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波が打ち寄せる。 10

 「びっくりした~~~!どうしてタカ先輩と千尋先輩のお兄さんが?」
 「教育実習で千波さんが俺の指導教員なんだ」
 「…教育実習」
 千尋と岳斗くんが声を揃え、そして笑い出した。
 「似合わなすぎる~~~~!」
 千尋まで声を殺して笑っている。
 「え?そう…?いい先生ぶりだけど…」
 千波がそう言えば岳斗くんはいい先生!と言いながらまた笑い出す。

 子猫が見たい!と訴えた岳斗くんに皆でまた千波の部屋に戻る所だった。
 それにしても千尋も岳斗くんも孝明を知っていたのが驚きだった。
 千尋とは5歳も年が離れていたのであまり仲がいいとは言えない位だった。
 それにいい子を演じていた千波は親の受けもよかったけれど、千尋は一族のはみ出し者とまで言われていたおじさんに懐いていて親に騒がれているのを聞いたのも一度や二度じゃない。
 それでも好きな事を貫いて、そして今なんだ。
 よかった、と思う。
 
 「かわいいっ!!!」
 部屋に戻ると玄関でちょこんと座ってミューが待っていたのに岳斗くんの声が響いた。
 誰もいなくなって寂しかったのだろうか?
 みゃーと小さい声でミューが訴えるように鳴いた。
 「千尋先輩っ!すっげ可愛いねっ!」
 岳斗くんが千尋に纏わりついて顔を紅潮させているのも可愛いと思うけど。
 千波がミューを手にそっと抱き上げるとミューは満足そうに目を閉じる。

 「小さいね!可愛いね!」
 「………飼えないぞ?ツアーとかで留守にすることもあるんだから」
 「分かってます!」
 岳斗くんを窘める様に千尋が言えば岳斗くんはぷっと口を尖らせる。
 「…なんで…知り合い…?」
 千波は三人を見比べるように見た。
 「千尋先輩のお兄さん、知らなかったの?タカ先輩は千尋先輩が高校の時に組んでたバンドのボーカルしてたんだよ?」

 え?バンドのボーカル?
 ああ、とそこは納得は出来る。だから声がいいのか。
 「……じゃ、地元…一緒…?」
 そういえばプライヴェートの事なんか話したこともなかったんだ…。
 ちらと孝明を見ると肩を竦めていた。
 「そうだったらしい…。すごい偶然だ…」

 「すごすぎ~~~!なんで地元から離れてるのにこっちで一緒に!しかも知らないでなんて!」
 岳斗くんが口を抑えて笑っていた。
 可愛いなぁ…と天真爛漫と言っていい岳斗くんをじっと見た。
 そういえばこの子は千尋と住んでるんだ…。
 「ね!千尋先輩!すごいよねっ!」
 その岳斗くんを見る千尋の視線は家では見た事のない穏やかなもので、家でのささくれ立っていた千尋しか見た事のなかった千波はそれだけで毒気を抜かれてしまう。

 そうはいっても千尋が高校生の時はすでに千波は家を出ていたのでよくは知らない。親も忙しく仕事ばかりの人達で、千波自身こっちに出てきてからあまり頻繁に家に帰っていたわけでもなかったので大きくなってからの千尋の事はよく知らないのだ。
 「おいで~」
 岳斗くんがミューにむかって手を差し出すとミューは岳斗くんの手にぐりっと顔をこすり付けている。
 「可愛いっ」
 「はいはい。ホラ、岳斗、見て満足だろ?買い物行くぞ」
 「あ、うん…」

 岳斗くんはきっと先週千波が孝明にされた事を千尋にされている…んだ…。
 前に来た時はなんとも思わなかったけれど…。妙に生々しく思えてしまう。
 それでも二人を見ていればどうしたって拒絶は出来ない。
 互いが大事だというのが客観的に見ても分かる位なんだ。
 目が、手が、常に互いを確かめ合っている。
 なんでこんなにすんなり違和感なくこの二人の関係を受け入れられたのか…。見ていればどうしたって反対なんて出来るはずない。
 でも千尋と岳斗くんは互いを想っているのがわかるけど…。

 じゃあなんで自分は…?
 思わず千波は顔を俯けた。
 「ミュー…」
 千波が声をかけるとミューがなぁに?と言わんばかりに千波の手にぐりぐりと顔をこすり付けている。
 「頭いい!ちゃんと呼ばれてる事分かってるんだ!」
 岳斗くんが大きな目を見開いてると孝明が笑った。

 「この子が特別頭いいんだろうな。普通猫なんて基本知らんふりなもんだけど。ちゃんと千波さんが助けてくれた事分かってるんだ」
 千波が抱き上げたミューを孝明が覗き込むようにしてそしてミューの顔を撫でるとミューは満足そうな顔をして喉をごろごろと鳴らし始める。
 「タカ先輩が子猫を…似合わない…」
 岳斗くんが千尋の影に隠れながら小さく言ったのに千波も思わず納得してしまう。
 でも面倒見がいいし、一緒にミューと遊んでるんだよ、と心の中で付け加えた。 
 
 
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続きに拍手コメお返事です~^^
KRB様
 おデート見られてます~(笑)
 あれ?ばらしていいのかな…?
 ま、いっか^^
 ありがとうございます~^^

S様
 ニャーいるとついニャーに夢中ですよね~
 でも嬉しいデス~(笑)
 ウチは猫砂だけど粒がでかいので
 そんなに散らばりません^^
 細かいの使ってた時は酷かったけど^^;
 足マッサージに萌え(笑)
 間違ってないと思います^^b
 そしてご対面でしたよ~(^m^)
 岳斗ちゃんどこでも可愛いねぇ~(笑)
 ニャーコメはいくらでも~~~^^b
 気候はホントお気をつけ下さいね(><)
 ウチの方はさほど変わりない感じですけど^^;
 ありがとうございます~^^

MR様
 めろめろありがとうございます~!
 仔猫の可愛さは殺人的ですよね~^^
 悩殺されます(笑)
 さびにゃん……そうなんですか?(爆笑)
 ウチの下もごくたま~にするけど(笑)
 ケツにくっつけたままになってる時もあって
 パニックおこすときあります^^;
 なんかついてる~~~~~!!!ってばたばたと走り回って
 落としてく…(--;)
 アホ~で残念な子です(笑)
 ありがとうございます~^^ 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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