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会計クンは鷹揚自若 14

14 駿也(SYUNYA)

 六平が朝もずっとついてきてくれた。
 昨日あんな事あったから…。
 でもいいのに…。
 あんな事されるのは理不尽だとは思うけれど…。
 それよりも六平にまたありがとうと言えなかった。

 電車から降りて教室に行くのも他の1年のクラスと駿也のクラスは反対で六平と同じ方の階段を使うので、駿也の後ろをずっと六平は歩いていた。
 そして駿也のクラスの所でじゃあ、と一言だけ言って六平はさっさと行ってしまった。
 何も言えてない。
 昨日は助けてもらったのに…。
 くいと駿也は顔を上げてクラスに入った。

 別に無視、というのでもないけれど、自分から積極的に話しかけることもしないのでクラスでも駿也は一人でいる事が多い。
 家でもだしそのほうが気を遣わなくて楽だ。

 「五十嵐、六平さんが呼んでる」
 休み時間、自分の席に座ったままだった駿也にクラスメイトが声をかけてきたので駿也は顔を上げた。
 呼んでる?
 …は?
 一瞬きょとんとなってからさっと廊下に視線を向ければ教室のドアの所に六平が立っていた。
 駿也は慌ててがたんと椅子から立ち上がった。

 心臓がどきどきとしてくるのを宥めながらゆっくり六平のいる方に向かう。
 …何の用事だ?
 「………何?」
 どうしてこんなつっけんどんな言い方になってしまうんだろう?
 「帰り、待っていろ」
 「……え?」

 「今日は俺は生徒会の役員会もないから待たせるって程ではないが、勝手に一人で帰るなよ?」
 じゃ、と六平は言いたい事を言い終えたのかそのまま行ってしまう。
 「ぁ……」
 呼び止めようとしたけれど呼び止めて何を言えばいいかも分からず結局行ってしまう六平の後姿を見ていた。
 なんで…?

 昨日あんなコトがあったからに決まってるからだろうけど…。
 何故って…きっと今度縁戚になるからに決まってるからだろうけど。
 でも六平は父と義兄の思惑に気付いているみたいなのに…。
 そのまま駿也は自分の席に戻って座った。


 クラスのどこかからこそりと六平さんのお姉さん、結婚、というキーワードが聞こえてくる。
 一条の関係者ならもう招待状も出したみたいだから知っている事だろう。
 六平の家も五十嵐と同じように系列に入っているが、六平のお父さんは一条家に気に入られているらしい。だから会長も六平を、というのとは違うと思うが、自分と比べたら納得出来る。

 押し付けがましくではなく気遣える六平と挨拶さえまともににできない自分。
 父親や義兄も欲に忠実なんだからそりゃ気に入られるはずないと思う。

 それがわかっててなんで六平は…?
 一人で帰るなよって…。
 朝も一緒の電車にわざわざ乗って、帰りも…?
 自分の為に…?

 そこになんの見返りもない事は分かっている。
 見返りがあるのは駿也の方だから。
 それを六平も知っているのに、それでも駿也の事だけをもしかして…心配で…?
 いや、まさか…。
 でも…。

 駿也は頭の中で六平の事ばかり考えていた。
 六平は去年までただ見た目がいい、というだけで駿也に群がってきていた奴らとは違う。
 そしてそれを遠巻きに見ている奴らとも、さらに手のひらを返したような態度の奴らとも違う。
 ただただ六平は普通だ。
 駿也はその普通が今までなかったから戸惑っているんだ。…きっと。

 駿也は自分が特殊な環境なのは知っていて、それこそが普通だったのに今更そうじゃない事をされても困るだけなのに。
 でも…六平に対して嫌とかそういう感情はない。
 サッカー部の阿部をはじめとする奴らには嫌悪が湧いていたが、六平には全然そんな感情は出ない。
 そりゃそうだろう…。比べる対象が間違っている。
 
 「五十嵐って一人が好きなのか?」
 「…は?」
 座っていた駿也の視界が暗くなったので見上げれば同じクラスの今年外部組で入学してきた八月朔日(ほずみ)だった。
 珍しい苗字。
 普通コレは読めないだろう。
 外部組なので駿也の事もよくは知らないのだろう。

 「別にそういうわけではないけど?」
 八月朔日(ほずみ)は背が高い。六平よりも背は高そうだ。
 確か陸上の高跳びで特待だったはずだからそうだろう。
 「さっきの人、生徒会の人だろ?」
 「…そう」
 ふぅん、と八月朔日(ほずみ)が鼻をならした。

 「あの人と一緒によくいる人も生徒会だよな?ちょっと線の細い感じの眼鏡かけた」
 「…ああ、七海(ななうみ)さん?そうだよ。書道家だから線も細いだろうね」
 「書道家!?」
 「え?ああ…そうだよ」
 驚いた八月朔日(ほずみ)に駿也が驚く。
 秀邦にずっといれば誰でも知っている事だけれど、…なるほど、外部組だと知らないのか、と変な所に納得した。
 
--------------
続きに拍手コメお返事です^^
 

AHN様
 ありがとうございます~/////
 こちらこそそう言っていただけて嬉しいデス^^
 受けクンは可愛くないと~(私的には 笑)
 コメントありがとうございます^^

KRB様
 忙しいみたいですね^^;
 寒くなってきたし体調気をつけてくださいね(><)
 可愛いになってましたか?
 副会長編では憎まれキャラだったけど~(笑)
 ありがとうございます~^^

MR様
 私も学園もの好きですね~(笑)
 書くのも楽チン^^
 ただ二人っきりがなかなか難しい(><)
 大人だと一人暮らしにさせちゃえばいいけど^^
 泰明、カッコよくなってた?(^m^)
 秀邦の中で一番スマートかもしれないな~^^
 ありがとうございます~^^

okw様
 読み返しもありがとうございます~^^
 泰明、しっかりものですね~(^m^)
 生徒会、おきわさんとこも作る?ふふふ…
 なんで自分が高校の時なんてまるきり興味ないのに、
 話だと生徒会って萌えるんでしょうね?(笑)
 もっとも私は女子高だったので元から萌える要素なかったですけど(笑)
 ありがとうございます~^^

S様
 敦が絡めば素が出てきます~(笑)
 特に五十嵐くん相手だと思えば^^;
 8割ですか?(笑)
 もちょっとで全オチします~(^m^)
 むさか!なるほど…日本語って面白いですよね~♪
 ありがとうございます~^^
 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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