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2012.09.18(火)
「…起きられません」
ギブ、と明羅はベッドに潜った。
昨日の夜は怜の公言通りに明羅は好きにさせられ、それは前日の比ではなくて。
声も掠れている。
もう腕を動かすのだってひどい。
「いいよ~。一日寝てて下さい~」
怜は苦笑しながら言った。
「移動したい時も抱っこしてあげるから」
「……いいです」
本当は起きようと思えば起きられるんだけど散々喘がせられ、いいようにされ、イかせられまくった後では恥かしすぎる。
久しぶりに気絶するように眠ってしまったけど、身体はやっぱり綺麗になっていて、怜がちゃんとしてくれた後だと分かれば余計に恥かしすぎる。
怜はご飯を運んでくれようとしたけど、病気でもないので明羅はのろのろと立ち上がった。
「寝てていいって!」
「…大丈夫」
「……明羅いくらかタフになったね」
「…………そうじゃないでしょ」
明羅は力が抜けそうになった。
昨日よりもさらによろよろとソファに向かった。
硬い椅子はさすがに勘弁して欲しい。
ソファによりかかるように座った。
本当はパソコンに向かいたいんだけど、とても無理そうだ。
そっと指輪を撫でる。
冬休みの間は指にしててもいいよね、と思わず口端が弛んでしまう。
怜がご飯の用意をしてくれていると怜の携帯が鳴っているのが聞こえた。
「おう。お疲れ。……ん?ああ、それはいいけど…。え?いやそれは直接明羅に。…明羅」
怜が移動してきて電話を差し出してきた。
「俺?」
怜が頷いて生方だと告げたので明羅が電話を受け取った。
「…もしもし?」
『あ、明羅くん。…風邪?声ひどそうだね、大丈夫かい?』
声、そんなに違うのだろうか。軽く怜さんを睨んだ。怜はなんだ?という顔をしている。
「いえ、大丈夫です。あの…何か?」
『いや色々とあるんだ。まず明羅くん口座持ってる?』
「ええ、ありますけど」
『じゃ後で教えて?印税入るから。あと作曲の依頼が何件か来てるのと、怜のCDの音使いたいという依頼もあるんだけど』
「え?ええ!?いや、怜さんの方は別に怜さんがよければいいけど…。作曲も…?」
『それは詳細を後で持っていくよ。受ける受けないは任せる』
「ええと…はぁ」
生方に色々言われたけど現実味がなくて生返事を返し、怜に電話を返した。
「ああ、じゃ、あとで」
怜さんが電話を切ったけど全然何も考えていなかった事態に明羅は呆然とする。
「な?お前で儲けさせてもらうからって言ってただろ?」
怜がくすっと笑った。
「それはいいけど…俺まで?」
「当たり前だろう?作曲者様だ」
「……………」
考え込んでいると今度は明羅の携帯がなった。
めったにかかってこない二人の携帯が次々に鳴って驚く。
「お父さんだ…。CD聞いたかな…?」
怜と顔を合わせてから電話に出た。
「もしもし?」
『明羅っ!なんだあれは!?』
「え?CDの事?どうだった?聞いた?」
怜も評価が気になるのかじっと明羅を伺っている。
『聞いた。佐和子さんも聞いたって』
「あ、そう?で…どう?」
なんて言われるか。ちょっとどきどきしてしまう。
『うちの息子は天才くん?』
「はぁ!?」
『怜くんいる?』
「あ、いるけど…ちょっと待って。怜さん」
今度は明羅が怜に電話を差し出した。怜がちょっと咳払いしてから電話に出る。
「もしもし…はい、あ、いえ、そんな迷惑はないですから」
多分明羅が迷惑をかけて、とか言われてるんだろう。
「いえ、あれは本当です。俺は出来上がった曲を弾いただけで。はい…ええ…」
怜が明羅を見てうっすらと笑みを浮べる。
なんだろう?
「え!?あ、はぁ………あ、それは構いませんが…」
怜が大きな声をあげ困惑の表情を浮べた。
「え…!?あ、はい…いや、そんな、…ええと…はぁ…。はい…」
怜の眉根が寄っていく。
何か無理難題言われているのだろうか?
明羅は心配そうに怜を見た。
「……分かりました。はい。……明羅」
怜が疲れたようにして電話を戻してきた。
「もしもし?何怜さんに言ったの?」
『え?そんな言ってないよ?正式じゃないけどうちのオケでピアノ協奏曲しませんか?ってのとお正月終わったら日本にちょっと佐和子さんと帰るからその時に家に来て欲しいと言ったんだ。明羅、ピアノ協奏曲も作れるね?作っておく様に!じゃ』
「え!?ちょっと!……」
ツーツーと無情な音が続いた。
「れ、怜さん…お父さん、何言ってた…?」
「………」
怜もかなり困惑して頭を傾げ、眉が寄ったままだった。