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波が猛る。 9

 キスを交わし、でもすぐに孝明は離れた。
 「このままベッドにと言いたい所ですけど、ミューが腹すかしてるでしょう」
 「…うん」
 孝明は千波の事もミューの事も考えてくれてる。

 そのまま隣の千波の部屋に。
 ミューがいつものように玄関で座って待っていた。
 「ただいまミュー」
 昨日の不安感が微塵もない。勿論視線の原因がなくなったから、というのもあるけれど、何と言っても隣に孝明がいてくれるからだ。

 …部屋も隣なんて。
 だから一緒にいるため、だったんだ。
 でもそれなら言ってくれればよかったんだ。
 引っ越すのに荷物纏めるのを一人でしてた?
 「…言ってくれればよかったんだ…。そうしたら手伝ったのに」
 そうすれば別に会うのを我慢する必要もなかったのに。
 ミューのご飯の用意をしながら千波が呟いた。

 「…千波が会いたいって言ってくれるのかな、と。寂しい、と。…いつも別にばかりですから」
 「…別に、は別にいいという意味じゃないって…孝明が言った」
 「言いましたけど、やっぱり千波の口からちゃんと聞きたいでしょ。そうだろうと思っても、ね…」
 孝明がちょっと屈んで千波の耳にキスする。
 「なんで、どうして、も聞いても来ないし。俺の事なんて本当に気にもしないのかな、と不安でしたよ」
 「そんな事!孝明が内緒って言うから…僕には話す気なんてないんだ…って思ったから…」

 「………見事に気持ちがすれ違ってますね…。いや、すれ違ってるのとも違うな。根本的には同じ方を向いているのに、その上っ面が反対を向いてるんだ…千波…ちゃんと言って?じゃないとまた俺は同じ事をするかもしれませんよ?」
 「…え?」
 ミューにご飯を出すと勢いよくカリカリと食べ始める。

 「千波……俺はあなたの事が心配で生徒の事調べたり、隣にまで越してくるイタイヤツですが…」
 「全然?…それはかえって嬉しい…けど…」
 ああ、執着してるのを出されるのが嬉しい。千波も出してもいいのだろうか?
 「…言ってくれないのが嫌だった。いないのが寂しかった。…会いたかった。今日だって理由が出来て、これなら孝明に会いに行ってもいいか、と思って…だから降りたんだ」
 「なのに部屋は空だし?」

 「そう…僕は何も知らなかった…。何も言ってももらえないんだ、と思って…」
 孝明が千波を抱きしめて今度は貪るようにキスしてくる。
 「飯より千波が欲しい…」
 「…ん…」
 孝明の首に千波が腕を回すと孝明が千波の身体をぐいと抱き上げ、そのまま千波の寝室に連れていかれた。

 「…僕は…誰でも…いいのかとも…思ったけど…違うみたいだ…」
 「はい?」
 ベッドに横にされて千波が小さく呟いた。
 「…孝明だけ、みたいだ…平気なの」
 「あのね。当然でしょう。誰でもよかったならとっくにあなたはキスでも何でも済ませてるでしょうよ」
 「…お前は誰でもよかったんだ?」
 「そう。今までは、ね。今はあなた以外無理です。ところで、本当にあの生徒には何もされてませんよね?」
 「ああ。触られてもない…けど…」

 「けど?」
 「そ、そういえば!原因は孝明だ!」
 「はい?」
 「く、首にキスマーク…あった…って…それ、見られて…」
 千波の眼鏡を外しながら孝明が眉間に皺を寄せた。
 「…キスマーク見て…?それで…?あとは何言ってました?」

 「…僕の…イく…顔が…みたい、とか…。孝明とペットショップに一緒に行ったのも見られてるだろう?あの人にやられてるんだ、とか…」
 チッと盛大に孝明が舌打ちする。
 「千波をオカズにしやがったな」
 オカズって…。
 かっと千波が顔を紅潮させた。
 「あなたのイく顔なんか誰にも見せられません」
 「………そんな酷い顔?」

 「あのね!」
 はぁと孝明が頭を抱える。
 「壮絶に色っぽいに決まってるでしょう!ったく!エロい事してなくたってフェロモン出してるのに」
 「…は?」
 「こっちは気が気じゃないですよ。ホント」
 「んなわけあるか!」
 「あります。それに俺は狂わされてるんですからね」
 「あっ…」
 首筋を孝明が舐め上げられ、ぞくりと身体が反応する。

 もっと…。
 千波はぎゅっと孝明の首にしがみついた。
 「いっぱい…し、て…」
 寂しかった。たった二日が! 
 「勿論…あとはもうあなたから離れませんから。離してなんかやりません」
 「いい、んだ」
 その方が嬉しいんだから。
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お知らせ

 坂崎 若様から孝明いただきました^^
 単品ですけど(笑)背後注意でお願いします^^;微…かな?
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ありがとうございます~~~m(__)m

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