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うねる波。 1

 「千波さんが千尋の…ね…」
 すぐに帰ってしまった千尋と岳斗くんの姿はもうなく、部屋に残った孝明が呟いた。
 「名前…似ている…とは思ったけど、まさか本当に兄弟だとは…」
 篠崎って知り合いがいるから、と孝明が初めに言っていた事を思い出す。それが千尋だったとは思いもよらなかった。
 「…千尋と…仲良かったんだ…?」
 「まぁ悪くはないでしょうね。未だに車貸せといって千尋も貸してくれるし?まさかそれが自分の兄貴の用事でとはさすがに思ってなかっただろうけど」
 くくっと孝明が笑っている。

 本当になんて偶然なんだ。
 「バンド…千尋と一緒に…?」
 「そう。結構その当時はイケてましたよ?」
 「岳斗くんは…」
 「ずっと千尋一筋…って感じですかね?未だにだから、よくもまぁ変わらないでいられるものだと驚きますけど。…千尋も岳斗と会ってから激変だったから、そっちのほうがもっと驚きでしたけど」
 テーブルの向いに座った孝明を思わずじっと見てしまう。千波の知らない千尋を知っている孝明の存在が不思議だった。
 しかも地元でもなく離れているこんな所で、全然しらないで繋がっていたという事がどうにも変で落ち着かない。

 一つしかないソファは二人掛けだけど、まさかそこに並んで座るのもおかしいので千波は向かいに座っている。
 ミューは孝明の手にじゃれついて噛んだりして遊んでいた。
 やっぱり孝明は猫が好きなんだ…。ミューのしたいようにさせて遊ばせてやっている。
 ミューもすっかり孝明の事は遊び相手だと思っているのだろうか?
 甘える時は千波の所に来るけれど遊びたいと孝明の方に行くのだ。
 そして孝明はミューのその期待に応えてやっている。
 千波と話をしながらも猫じゃらしをふってやったりとミューの相手を忘れていないのだから。

 「あ…調べなきゃない事あったんだ…ミュー…見てもらっててもいい…かな?」
 「どうぞ?」
 いつもは誰もいない空間なのにそこに自然と孝明がいた。
 違和感がないのが不思議だ。
 なんでこんなに自然に千波の中にすんなりと納まっているのだろうか?
 あんなコトをされたはずなのに何故自分は孝明を中にいれているのか?
 部屋はそんなに広いというほどでもないけれど、寝室は狭いながらも別の部屋にあるので孝明のワンルームよりかはいいだろう。その部屋の隅に置いてあるPCの前に千波は座って授業の調べ物を始めた。
 孝明も授業の準備をしなくてはならないだろうに…でも孝明ならばそこまで時間もかけずに出来るのだろう。
 授業も案もどれも今まで文句なしの出来栄えだ。

 千波はPC前で神経を集中させてしまい、しばらくしてからはっとした。
 どうも、本を読んでいてもそうなのだが、集中してしまうとその他の事がすべて意識から遠のいてしまう。
 くるりと後ろを振り向くとソファで孝明が横になって眠っていた。
 そしてその孝明の腹の上にミューが乗って一緒に眠っている。
 飼い主のはずの自分よりも先にミューとお昼寝って…ずるい。
 でも身長の高い孝明のお腹にちょこんと丸まってるミューが可愛くて思わずくすと千波は笑ってしまった。

 写メしとこう…。
 千波はそっと携帯を取り出して眠ってる一人と一匹の可愛い姿に近づいてかしゃりとシャッターを押した。
 「う…ん…?千波…さん?」
 「あ、ああ…ん…」
 孝明がシャッター音に目を覚ましたらしい。
 名前を呼ばれたのにどきりとした。
 「調べ物は終わったんですか?」
 「ああ、…うん…」
 屈んでいた千波の腕を孝明が掴んだのに千波はびくっと身体を揺らした。
 孝明の声が寝起きで少し掠れていたのがまた千波を落ち着かなくさせる。

 「千波さん…」
 くい、と孝明が掴んでいた千波の腕を引っ張ってきたのに千波は身構えていなくてよろけてしまう。
 ミューがいるので孝明の身体に被さらないように慌ててしまうと孝明も千波の肩を押さえてくれた。
 そのミューが起き上がってぷるぷると伸びをしたのに千波と孝明は腹の上のミューを見る。
 するとミューはまたぽてんと向きをかえて横になって、そしてお腹を上に向けて眠ってしまった。
 「……猫…腹出して寝るって…」

 孝明が絶句している。
 「今日来たばっかで大物だな…コイツ」
 そのカワイイお腹のぽんぽこ具合に千波も思わず笑ってしまった。
 「安心してる証拠ですね…千波さん」
 くいと孝明が千波の肩に力を入れてきた。
 あ…。
 そして頭を引き寄せられるとそのまま唇を重ねた。
 …なんで…?
 そして何故、自分は拒否しない…?
  
----------------
拍手コメお返事です~^^ 
AHN様
 孝明は知らなかったんです~^^
 おもしろくなってましたか~(^m^)
 よかったです~♪
 ありがとうございます~^^

KRB様
 癒しですか~?(^m^)
 岳斗ちゃんラブリー度上がりまくりかな(笑)
 プリチートリオ!(笑)
 ありがとうございます~^^

nkmm様
 千尋先輩のお兄さんでしたよ~(^m^)
 岳斗可愛いありがとうございます~^^
 なんでか割増しで可愛い感じに見えます~(笑)
 ありがとうございます~^^

S様
 も~~~~~!大爆笑でした!!!
 ナイスですっ!!!!!
 その通りっ!是非ここに貼り付けたい(笑)
 全員そのままですっ^^b
 1P要約するとそんな感じですね(爆笑)
 ありがとうございます~^^

USGちゃん様
 岳斗可愛いありがとうございます~^^
 ふふふ…また後でちょっと出てきますよ~(^m^)
 この話は二人を出したくて書いた話だったので(笑)
 ありがとうございます~^^

okw様
 ぎゅっぎゅっしてください~(^m^)
 千尋先輩見えなくてもいい男になってますか~?(笑)
 よかった~^^
 千波ちゃん、一人でもじょもじょ考えてますが、
 まとハズレ?(爆)
 ありがとうございます~^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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