「いっぱい出ましたね…?全然自分でしてない…?」
「や、めっ!何、してっ!」
孝明は自分の手についた千波の放ったものをぺろりと舐めた。
「あなたのだったら舐められます」
「ど…ういう…」
意味…?
「あっ」
その孝明の指が千波に後ろを探り、そしてつぷりと中に入ってくる。
「う、あっ…」
「…中も熱いし蠢いてる…」
孝明の手に放ったものを潤滑油の代わりに押し込んでいるのかぐちぐちと音が響くのに千波は腰を引きたくなる。
「音……や…」
「どうして…?エロい音でしょう…?いいですよ…」
さらにわざと音をたてるように孝明が指の抽送を繰り返していく。
「千波さんのいい所…ココでしょ」
「んっあぁっ!」
強烈な快感が千波の背中を走っていく。
そっと孝明が空いている手を千波を横たえた。その間も孝明の指は千波後ろを弄り、千波の感覚はそっちに集中してしまう。
「あ…ミューが…」
ミューがテーブルの下にちょこんと箱座りしている。
「ミューが見てる?」
くすりと孝明が笑う。
「本当に頭のいい子です…。ご飯食べてる時とかは間に入ってきたりするのに千波さんにこうしてる時は絶対邪魔して来ないですから…」
「あ、ああぁっ…!」
ぐいと奥まで孝明の指を感じる。さらに圧迫も。
「まだですよ?後で俺ので衝いてあげます…千波さん好きでしょ?」
「や、だ……」
「嘘ばっかり…」
なんでこんないいように言われて…。これじゃ本当にまるで俺が淫乱のようじゃないか…。
眦に涙を浮かべきっ、と千波は孝明を睨んだ。
「千波さん、そんな顔したってそそるだけですよ」
孝明が唇を重ね、濃厚なキスをしながら指で後ろを突かれ、もう片方の手は千波の身体を辿っているのに背中を仰け反り、声は止まらない。
「感じてください…俺に感じてこうなってる…でしょう?」
「違う!」
「……素直じゃないですね。ほら、出したばっかりなのにもう勃ってきてるのに…」
それはそうだ…。触れられてれば…。キスされれば…。
腕を回してもいい、のだろうか…?しがみついても?
どうしても全部を委ねる事が出来ない。
だって孝明の真意が分からないから。
さっきみたいに、千波の出したものを舐めた時のように、まるでそれが千波のものだから出来るんだ、と言わんばかりの時と人を淫乱のように扱う時がある。
…まるで千波が相手が誰でもいいだろう、といわんばかりの時が。
そうじゃないのに…。
なぜか知らないけれど、いつの間にか孝明の存在が大きくなっていて寂しいと思えるほどになっているのに。
それを分かられ、指摘される位…。
でもそれを認めちゃいけない。認めてどうなる?
…自分が惨めになるだけだ。
「…んっあっ!」
ずるりと後ろから孝明の指が抜けたのに声が漏れる。
そしてすぐにそそり立つものを孝明は宛がい、千波の中に侵入してきた。
孝明も勃つ位に感じているという事だ。
千波が男でも孝明は力を失わないらしい。
中に入ってくるとさらにまたぐんと孝明が漲ってくるのを感じた。
「んんっ!」
「……千波さん…イイです……まじで…もたない…かも…」
ゆるゆると孝明が抜き差しを繰り返すとじわりと快感が滲むみたいに身体に広がってくる。
「千波さん、腕…」
孝明が千波の腕を自分の首に巻きつけろと誘導してきたのに千波は思い切りぎゅっと抱きついた。
こんな事でもなければ自分から抱きつくなんて出来ない。
「ん、はぁっ!」
「中もいいですが、声もいい…もっと聞かせてください…知ってるの俺だけなんでしょう…」
「あた、り…まえ…っ!」
誰ともセックスもキスもした事ないのだから!
それなのに、初めてが男でしかもこんなに自分から求めてしまうような快感を追ってるなんて本当にどうかしている。
でももう気持ちは孝明にばかり向いているんだ。ずっと目の前にいてもいなくても孝明の事ばかり考えているんだ…。
こんなの自分でも信じられないけれど。
「千波さん、動きますよ」
「あ、ああっ!」
激しく貪るようなキスを交わしながら孝明が千波の奥に向けて穿ち、打ち付けてくる。
身体を揺さぶられじわりと感じる位だった快感は強烈な官能となって千波を包んでいく。
「や、あっ!」
おかしくなりそうだ…。
「いいんです…。感じて…千波…」
千波の髪を愛おしいといわんばかりに孝明の手が撫でたのに千波は身体を震わせ、孝明もまた千波の奥で飛沫をあげ、荒い息を漏らしていた。
テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学