はのんのBL部屋

　学校では菅野くんはなんら一般の生徒と変わらない普通の態度になり、千波の傍には寄ってこなくなった。
　元々勉強も出来ていていつも聞きに来るのはわざわざ問題集から難しい問題を持ってくるのだったから、わざと分からない問題を用意してきたのだ、と今ならなるほど、と納得した。
　孝明の脅しが効いているのか千波の顔を見れば逃げるように去っていく。
　よほど親にはばれたくないらしい。
　それ位まだ子供なんだ、と千波もほっと安堵した。
　

　孝明は千波と同じ中学校の教職に。
　そのうちどこか移動で一緒の学校になる事もあるかもしれない。
　そんな事を考えればちょっと楽しくなってくる。
　何も変わらない日常だったのがほんの3週間で変わったんだ。
　大事な特別な存在が二つ増えた。

　「ミュー」
　…ミューはもう身体が大きくなって可愛くぽこぽこと跳ねるように走っていた姿は見られなくなった。
　ベッドにもすたんと余裕でジャンプして乗っかってくるようになったし、棚をジャンプして冷蔵庫の上にいたりと、自由にしている。

　部屋から出していないのでミューが知っているのは千波の部屋だけ。
　それで幸せなのだろうか、と思う事もあるけれど、外に自由に出すのも怖い。
　孝明に甘え、千波に甘え、それは変わらない。
　おもちゃで遊んだり、寝たり。
　撫でて、と要求してきたり。
　大きくなっても可愛さは変わらなかった。

　孝明とはしょっちゅう小さい事で…大概が言った、言わない、言え、言うか、の小競り合い。
　どうしたって千波ばかりが好きすぎる気がしてならないからつい意地を張ってしまう。
　でもそれだけ。
　やっぱり一緒にいるのが幸せだと思えるから。

　孝明は新任の教師として辞令が出る。
　千波にも移動の辞令。
　それを広げて、同じ学校の名前が書かれていたのに千波は目を大きく瞠った。
　「すごい偶然だ！」
　「…偶然？」
　ふふんと孝明が笑った。

　「偶然は終わってますよ？俺の教育実習で千波の学校に行った事、指導教員が千波で、千尋のお兄さんだった事、酔っ払った千波を連れ帰った事、ミューを拾った事、そこまでは偶然ですけど、あとはもう俺の努力です」
　「？」
　千波は首を傾げた。
　「実はちょっとコネがあって千波さんと一緒の学校になるように…」
　手を回しましたと悪びれずに孝明が告げた。
　「別に地位上げろとか、そんなんじゃないのでちょちょいでしたけど」

　「おま…どうやって！？」
　「ちょっと千尋のサインをえさに…」
　ぷふっと孝明が笑った。
　「おまえ…」
　「いえ、家庭教師に行ってた先の子が千尋のファンで、その親が実は教育委員会の移動の権限ある家だったんですよ。あ、これは偶然ですけど。持つべき友は有名人ですねぇ」
　「…孝明…」

　「もう偶然じゃない、必然って感じです。利用しない手はないです。でもあからさまにお願いしたわけじゃないですよ？」
　なんて言ってこうなったのか聞くのが怖い気がして千波は黙っておくことにする。
　…知らないほうがいいだろう、きっと。

　「…引きますか？こんなことまでしてって？」
　「いいや？…一緒は嬉しい」
　「オフィスラブしましょうね？楽しみですね…スリリングですよ？きっと」
　「学校で！？」
　「いつでもキスできますね？」
　「するわけないだろっ！見られたらどうするんだ！？」
　「俺がそんなヘマするわけないです」
　「…やっぱ嫌だ」
　「またそんな事言う…」

　孝明が楽しそうに笑っているのが怖い。
　いつやら千尋を唯我独尊系でなんて言ってたけど、やはり類は友を呼ぶなのか？
　千波は孝明に勝てたためしはないんだ。
　嫌だ、なんて言ったって本当は嫌じゃないのだから。
　ついなんでもうまく丸め込まれて最後には孝明のいいようにされてしまうんだ。

　でもそれでいい、と思っているのだからやっぱり同罪か。
　新しい学校はきっとスリリングで楽しい毎日になるのだろう。
　「ミュー…どう思う…？」
　ソファで孝明と千波の間の定位置で眠っているミューに話しかけても勝手にやってれば、と言わんばかりにパタパタと尻尾を振られただけだった。
　
　
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柚埜さんから孝明×千波ちゃんいただきました～^^
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孝明×千波

ありがとうございます～～～(T-T)

連日皆様からイラストいただけて本当にも～嬉しいです(T^T)
幸せです！そして恐縮ですm(__)m
絵師の皆様…本当にありがとうございます～m(__)m

テーマ : ＢＬ小説
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