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波が逆巻く。 8

 「ただいま」
 やっぱり自分の部屋に入るのにコレは違和感を感じる。
 「おかえりなさい」
 みゃうっ!とミューも一緒にお出迎え。
 「お腹すいてたみたいなのでご飯たべさせましたよ」
 「ありがとう……」
 孝明の視線がどこか柔らかい。
 いつもじっと強い視線ばかりだったのに今は優しい、といっていい位だ…。

 「千波さん」
 「うん?」
 靴を脱いで部屋に上がるとミューが足元にじゃれてきたので抱き上げ、のどを撫でてやると気持ちよさそうに目を細めているのが可愛い。
 いや、ミューは何してたって可愛いんだけど。
 「今日泊まっていってもいいですか?明日始発で帰りますので」
 「えっ!」
 泊まって…ってなんで!?
 こくりと息を飲み込みながら孝明の顔に視線を向けるとやっぱりいつもの強い視線で千波を見ていた。
 眼鏡をかけていない目。

 「ダメ、じゃないですよね?」
 「……いい、よ」
 そう、いいじゃないか。孝明の方から泊まるって言っているのだから。
 帰った後の寂しさを感じる事もない。
 千波が肯定を返せば孝明はふっと満足そうに笑みを漏らした。
 「千波さん、勝手にキッチン借りました。ご飯にしましょう」
 「…え?」

 ミューを離すとミューが嬉しそうにリビングの方に走っていく。
 その後ろを追いかけるように大きいとは言えないリビングに入ると小さなテーブルに孝明が用意したのだろう料理があった。
 「あ…ありが、とう…」
 「いいえ。たいして…。ああ、米とか買ってきた分は置いていきますので」
 「いや、いいよ!」
 「いいよと言われても持って帰るなんて面倒です。…また来ればいい」
 どうです?といわんばかりに孝明が千波の顔を覗きこんだ。
 「……それなら、いいけど…ミュー待ってるし…」

 「…………ミューのせいでもいいですけどね」
 孝明が肩を竦めた。
 どういう意味だ?
 でも孝明は何度も来る気でいるらしい。それに千波はうっすらと口端が緩んでくる。
 「ほら、ね?」
 ぐいと孝明が千波の顎に手をかけて顔を上げさせた。
 「な、なんだ?」
 目の前に孝明の顔。

 「…………………止まれなくなりそうなんで後にします。ご飯にしましょう」
 キスされるのかと思ったらあっさり孝明は千波から手を離した。それに千波は一人で動揺する。
 安心したような、がっかりしたような…。
 こんな落ち着かない気持ちは初めてだ。
 彼女がいた時だってこんなに気にした事なんてなかったくらいで、どうしてここまで千波だけが落ち着かないか、と思えば孝明を恨めしく思えてくる。すっかりもう孝明に翻弄されている気がして千波は自分だけが好きすぎるような気がしてならない。

 …五歳も下なのに。千尋の同級生なのに。

 そんな事自分に言い聞かせたって、孝明に泊まっていいかと問われれば嬉しいと思ってしまうんだから…。
 そんな気持ちは押し殺すんだ、と千波は気持ちを切り替えようとした。

 向かい合わせに座ろうとしたら孝明がこっちです、と腕を引っ張られソファの隣に座らせられた。
 「すみません。キッチン勝手に使わせてもらって」
 「いや、…いいけど。かえって悪かった。ミューも頼んで飯の用意まで」
 「大したもんじゃないです。惣菜と肉炒めた位なんで。…千波さんと似たようなもんでしょ?」
 「……まぁ、そうだな…」
 そこには少しばかり安心してくすと笑ってしまう。
 「…でもありがとう」
 「……どういたしまして。さ、どうぞ。…って、千波さんちで俺が言うのも変ですけど」

 くすくすと千波が笑う。
 昨日はこんな嬉しい気持ちはなかった。
 また孝明は来る気らしいが、孝明がいるのに慣れてしまったらいない日を寂しいと感じてしまう。きっと。
 ミューがすたすたとやってきて千波と孝明の間に座ると丸まった。
 本当に、ミューは孝明がいれば玄関に行く事がないんだ。
 だからつい、千波も孝明に頼ってしまうんだ、きっと。
 二人で幸せそうに眠るミューをじっと見つめてしまう。
 そしてこの時間が幸せだ、と千波まで思ってしまうんだ。

 「…なんかミューが大分ジャンプ出来るようになってきたよ」
 「でしょうね。ああ、そういえば爪伸びてたでしょう?後で切ってやらないと」
 孝明に買い物についてきてもらった時に爪きりとかもいりますと言われて買ってたけど…。
 「…手伝いますよ」
 イマイチ不安だったのが顔に出てたのか孝明が小さく嘆息して苦笑を漏らす。
 「うん。…助かる。ありがとう」
 仕方ないですね、と言わんばかりの孝明の表情にやっぱりどきりとしてしまった。
 
 
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拍手コメお返事です^^
SW様
 てんこ盛りですか?
 私はわりとみんな小皿に盛っちゃう…
 ミュー気に入っていただけて嬉しいデス~
 何といっても一番力入ってたので(爆)
 ありがとうございます~^^

S様
 いつもありがとうございますm(__)m
 千波ちゃんモデルはいないんだけど~
 …というか私一番似てるかな…って思ってたんだけど^^;
(中身ね!)
 みらいさんに天然言われたけどそうなのかな???
 そんなん言われた事ないんだけどなぁ~^^;
 千波ちゃん崩れてるんだけど、崩れ具合が
 まだ足らんようです(笑)
 メロメロビームが出る位じゃないとダメなのかも(笑)
 ありがとうございます~^^

KRB様
 いつもありがとうございます~m(__)m
 千波ちゃんかっこよくなってましたか~?
 よかったで~す♪
 そりゃもうデレるしかないでしょう~(笑)
 ありがとうございます~^^

nkmm様
 ミューつきで飼いますか?(笑)
 勿論後ろで睨み効かせて孝明は立ってるでしょう~^^;
 こわ~い!(笑)
 ありがとうございます~^^

okw様
 私も仔にゃんこ抱っこしたいです~(^m^)
 オトナのニャーならいるんですけどね^^;
 仔猫はも~別格で可愛いから/////
 イチャコラもちょっとかな~^^
 私ですか~?ほぼ毎日?^^;
 (時間があれば、ですが)
 在庫が増えると遊んで書かない時もありますが(笑)
 ありがとうございます~^^
 

テーマ : BL小説
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