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会計クンは鷹揚自若 26

26 駿也(SYUNYA)

 廊下で七海さんと一緒にいる泰明を見たくなくて泰明を無視するようなことをしたから罰があたったのか?
 だって泰明が自分じゃない誰かに優しくしてる所なんて見たくなかった。
 駿也だけにしてくれればいいのに…。
 思わずそう思ってしまった。
 駿也には誰もいないのに…。

 どくんどくんと痛む足に顔は歪む。それだけにじゃないんだけど、それが駿也の心の浅ましさを隠してくれているように思えた。
 「駿也、その足じゃ家に帰ってもひどいだろう?……うちに来ないか?」
 「…え?」
 「お前、家に行っても一人だろう?」
 「そんな……いい、よ。大丈夫、だ…」
 「ひどいと熱出たりするんだぞ?それなのにお前を一人とかに出来ない。そうしろ。あと俺の家にには連絡入れとくから。お前の家だって反対なんてしないだろうし、ウチだってするはずないから」

 自分の家は…それはそう、だろうけど…。
 泰明はそれでいいのだろうか…?
 泰明がいいのなら、一緒にいたい、と…思ってしまう。
 だって泰明の傍は落ち着かなくはなるけれど居心地がいいんだ…。
 電車のホームでも押され、今度は階段…。
 そんな事されるくらい自分はいらない存在なのか?
 それでも泰明がこうしていてくれる事に縋ってしまいたくなる。

 駿也が頷くよりも前に泰明は携帯を取り出した。
 「ああ、俺。学校で駿也が階段から落ちて今タクシーで病院に向かってるんだけど、ああ…足。かなり腫れてる。駿也の家誰もいないから…ああ。頼む。…え?あ、そう?じゃ頼む。大学病院だ。じゃ」
 後部座席に横向きになって座っている駿也は足を泰明の膝に乗せていた。
 動かすとかなり痛くて動けない。
 ますますじんじんと熱が上がってきたみたいに感じる。

 「駿也」
 電話を切った泰明が名前を呼んだのに駿也はどきりとしてしまう。
 「病院までうちの母親迎えに来てくれるって。あとは俺んち、な。五十嵐の家には連絡入れてくれるって」
 「…ん」
 泰明のお母さんもそれでいいならと駿也は素直にこくりと頷く。
 きっと泰明のお母さんも五十嵐の家の事情も駿也の事も知っているんだ。

 すると泰明が手を伸ばして安心させてくれるかの様に駿也の頬に触れた。
 「…ん?お前熱出てるんじゃないか?そういや顔も赤い」
 「え?そう…?」
 泰明がいるから、じゃないのだろうか?
 でもまさかそうは言えない。

 病院に着くと泰明は人目があるにもかかわらず駿也を抱き上げたまま病院内を闊歩し、その後ろでタクシーの運転手さんが荷物を持ってくれた。
 歩く人が視線を向けてくるけれど駿也の足に巻かれた包帯に納得の表情を浮べる。だけど、それでも恥ずかしいのに変わりはなく、駿也は隠れるように泰明の胸の方に顔を向けた。
 …そうは思いつつ、恥ずかしいけれど嬉しいという気持ちもあるんだ。

 「…やっぱり熱いな」
 「…え?」
 泰明が呟いたのに顔を上げると目の前に泰明の顔があってじっと駿也を見つめていた。
 「…熱出てきてるな」
 怪我の所為の熱なのか泰明のせいなのか駿也には判別つかない。
 泰明がいてくれるならどうでもいいとさえ思ってしまう。
 なんかもう泰明がいればなんでもいいような気がしてきて、たった1週間ちょっとでこんなに自分が変わるものなのだろうかと不思議にさえ思った。
 
 診察してもらうと捻挫と打撲。
 解熱剤ももらって診察を終える頃、泰明のお母さんが迎えに来てくれて、泰明に当然の様にして抱きあげられてまた車に乗せられた。
 「…すみません」
 「いいのよ~」
 おっとりとした感じのお母さんだ。

