練習曲、エチュードでいいや」
 「え?ひねりなさすぎじゃない?」
 「いいんだシンプルで」
 本人がいいのならいいけど。
 「まぁいくらでも変えられるからいいけど」
 とりあえず入れていく。
 「怜さんの楽器デジカメで撮ってupしていってもいいんじゃない?」
 「……だから任せる。知らんが必要なものはここいらに纏まってるだろ?」
 「ん。なんでもそろってるよ。なのに使わないってもったいない」
 「使いたくても使えねぇんだ」
 それからもああでもないこうでもないと言いながら進めていく。
 
 「面倒だ!だめだ。頭痛くなってきそうだ…」
 怜が部屋から逃げていった。
 とりあえず決めてもらった分で明羅は設定を進めていく。
 かたかたとキーボードを打っているとハノンが聞こえてくる。
 そしてスケール。
 ああ。怜さんの音だ。
 明羅はPCを閉じ部屋を出た。
 
 広いリビングが音の洪水で溢れている。
 ただの指馴らし。でも全部が二階堂 怜の音だった。
 明羅はピアノから離れたソファに座った。
 贅沢な空間。
 明羅しかいない部屋だ。

 「まだ弾かないぞ?」
 「いい…俺いて邪魔じゃない?」
 人に練習を聞かれるのは嫌じゃないだろうか?
 「…お前なら気にならない、かな…?」
 「じゃ大人しくしてるから。いないと思ってていいから」
 「…そりゃ無理だ」 
 そう言いながらも怜はピアノに向かう。
 明羅はじっと動かないで怜のピアノをずっと聴いていた。
 エチュード…と言ったからか。ショパンのエチュードを1番から順に弾いていく。
 ぞくぞくと戦慄が明羅の背を伝わっていく。
 快感に似たこれを明羅に与えてくれるのは二階堂 怜のピアノだけなのだ。

 

電子書籍

サイトはこちら

バナークリック↓ banner.jpg

Twitter

いらっしゃいませ~♪

リンク