欲を出したくて、解放したくて、千波は背中を仰け反り、腰を揺らす。
「なんです?ああ、ココがイイんですよね…?」
くすと笑いながら孝明は余裕を見せ腰を打ち付けてくる。肉のぶつかる音と淫猥な水音が入り混じる。
「や、だっ!…手…はな…あ、ぁっ…」
孝明の手は千波の欲求を留めるように千波の根元を掴んで離さない。
「出したいんでしょう…?やだ、じゃないですよね…?」
奥まで孝明に穿たれればその刺激にびくびくと身体が揺れる。
「言葉が間違ってますよ?イイ、でしょう?」
「ぁ…い、…イイっ…ッは、や…くっ!」
自分から腰振ってねだって…。
なんで…。
そう思ってるのに身体は焦れてもっとと訴える。
孝明は千波にキスしながら手を離すと、欲望を抑えられていた千波はさらに強烈な解放を訴える官能が襲ってくる。
「千波さん…」
ぎゅっと孝明の腕が千波の背中に回され抱きしめ、そしてさらに激しく律動を繰り返してくる。
「んっ!あっ…あ、ああぁっ…っ!イ…く…」
「いいです…イって…」
身体を大きく揺さぶられ抽送を繰り返されればその内壁から快感が広がり、そして息が止まりそうな位の官能が千波を襲ったのにぎっちりと孝明の背中に爪を立てながらしがみついた。
その孝明も千波の震える身体に反応して最奥へとさらに突きつけるとどくりと千波の中へ欲望を吐き出していた。
汗ばむ二つの身体と交わる荒い息。
孝明はそして千波にキスを繰り返した。
なんでキスなんて…。
もうどこもかしこも何故、何故、だらけだ。
自分自身も分からない。孝明も分からない。
悔しいのか、悲しいのか、もう気持ちもまぜこぜで分からないまま千波は眦から涙が零れた。
「…千波さん?」
そんな顔など見られたくもなくてふいと千波は孝明から顔を背け、そして孝明の胸をぐっと押した。
孝明は上を脱いでもない。千波も下は脱がせられたが上は捲られたまま。
孝明は下だって脱いでもないんだ。
それなのに、キスを繰り返され、そして欲望を吐き出す。
「もう…いいだろ…」
息を整え、孝明に離れるようにとぐいと孝明の身体を押すが孝明は退ける気がないらしい。
「……誰が終わりって言ったんです?あなただってまだ足りないでしょ?」
「人を淫乱みたいに言うなっ!」
「淫乱でもいいじゃないですか?ねぇ…?」
「ん、はっ、ぁっ!」
ぐいと千波の中にいたままだった孝明がゆるゆると再び腰を動かし始めた。
「や、めろっ」
「どうして?千波さんの中はしめつけてくるのに…ほら…分かりますか?出したばっかなのにまた大きくなってきたでしょう?千波さんの中がイイから…」
くす、と孝明が笑いながらまたも動き出すのに千波の盛大な快感を放出したばかりの敏感な身体がすぐに反応してしまう。
千波の中でむくむくと孝明が力を取り戻していくのは分かりすぎるくらいに感じた。
「や…め……」
「感じていいって言ってるでしょ。もっといっぱい感じて…」
「んっあ、あぁっ!」
そのまま千波は何度も孝明に追い立てられる。
もう…無理、と思った時に意識を離していた。
頬にざりっと何かが触ったのに千波はゆっくりと目を開けた。
「ん……?な、に…?」
それに鼻がなんかむずむずする。
みゃ、と小さい声が聞こえてはっとして目が覚めた。
「ミュー!?」
ベッドに千波は寝ていてその顔の横にミューもいた。
千波がみしみしと音のしそうな身体で半身起き上がるとミューもぷるぷると小さい身体で伸びをしていた。
「……お前、ここで一緒に…寝てた、のか…?」
千波のベッドだ。
でも小さすぎるミューはまだまともにジャンプも出来ないのに…。
そうしたら考えられるのは孝明が千波をベッドに運んでミューも一緒にベッドに乗せたのだろう。
「……孝明、は…?」
ミューに聞いたって分かるはずなどない。
ミャアミャアと何かを訴えるようにミューがないている。
「何?」
ベッドのサイドテーブルに千波の眼鏡を見つけてそれをかけ、時計を見ればすでに夜7時をまわっていた。
「…おなかすいたんだな?」
くすと千波は笑って起き上がった。
…身体が妙にこざっぱりしてる。それに着せられてた服が…違う。
孝明、…だ。
部屋に孝明の気配は感じない。
帰ったのだろう。
………みじめだ。
千波はミューの小さい身体を抱きしめてミューの温かい体温を確かめた。
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