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波が猛る。 6

 結局それ以降何も起きたわけでもなく、朝が明ければやはりいつもと変わらぬ爽やかな朝に、夜帰ってきた時の危機感は全然ない。
 気にしすぎだ、と昨日の朝も思った事だったけど、帰りにはまた同じ感覚を味わったのを思い出すとぞっとする。
 気をつけるのにこしたことはない、と今日は早めに帰る事にする、と朝の孝明の電話にも告げた。

 孝明も気にして何度も電話をくれた。
 学校に着いたらメール。学校出る時もメール、と何度も確認させられ、心配しすぎなのに苦笑してしまう。
 それ位心配してくれるなら傍にいてくれればいいのに…。
 そう思っても口にはしない。
 それが出来るのなら孝明だってしているはずだ。

 …きっと。
 そう自分に言い聞かせる。
 学校に行けばいつもと変わらぬ日常。
 それに安堵を覚えるのだから千波も神経を張っているのかもしれない。
 今日を終えれば孝明が帰ってくる…。
 そう自分に言い聞かせる。
 
 「お疲れ様でした。スミマセン、今日はちょっと早めにあがります」
 「どうぞ。お疲れ様です」
 既婚者の先生はよく早めに帰ったりする先生もいたが、千波は結婚もしていないしいつもわりと遅くまで残っている方だったので何も言われないのにほっとして学校を出た。
 すぐに携帯を取り出して孝明に学校出たとメールを送ると、気をつけて、とすぐに返事が返ってきた。
 電車の駅できょろきょろと落ち着きなく千波は周囲を気にした。

 気にしすぎだ、と思うけれど項のあたりにちりちりとやはり視線を感じる。
 でもそっと振り向くとそれは消える。
 消える、という事はやはり見られてて、千波が振り返ったのに視線をそらすという事か…?
 どうしよう、と昨日よりも確信を持ってしまったのに千波は顔を青ざめた。
 …やはり感じる。
 千波のアパートに帰るのに公園のある通りは人影が少なくなる。
 今までそこに何も思った事はなかったが、いま、この視線を後ろに感じながらあそこを通るのが恐怖に思えてきた。
 どうしよう…。
 一つ前の駅の孝明の駅の方が人が降りるのが多い。
 それに孝明のアパートは人通りの多い、大きい通りを真っ直ぐだから千波のアパートまでのような公園もない。 
 なにより孝明の顔を見て安心したい、と思った。
 電車に乗って孝明の駅で降りる事に決めた。
 降りたら部屋に行ってもいいか?とメールしよう。今行く、と。
 …いなかったら…?
 アパートに帰っている、が嘘だったら…?

 昨日は何回も電話して、話しながらも孝明は何かごそごそとしているようだった。
 でも聞こえたのはテレビの音だけだったので本当に孝明の部屋かどうかは知らない。
 でも嘘はつかない、…よな。
 電車の中でもやはり視線が突き刺さっているのを感じた。
 見られてる。
 誰に…。
 心臓がいやな音でドキドキとさせ、千波は孝明の利用する駅で降りた。

 今、孝明の駅に降りてこれから部屋に行くから…、と降りる直前に孝明にメールを送り、そして足早に向かおうとしたらすぐ電話がかかってきた。
 『なんで降りたんですかっ!』
 「降りちゃだめだったのか?」 
 行っちゃダメ…って事か!?
 『視線は?』
 「ある!とにかく今から行くから!」

 千波!と呼ぶ声が聞こえたけれど千波はそのまま孝明がいるだろう孝明のアパートに足早で向かった。
 来たのは一度だけだけどちゃんと覚えていた。
 …ついてきている気がする。
 ちょっと早歩きしたり、ゆっくり歩いたりと歩調を変えてみるけれど、チリチリとした視線がついてきている。
 千波はこくりと唾を飲み込み、じとりとしたいやな汗をかきながら孝明のアパートに向かった。
 孝明が本当にアパートにいれば出てきてくれるはず。
 そう思いながら自分を奮い立たせ、孝明のアパートに向かった。

 ここだ…。
 間違いない。
 建物の前に着いたけれど孝明は出てきていない…。
 いないのか…?嘘なのか…?
 千波は階段を上がっていった。
 3階の真ん中の部屋。
 うん。間違ってない。
 ドアを開ける。

 「………っ!」
 千波は呆然とした。
 孝明の部屋だったはずのそこはもぬけの殻になっていた。
 「孝明…?」
 嘘、だった…?
 さっき電話で慌ててたのは…いなくなってた、から?
 目の前の事に呆然としすぎて後ろの視線の事を忘れていた。
 肩に後ろから手をかけられたのに千波はびくんと大きく身体を震わせ、ゆっくりと後ろを振り向いた。
 
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続きに拍手お返事です^^ 
TM様
 いつもありがとうございます~^^
 萌え禿げていきますか?(^m^)
 そろそろツルピカ…(笑)
 植毛にいかないとっ=3www
 ありがとうございます~^^

HN様
 意地っ張りはまだちょっと続きます^^;
 転がされてるのか、結局振り回されているのか(笑)
 好きも、コメントもありがとうございます~^^

S様
 ストーカー…っぽく、ですね^^;
 まだ全然な感じですけど(笑)
 あ、残念…非常に非情な千波さんは
 出てきませんでした(><)
 ありがとうございます~^^

mr様
 孝明は、ハイ、準備中でした(笑)
 襲われは勿論なしでした^^;
 ありがとうございます~^^

okw様
 テンプレ変えてみました^^;
 けどちょっとイマイチのところ発見…
 自分では直せないし…(--;)
 飽きちゃうから急に変えたくなるんです~^^;
 また変えちゃうかも…(汗)
 千尋先輩とはホント全然似てないデスネ~^^;
 長男クンだしね~(笑)甘えるのは下手ですね(^m^)
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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