 後部座席に泰明と一緒に乗り込むとなんか頭がほわんとしてきた。
 「駿也寝てていい」
 駿也がとろりとしてきたのに泰明が気付いたらしい。
 「ん…」
 車のシートに沈んでいくような感覚に陥る。

 「熱が出てきたの?」
 「ああ」
 泰明とお母さんの会話もどこか遠くで聞こえる感じだ。
 「風邪の熱下がったばっかなのに…」
 はぁ、と泰明が溜息を吐き出して駿也の髪を撫でたのが分かった。
 足はやっぱり泰明の膝の上で駿也は横になっている。

 「とりあえず俺のベッドに寝かせるから。足だからベッドの方いいだろ。それについてなきゃダメそうだし」
 「そうね…。でもびっくり。泰明がこんなに駿也くんに…」
 泰明のお母さんの笑っている声。
 「…自分でも驚きだ」
 泰明の声。そして手はずっと駿也の身体のどこかに触れている。
 髪だったり頬だったり。
 それに安心感を覚えてしまう。
 泰明の声と体温…。
 駿也は知らず知らず目を閉じていた。

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続きに拍手コメお返事です^^

 
 
SW様
 一番ありがとうございます~^^
 やきもちですねぇ~
 ほもぉな学校、ほもぉなバンド…
 あはははは~!いいですよね?^^b
 ありがとうございます~^^

ななし様
 ありがとうございます~^^
 体調は悪くても書き終わってるので
 コピって保存しておけば
 クリック一つで更新できるので~(笑)
 貯めておかないといけないですけどね^^
 ありがとうございます~m(__)m
 あ、フォローもありがとうございます~////
 
okw様
 返信不要とありましたが…
 そうなんです~(><)キリ番踏んで下さる方いらっしゃって…
 誰も来ないだろうと思ってたのですが^^;
 ありがたいです~(T-T)
 新人(笑)そんな事ないですよ~(^m^)
 古くても新しくても
 ありがたいです~(><)
 ありがとうございます~^^

FNH様
 ありがとうございます~^^
 もうそろそろ書き終えます^^;
 6p…かな。多分^^
 なんか情けない事になってるんですけど(笑)
 カッコイイが一つもな~~~い(爆)
 尚なのでいいかな?と思いつつ(^m^)
 うpまで少々お待ちくださいね~(><)
 残念王子は仕方ないけど^^;残念仕上がりな気が…(--;)
 ま、いっか…と開き直り(笑)
 お気遣いもありがとうございます^^

thz様
 拍手コメにお礼入れ忘れました~^^;
 ありがとうございます~^^
 リク…がんばります(><)
 
S様
 1番ありがとうございます~(笑)
 先にね^^
 そうなのね~!結果的にいい仕事になってます^^b
 何回コメント入れてくれてもいいですよ~^^
 どうせ遅い時間は私は爆睡しているので(笑)
 あ、本体の拍手ね~!なかなかあっちまでって
 あんまりいないのですけど、とろりと押して下さる方も
 いらっしゃって!ありがたいです(><)
 どうやって表に出すのか私分からないんですよ^^; 
 リクないんだ?だよね~!二階堂父話とかね(^m^)
 ↓なんですか?大丈夫~~~?(--;)
 元気出して頑張ってくださいね(><)
 ありがとうございます~^^

kin様
 ありがとうございます~^^
 100万ざっとは私も数えられるかな…^^;
 数えられてもやっぱり確認はしますよ~(笑)
 泰明、そうなんですよ…まるでオヤジみたい…
 …とか言っちゃいけませんね^^;
 う~ん…残念ながらスカッとはないんです~
 うやむや~~~~^^;
 どいつもこいつも、に反応もありがとうございます~^^
 分かっていただけましたか~?(^m^)
 ありがとうございます~^^ 
  

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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