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泡立つ波。 9

 PCの曲が止まったのでもう一度再生して聴くために千波はミューを離してPCに向かった。
 音量をちょっと大きくして聴いてみる。

 曲、いいかもしれない…。千尋の曲?
 テレビとかでもよく千尋のバンドの曲が流れるけど…同じ兄弟なはずなのにまったく全然千波は音楽に興味ないのだから、似てないといわれるのも当たり前だ。
 「ミュー?どうした?」
 ミューがとことこと玄関のほうに向かった。
 ここしばらく孝明も来なくてミューが玄関に向かう回数は減っていたのに。
 みゃう!とミューが訴えるようにないた。

 …もしかして、孝明が来た、の…か?

 ミューがドアを見てもう一度ないたのに千波は慌ててドアを開けた。
 「千波さんっ」
 本当にいた!
 「なんで!?まだインターホンならしてなかったのに?」
 「…ミューが来たって…教えて…くれた」
 そのまま孝明がずいと体を滑らせ、玄関に入ってきて、ドアが閉まると千波は抱きしめられていた。そしてぐいと顎に手をかけられて顔を上げさせられる。

 「目が赤いですけど?」
 「何が?気のせいだ。ああ、きっとミューの毛が入ったんだ」
 「さっきの電話で声が震えてたのは?」
 「気のせいだっ」
 そして孝明が、ん?と声を上げて首を傾げた。

 「……じゃあ流れてるこの曲は?」
 「こ、これはっ!岳斗くんからさっき貰ってきた、から」
 「コレの何を聞いていたんです?千尋のベース?だったら今のバンドのを聞いた方がいいに決まってる」
 「………」
 「千波さん?」
 「…孝明の声だ、よっ!岳斗くんが!…声がって、孝明の高校生の時のあるって言うから!」

 「…それで?」
 「それだけだ!」
 「違うでしょ?」
 「ちがくない!」
 「……千波さんから電話かかってきて喜んで出たらミューがって…がっくりきましたけど?」
 「嘘だ!1週間一度だって来なかったくせに!電話も、何も、…忙しいんだ、と思ってたのに………忙しくないって…」
 千波は口を引き結び堪(こら)える。

 「……千波さん…俺、来てもよかったですか?」
 「……いい、って言った」
 「千波さんから電話来るの待ってたんですけど?」
 「来られる時来るって孝明が言ったんだろ!」
 「………来られないと思ってたんだ?…聞き方変えます。来て欲しかった?」
 「…しらない!」
 「しらなくないでしょう?少しは寂しいと思ってました?…ちゃんと言ってくれないと分かりません。俺はあなたに会いたくていたのを我慢してたのに」

 なんで我慢…?少しは?少しどこじゃないのに!
 「千波さん」
 素直に出していいのか?引かれないか?
 「来て…ほし、かった」
 ぎゅっと孝明の腕に力が籠もって千波の体を強く抱きしめた。

 「千波さん、好きです」
 え?と千波は顔を上げた。
 「……なんです?その顔は?」
 「だって…ふざけて……ただろう…?」
 「ふざけて?何をバカな事を。ふざけて男なんか抱きません。ましてや千尋の兄貴だなんて。千波さんじゃなければ無理です」
 「……え?」
 「……あなたは俺がふざけて抱いてると思ってたんですか!?」
 「だって…いっつも…軽口ばっかりで…」

 「軽く言った方が千波さんの負担にならないなら、と思ってただけです。千波さんはいつでもふいっと逃げるから。いつも俺ばかりが千波さん追いかけて。来ていいのかと思えばどうでもいいように言うし…」
 「そんな…違う…」
 千波は首を小さく横に振った。
 だって寂しかった。いてほしかったのに。
 「俺はちゃんと言いました。千波さん、好きです」
 あ……返事…?

 「…僕、も…好、き…だ」
 「ええ!自信ありませんでしたけど。今日、今、来てよかった!千波さんが高校の時の俺の声をわざわざ貰ってきて聴いていてくれる位に好かれてるとは思ってもなかったので」
 「ち、ちがうっ」
 かっと顔が熱くなってくる。
 「違わないでしょう?素直でない所もいいですけど、あまり素直でなさすぎると誤解してしまいます」
 「………………ちがわ、…ない」
 「千波さん」
 「ぁっ」
 孝明が唇を重ねた。

 キス…。
 何度も何度も。
 気持ちを確かめ合って交わしたキスは今までのよりもさらに甘く感じてしまう。
 好き、と…。
 いいのだろうか?と孝明の首に腕を回せばさらに孝明の腕は千波を苦しい位に抱きしめ返してくる。
 いいんだ…。
 唾液が伝うのも気にならない位に互いの口腔をむさぼった。
 だって足りなかったんだ。寂しかったんだ。
  
--------------
拍手コメお返事です^^
AHN様
 岳斗出てくると華やかですか~?^^
 癒しではありますねぇ~(^m^)
 そうそう好きだからぐるぐるしちゃう~
 でもぐるぐるも好きでしょ?(笑)
 ホント連休続きますものねぇ…
 男は皆我儘です…(--;)
 ありがとうございます~^^

USGちゃん様
 はい!出てきました~^^
 岳斗好きすぎありがとうございます~^^
 嬉しいデス/////
 千尋先輩のお兄さんから、千波さんになったのは、
 私が文字打つのが大変だからでした~(笑)
 そうです外出してダメなのは声入ってるので(^m^)
 ありがとうございます~^^

nkmm様
 そうですね~!兄弟で可愛いモノ好きかも(^m^)
 ミューとカブりますか?
 癒し?(笑)
 孝明焦らしすぎですねぇ~^^;
 ありがとうございます~^^

okw様
 素直になれればいいのにね~^^;
 全部ミューちゃんのおかげでいい方にいってる…(笑)
 岳斗可愛いありがとうございます~^^
 そうですね~^^いつもにこにこなので(^m^)
 ありがとうございます~^^

asms様
 やっぱり少しはぐるぐるしないとね(^m^)
 千波と千尋の無言の図……(笑)
 いえ、やっぱ笑いたくなりますよ^^
 ありがとうございます~^^

mr様
 放置プレイになってましたね~^^;
 やっぱわざとか…?本人は違うといわんばかりでしたけど?(笑)
 岳斗出てくると必要以上に可愛く書きたくなります(^m^)
 ありがとうございます~^^

S様
 ニャーは可愛いの分かってますよね~?絶対(笑)
 そして百合に笑い!(^m^)
 歌詞にキュン…(笑)おかしいでしょ?プププ…
 米は引っ張るアイテムじゃなかったでした^^;
 気温はホント朝晩は寒いですね~(><)
 風邪大丈夫ですか?(あ、風邪じゃない? 笑)
 体調気をつけてくださいね(><)
 ありがとうございます~^^

CHM様
 お久しぶりです~^^
 あ、すぐですので大丈夫です(笑)
 皆様に焦らしプレイ言われてる…^^;
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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