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2012.09.15(土)
なかなか顔を出してくれないが、嫌だったわけではなくて、本当に恥かしいだけらしい。
「明羅くん?」
前を触らなかったのに後ろだけで明羅もイきまくりで、それは怜にとっては嬉しい事なのだが。
話題はセックスからは離れた方が無難だろう。
「…あの拍手とスタンディングオベーションには俺もさすがに寒気がたったぞ?」
もぞもぞと明羅が布団から顔を出してきた。
「…俺も…体中の毛が全部逆立った感じだった」
明羅の頬を撫でる。肌はいつもすべすべで高校生の男の肌じゃないだろう、といつも思うのだが。
「ん。お前の曲がいかに素晴らしいものかこれでわかっただろ?」
「え?違うでしょ?怜さんのピアノが、でしょ」
素でこれを言うんだから頭を抱え込みたくなる。
「いや、曲だけでも俺のピアノだけでもああはならなかっただろう。明羅の曲を俺が弾いたからだ。な?」
「……ん」
明羅が面映そうに笑みを溢す。
だからなんでこんなに可愛いにしか見えないのか!?
この明羅が自分のものを銜えた時はもう暴発するかと思った。
それでなくても演奏が成功で興奮してる状態だったのに、銜え込んで、潤んだ目で上目遣いに見てくるでは理性なんて何処かに吹き飛んでも仕方ないだろう。
明羅もまた興奮していた。
それくらいよかったという事なのだろうが。
「困ったな…」
「何が…?」
怜が呟くと明羅が首を傾げた。
「いや、これからコンサートの度にこれかな~っと?」
「これ?」
「そ。…興奮しまくり、乱れまくり?」
「こ………み………っ!」
明羅の顔が瞬時に真っ赤になって火が出そうになってる。
「別に困りはしないか…。いや、明羅は動けなくなっちゃうからひどいけど…」
「………い」
「ん?」
何か明羅が呟いたけど聞こえなかった。
「別にいい!」
可愛い~~。
怜は思わず顔が崩れる。
「お前…可愛すぎる」
「それ、絶対おかしいから」
「おかしくないな」
思わずキスする。
く~と可愛く明羅のお腹がなって怜は笑った。
「何か食う?」
「食べる」
食欲は一人前なんだよな。痩せすぎ君だとは思うけど。
「……ごめんなさい」
「何が?」
「だって怜さん今日ステージだったのに…」
「いいや?だってほら動けなくした責任あるし」
明羅の頭を撫でた。
まったくすぐ遠慮するんだから。
「何か残ってるのあっただろ。じゃ待ってろ」
「……うん」
小さく明羅が頷いた。
いつもコンサートやコンクールの前は神経がぴりぴりして自分でも自分を持て余すのが普通だったのに、今回はさほどではなかった。
ステージの直前でも悠々といられたのはやはり明羅がいたからだろう。
意識はずっと明羅にだけ向いていた。
曲と曲の合間にちらっと明羅を見れば泣きそうな顔してて、<ハッピバースデイ>が終わった後は顔がすごいことになってた。
拍手も起きなくてダメだったのかと思ったらまるきり反対で。
初めて自分でもぞわっときた。
それを与えてくれたのは明羅なのに、まるで本人はその気はないのだが。
何故か疎遠だった宗が懐いて、苦手だった親父はただの馬鹿に見えるようになった。
家族に縁薄いと思っていたのだが…。
明羅の両親も忙しいのはわかるが放っておきすぎだろうとも思う。
思うが、それのおかげでこうして一緒にいられるし、明羅が普通の事に飢えてて怜にすべてを委ねてくるのが分かれば感謝したくなる。
そういえば明日はクリスマスイブだ。
きっと普通にクリスマスなんてした事ないんだろうな、と怜は考え込む。怜だって母親がいた頃は普通にケーキを買って、プレゼントを貰って、としていたが…。
プレゼント?
……困ったな。何がいいのか?
女なら装飾品でもやりゃあいいだろうが…。
装飾品…。
指輪。ネックレス。腕時計。
怜は一人で顔をにやけた。
それとデートだな。
「……いいけど、明羅、動けるか?」
さんざんさっき可愛がってしまった後だ。
いつも何回もした次の日は動くのが辛そうなのだ。
まずお腹をすかせた子に食べさせるのが先だ、と一旦考えを置いて怜は料理を作る手を動かした。