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会計クンは鷹揚自若 21

21 泰明(TAIMEI)

 付き合って、ときたもんだ。
 そっと五十嵐の頬を撫でるとぎゅっと目を閉じて真っ赤な顔になっている。

 …可愛い。
 自分から付き合って、なんて言うくせに全然慣れてないのが丸見えだ。
 …サッカー部だった阿部と付き合ってたわけじゃない…?のか?
 そんな目をぎゅっと瞑られたら…。
 思わず泰明は顔を近づけ、キスをしていた。

 電車の中でずっと見ていたあの項も泰明のものでいいのだろうか?
 そんな事まで思ってしまい、自分で頭を抱え込みたくなる。
 思わずキスまでしてしまう位じゃ自分は相当五十嵐の事はもう気になる所の話ではなかったらしい。

 だけど五十嵐は違う、と泰明は分かっている。
 五十嵐は、駿也は別に泰明が好きなわけではなく、父と義兄の思惑、一条とのパイプ役の為に言っただけだ。
 それでもいいと乗っかったのは自分だ。
 重ねた唇を離すと真っ赤な顔のままで駿也は大きな目をそっと開け、泰明をじっと見た。

 「…する、…の?」
 「?」
 黒い大きな瞳を揺らしながら駿也がおずおずと聞いて来た。
 「する?何を?」
 駿也が何を聞きたいのか質問の意味が分からない。
 キス?…は今したけど?

 「……せ…っくす…」
 「はぁっ!?今?んなわけあるか!お前は熱あって寝てるんだろうが!大人しく寝ていろ!」
 何を言うかと思ったら!
 べん、と額を軽く叩くと駿也は泣きそうな顔で笑った。
 自分からそんな事を言い出すとは、やっぱり阿部との噂は本当だったのか?
 ちりと少しばかり泰明の心の中が苛立った。

 「え、と…たい、めい…?」
 「ああ?」
 「んん…なんで、もない」
 駿也の表情のどこにも尖った所がなくなってあまつさえ照れているような感じすら見えるのに泰明もふっと表情が和らいだ。
 「………携帯」
 「え?」
 「番号」
 「ぁ……」
 駿也は枕元に置いていた携帯を手に取り、そして泰明と番号を交換する。

 「いつでもかけてきていいから」
 「……ん」
 駿也が小さく頷いた。その顔は恥かしそうで、なんだこんな顔も出来るんじゃないかと泰明も満足した。
 さっきの付き合って、と言い出した時の顔と全然違う。
 あれは自分を作って言った態度だ。
 こっちが素。
 それは分かるけれど、どうにも理解できない。

 いや、駿也は父親と裕也さんから泰明と仲良くなってあわよくば会長とのパイプに、と考えてるのは見え見えだから、それを忠実に駿也は役目をこなそうとしているのだろう。
 それはわかるけど、この可愛い態度はなんだ?
 はぁ、と小さく溜息を吐き出し時計を見ればもう昼を過ぎていた。

 「…駿也、起きられるか?」
 「え?あ、う…ん」
 「昼。お前んとこの家政婦さんにお粥を頼んでたから。起きられるなら食え」
 「……う、ん」
 駿也の手を掴んで身体を起こしてやると、駿也はイルカを離して起き上がった。
 思ったよりも平気そうで泰明もそこには安心する。
 

 そのまま泰明は夜までずっと駿也についていた。やはり熱でだろう、時折とろりと駿也は眠っている。
 その間もイルカはやっぱりずっと抱きしめたままで、もしかして一週間ずっとこの状態だったのだろうか?と眠っている駿也に困ったな、と泰明は頭をかきたくなる。
 日を増すごとに駿也を気にする度合いが大きくなってきている。

 しっかり、すっかり秀邦にどっぷり自分も浸かっていたのだ。
 1週間でこんな気持ちに変化するなんて思ってもみなかったが、安心したように眠っている駿也を見ればまぁ、いいかとも思ってしまう。
 ちょっと洗面器の水を替えに行っただけだったのにそれだけで目を潤ませてどれだけ心が不安なのか、とも思ってしまう。

 家に一人の方がいいという位だけれど、泰明に関してはそうではないのだという事も分かれば、ますます特別な感情が出てしまっても仕方ない。
 だが分からないのは駿也だ。
 付き合って、と言った時の駿也は明らかに挑戦的な言い方をした。
 まぁ、駿也の気持ちの事を泰明が考えても仕方のない事だが。
 とりあえず本当に好きかどうかは置いておいて泰明がすでに駿也の中で家族よりも頼られる存在になっているという事は確からしいのに満足した。
  
-----------------
続きに拍手コメお返事です^^

 
kin様
 イルカ抱きアザラシちゃんwwww
 可愛いありがとうございます~
 お褒めもありがとうございます/////
 少しでも喜んでいただければ幸いですm(__)m
 ありがとうございます^^

nkmm様
 可愛い度upしてますか(^m^)
 そうなんです~^^;
 自己評価なかり低いものでした(--;)
 副会長編ではそうは見えなかったですけど^^;
 勿論、らぶらぶ幸せになります~(笑)
 ありがとうございます~^^

CHM様
 進展しましたが…読み通りです(笑)
 ぐるぐるいきます~(ちょっとですけど ^^;)
 副会長編も読み直し、ありがとうございます~/////
 そうなんです~。強がってたんですね~^^;
 ありがとうございます~^^

MR様
 なんで私の事だから焦らしって~(笑)
 だって皆様ジレ好きでしょ?(^m^)
 ちょいと進んでじれた~い!が!(笑)
 私も好きなのでつい…^^;
 ありがとうございます~^^

S様
 母になってたのね(笑)
 アレ?誰かの母にもなってなかったっけ?
 岳斗だっけ?^^;
 残念…まだ学園まで到達しないで
 ぐだぐだしてました^^;
 ありがとうございます~^^

nck様
 六平落ちました~^^
 ナイトですね(^m^)
 でもあんまりなってないような…^^;
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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