2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

会計クンは鷹揚自若 11

11 泰明(TAIMEI)

 行かない、別に頼んでない、ときたもんだ。
 思わず泰明はイラッとしてしまった。
 昨日はあんなに嬉しそうに笑っていたのに。
 学校だからか?
 そしてつい五十嵐の父親と兄の思惑を仄めかすことを口にした。
 それに五十嵐は驚いた顔をして眉根を寄せた。
 ああ、そうか…。
 昨日嬉しかったのは水族館に行った事で、別に泰明じゃなくたってよかったって事だ。
 それに父親や兄に言われているのだって別に五十嵐が望んでいる事じゃないんだ。
 

 「ねぇ、六平サンって今度五十嵐と親戚になるんでしょ?」
 生徒会室に姿を見せた三浦クンが泰明に話しかけてきた。
 「ああ」
 三浦クンは会長から話を聞いたのだろう。
 一条関係者ならもう誰でも知っている事だ。
 「うわ!最低~!俺、あいつきら~い!」
 三浦クンが顔を顰めてるのに一緒に来た柏木が苦笑している。

 「………あいつ、なんかしたのかな?」
 泰明は二人の顔に代わる代わる視線を向けた。
 「無視すんの!俺なんもしてないのに!柏木にばっか話しかけて隣いる俺は完全無視!別にいいけどぉ」
 「柏木に?」
 五十嵐が積極的に誰かと話しているところなんて見た事なかったが…。
 「今はそれもなくなったからいいけどね~!」
 そういえば二宮副会長も複雑そうな顔をしていたと思い出す。

 柏木に五十嵐から…?
 柏木は今年の1年の中で断トツに飛びぬけている。
 先だってのテストではオール満点に1点だけ足りなくて、体力テストでも運動部を抑えて1位。
 それに容姿もモデル並みと嫌味な位に何拍子も揃ったやつだ。

 その柏木に五十嵐が自分から…?
 ふぅん…。
 「別にもういいだろ。今は何もないし」
 「そうだけど」
 柏木が言えば三浦クンが口を尖らせている。

 五十嵐にとってかわって学年一可愛いと称されるようになった三浦クンは表情をクルクルと変えて確かに素直で可愛いと思う。
 五十嵐はいつでもつんとしたイメージだ。

 「翔太、帰るぞ」
 「うん」
 会長の言葉にぱっと三浦クンの顔がにこやかに笑みを作れば見ているこっちにも伝染してきそうだ。
 「六平、五十嵐を少し見てやるように。一部で反感を買っているらしい」
 「反感?」
 「ああ。ちょっと前にな…柏木にちょっかいかけて、その時の翔太に対する態度を見ていた奴がいて、五十嵐をこらしめた方がいいとか言っている奴らもいるらしい」
 泰明は会長の言葉を聞き、眉間に皺を寄せた。

 「和臣、ナニソレ!?俺、五十嵐は好きじゃないけど!関係ないだろ!」
 会長が肩を竦める。
 「俺に言われてもな。そういう事だから」
 柏木と副会長も複雑そうな顔。

 う~~ん…五十嵐はどんだけ反感買ってるんだ?一体何したんだか…。

 昨日の水族館での可愛い感じの五十嵐を思い出せば違和感を覚えるが、学校でのつんとした所だけ見ていれば分からなくもないとも思ってしまう…。
 五十嵐は薄いガラスで自分を囲っているようだ、と前に感じたがそれが間違っていないと確信する。

 
 その五十嵐が帰り道で泰明の前を歩いていた。
 ゆっくりとした足取り。
 秀邦の生徒でも自家用車通学はよほどの一部だけでほとんどの生徒は電車が多い。

 会長クラスにでもなれば当然だろうけれど、大会社社長や政治家の子息が多い中でそこいらの下請けの会社社長令息で自家用車通学だとかえって笑われてしまうのだ。
 なので五十嵐も泰明も電車。
 同じ線なのは昨日分かったが…。

 秀邦の生徒が多い中、やはり五十嵐は華奢で小さく感じてしまう。
 五十嵐のちょっと後ろを離れて泰明は歩いていた。
 周りの生徒が五十嵐を見ながらこそこそと何か話しているヤツもいる。

 アイツはいつもあんな中にいるのか…。

 中学校までは五十嵐の周りにヤロー共が群がっていたのに。
 幼稚だ、と泰明は溜息を吐き出した。
 そういえばサッカー部の奴らが五十嵐を囲うようにしていたが高校に入ってすぐになくなり、そしてそのサッカー部の奴等は放逐された。

 …会長だろう、とは思うけれど。
 五十嵐から三浦クンにでも乗り換えるつもりだったのか?
 会長を見ていればわかる事だろうにバカな事だ。
 五十嵐はいつもつんと顔を上げ、前だけを見て歩いている。

 …なんとなく痛ましい、とさえ見えてきてしまう。
 泰明は何気なさを装い、五十嵐のちょっと後ろについて歩いた。
 五十嵐を見てこそこそと話しながら歩いている奴らを見れば見た事はある。
 持ち上がり組みだろうが、五十嵐に対して嫌な雰囲気を感じたが、当の五十嵐はその雰囲気を分かっているのかいないのか、泰明にも分からなかった。
 
----------------
続きに拍手コメお返事です^^
 
KRB様
 自然ですか~?(笑)
 確かに!ウチの中だと自然ですね^^b(爆)
 隙間からありがとうございます~^^

nkmm様
 ふふふ…五十嵐くん可愛くなってますか?^^
 やはり受け子ちゃんは可愛くないと(^m^)
 ありがとうございます~^^

S様
 芋や蓮根wwww
 水族館気に入っていただけたようで^^
 よかったです(笑)
 ありがとうございます~^^

mr様
 五十嵐くん…可愛くなっちゃいました^^;
 若いっていいですね~(><)
 私は若い頃はなんもなかったですけどね(--;)
 ありがとうございます~^^

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

電子書籍

サイトはこちら

バナークリック↓ banner.jpg

Twitter

いらっしゃいませ~♪

リンク