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波が猛る。 8

 「君、中学生だろう?親御さんに迎えに来てもらう。連絡先は?」
 孝明は千波を抱きしめたまましれっと全然知らないふりをして菅野くんに声をかけた。
 「親…っ!?」
 ぎょっとしたように菅野くんが驚いた顔をした。
 「親がだめなら警察でも」
 「け、警察!?」

 「当たり前だ!これは立派な犯罪未遂だ。さすがに警察までは可哀相だから…まだ何かされたわけじゃないようだし?だから親!」
 「親はちょっと…」
 「じゃ警察だ」
 「や、やめ……」
 菅野くんの顔が真っ青になっていく。
 「……穏便に見逃してやってもいい」
 ぱっと菅野くんの顔が晴れる。

 「二度と千波に近づくな!質問に行くのもなしだ!守れなかったら親に電話してやる!」
 質問に行くのもなしって…さっき知らないふりしてたのに…。
 「二度と、し、しませんっ」
 「消えろっ!」
 菅野くんがばたばたと走って去っていったのにはぁ、と千波と孝明は大きく溜息を吐き出した。
 「…知ってますか?ヤツの親、警察官ですよ?」
 「え?そうなのか?」
 自分のクラスの子じゃなかったから把握していなかった。

 「…なんで孝明知ってるんだ?」
 「学校いる間に調べたからに決まっているでしょう!各クラスの担任に生徒をよく知るため、とか上手い事言って千波に手を出しそうなヤツチェックしてました。あいつが筆頭でしたけど」
 「そう、なんだ…」
 「…なんで駅下りたんですか!?」
 「だって…孝明に…あ!部屋、が…」 
 引っ越した、のか…?千波には一言もなし、で…?
 「…帰りますよ」

 ぐいと孝明が千波の身体を離した。
 やっと二日ぶりで会ったのに…。
 部屋はなくなってるし訳が分からない。
 「なんで…部屋ない…?アパート帰ってる…って嘘だった、のか…?」
 「嘘なんかついてません」
 「だって!僕は何も聞いてない!孝明、自分のアパート、帰る、って…今日は視線が、強く感じて…」
 「………今日は千波の降りる駅で待ってましたよ。迎えに行ってたのに。一つ前で降りたって、慌てて電車飛び乗って全力疾走してきましたけど?」
 待ってた…?

 「心配で仕方なくて!昨日は徹夜しました!帰りますよ!」
 怒ったように孝明が千波の手を引いて歩き出した。
 駅で待ってた…?
 心配して徹夜…?
 「……帰ってから説明します」
 「帰る…?」
 「三日たったら帰ります、って言ったでしょう!気をもみすぎて無理をして二日に短縮しました!」

 そのまま手をずっと孝明に引かれたままで電車にも乗って、ずっとそのまま千波の部屋まで帰る。
 会話はなく無言のままだけど、繋がれた孝明の手はすれ違う人がなんだ?という顔で見られても離れなかった。
 階段をあがって千波の部屋に…いや…。

 「孝明?ウチ隣だけど?」
 「あのね!知ってます!」
 え…?
 孝明が鍵をがちゃりとまわして開けているのは千波の隣室だ。
 もぬけの殻だった元の孝明の部屋。
 一緒にいるために、って言ってた言葉。
 「孝明…?」
 こくりと千波は生唾を飲み込んだ。
 千波と同じ部屋の間取り。でも孝明の部屋?ダンボールが部屋にいっぱい積み重なっている。まだ荷解きも何もしていないらしい。

 「お隣さんです。よろしくお願いします。といってもほとんど千波の部屋に行くようになると思いますけど。ミューいますからね」
 「……うん」
 まさか…。
 「好きです。本気ですよ…いいんですか?離しませんよ?」
 「…うん…で、でも!言ってくれればよかったのに!」
 「…驚かせたかったんです。全部裏目に出てしまいました。よりによって俺の自由がきかない時に動かれるとは!しかも千波まで余計な動きするし!」 

 「…会いたかった…んだ…」
 「寂しかった?怖かった?」
 「…決まって、る、だろ」
 「ええ。失敗でした。全部話して、一緒にいるべきでしたよ。……後悔しました。千波が俺が来ないと言っても平気そうな顔してるから…」
 「平気、じゃない…」
 「ええ。俺が悪かったです。もう大丈夫ですから…」
 孝明が千波を抱きしめてくれたのにやっと心底安心した。

 「孝明…」
 孝明の元の部屋が空だったのに不安ばかりが過ぎっていたがそうじゃなかった。
 千波も孝明の背中に腕をまわしてしっかりと抱きついた。

 会えないのに全然平気なんかじゃない!
 千波の事なんて分かっていると思ったのに孝明は全然分かっていない!

 「全然僕の事分かってない!」
 「…お互い様です。ちょっと離れただけで俺が部屋ごと消えてるとあなたは思ってたでしょう?」
 「だって何も言わないだろ!」
 「千波だって本当の気持ちは言わないでしょう!?」
 ……どっちもどっちだ。
 顔を合わせ、そしてくすりと笑い、自然に唇が重なった。
 
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りっくさんからまたまた宗いただきました^^
クリック→  宗 花束
ありがとうございます~^^
続きに拍手コメお返事です^^/ 
RI様
 お久しぶりです^^
 千波ちゃん…ね^^;
 まぁ、ウチでは何も起こりませんので(笑)
 テンプレ変えてみました~^^
 飽きるんですよ…私^^;
 模様替えという事で(笑)
 ありがとうございます~^^

fm様
 切るトコはわざとじゃないんですけど^^;
 たまたまキリいいところで、と思うと
 こうなっちゃうんです~(^m^)
 他の作品達もありがとうございます~~////
 でも目は本当に休めながら気をつけてくださいね(><)
 ありがとうございます~^^

KRB様
 やっぱりでしょ?これしかないですもん(笑)
 孝明、わざとかと思われますが、どうでしょう~?
 私も分かりません(笑)
 ヤられちゃいかんです^^;
 ありがとうございます~^^

AHN様
 はい、何もないです(笑)
 今度なにかしちゃおうかしら…
 非難轟々になっちゃいますね^^;
 ありがとうございます~^^

nkmm様
 む~っとね(笑)
 無自覚なので仕方ないですね~^^;
 勿論ヒーローはねお姫様助けないと^^
 …ってなぜかヒーローに思えないな…^^;
 ありがとうございます~^^

S様
 そりゃ間に合わなきゃね~^^
 どっちもどっち、今日千波ちゃん言ってます~(笑)
 風邪はいかがですか~?
 鼻栓は無事取れたのかな?^^;
 お気をつけ下さいね(><)
 ありがとうございます~^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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