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会計クンは鷹揚自若 30

30 泰明(TAIMEI)

 1階にあったソファベッドを運んできて夜は駿也と並んで寝た。
 熱はまだあるけれど息苦しそうではなくなっていて、すぅすぅと安心したように駿也が眠っているのに泰明はほっと安心する。
 連れて来て正解だった。
 どこか寒々しい駿也の部屋だ。
 自分の家だったら駿也はきっと一人でイルカを胸にひたすら一人で痛みも熱も我慢するのだろう。
 それを考えるとたとえ怪我や熱でなくとも駿也を帰したくなくなってきてしまう。
 

 朝、目が覚めて起き上がると泰明はすぐに傍らで眠っている駿也の額に手をかざした。
 昨日よりは熱は下がっているみたいだがまだ少し熱い。
 足もまだ腫れも酷いし今日は学校を休んだ方がいいだろう。
 起きる気配のない駿也からそっと離れて部屋を出た。

 「駿也くんは?」
 母親はすでに起きていて朝飯の用意をしていた。
 「まだ寝てる。けど熱ちょっとあるな」
 「…今日は休んだ方がいいわね」
 「ああ。悪い。頼む」
 「全然いいわよ。可愛いし」
 泰明が母親に頼む、と言うのもおかしな事だと思いながら苦笑した。
 

 「駿也…」
 泰明が学校に行く時間になっても眠っている駿也にそっと呼びかけると駿也が目を覚ました。
 「たい、めい…?」
 一瞬寝ぼけていたのか疑問形で泰明を呼んだ後駿也ははっと目を大きく開けた。
 「学校行く時間?」
 「ああ、お前は熱まだちょっとあるみたいだし今日は休んでろ。ウチの母親はいるから」
 「………うん」

 駿也が心細そうに返事するのに後ろ髪を引かれそうになる。泰明も休んでいいなら休むところだが、さすがになんでもないのに休むとは言えない。
 「学校終わったらまっすぐすぐに帰ってくるから」
 「…ん」
 「…足は?」
 「……昨日よりずっといいみたいだ」
 「それならいいが。だからといって動き回るなよ?大人しくしてろ。本読むとかゲームとかなら勝手に使っててももいいけど、とにかく動き回ればその分治り遅くなるから大人しく。いいな?」
 「…ん」
 泰明はすでに着替えを終わっていて後は出るだけだ。

 「あ、の…」
 「ん?」
 「…はや…く…帰って…きて、ね…」
 駿也が顔半分を布団に隠しながら小さく言うのに泰明はぐっと心が捕まれて思わず駿也を抱きしめたくなってしまう。
 「……ああ。…駿也」
 駿也が計算しないで言ってる事は見て分かる。
 思わず泰明は駿也の頬を手で撫でると顔を近づけて軽くキスした。
 「大人しくしてろよ」
 「ん」

 顔を真っ赤にしてるのに離したくなくなってくるのを我慢して泰明は駿也から手を離した。
 「じゃ、行ってくる」
 「…いってらっしゃい」
 自分の部屋で自分のベッドに横になっている駿也からいってらっしゃいと言われるのが変な感じはするが悪くない。
 ついともう一度頬を撫でて泰明は部屋を出た。
 「じゃ、頼む」
 玄関で母親に駿也を頼んでいつもの様に泰明は家を出た。



 学校に着いて職員室に行くと駿也のクラスの担任に駿也の欠席を伝える。保健の先生まで縁戚になる事を知っている位で泰明が報告に行ってもそこに疑問も向けられない。
 しかし、駿也の怪我は母親から五十嵐の家に連絡が行っているのに駿也の携帯が鳴る事はなかった。
 裕也さんが由梨によろしく頼む、と言ってたとは聞いたが、心配なら駿也に直接連絡するだろうに誰もしてこなかったのだ。

 駿也の家族に憤りが浮かぶが、反対にそれならば駿也は泰明に余計依存してくるかもしれないと思えばそのままでいいか、とも思ってしまう。
 家族の前で終始俯きっぱなしの駿也と学校でのつんとした駿也、どちらも本当の駿也でないのは泰明だけが知っているのかも、と思えば顔が緩んでしまう。
 そしてあの朝の可愛い早く帰ってきてね、には参った。

 じっと会長と副会長に視線を向けられて泰明ははっとした。
 報告に会長のクラスに来て、二人の前だったのを失念していた。
 「………バカ面だな」
 会長にふっと鼻で笑われた。
 「……スミマセン」
 泰明が苦笑すると副会長が怪訝そうに泰明を見ている。
 「で?容態は?」

 「熱は昨日より下がり、足も大分楽になったとは言ってましたが、今日はまだ微熱があったので、無理しないようにと」
 「ああ。その方がいいだろうな」
 会長が頷いた。
 「……犯人見つけてどうする?」
 「それが…駿也は別にいい、と…言ってましたが…もう一度聞いておきます」
 会長が思案顔をしてから泰明を見た。

 「五十嵐はまだ歩くのはひどいのだろう?明日からしばらくの間、うちの車をまわしてやろう。帰りも」
 「……ありがとうございます」
 「六平の家でいいな?」
 「はい」
 お願いします、と泰明は一条会長に頭を下げた。
 
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続きに拍手お返事です^^
 
 
MR様
 初々しいですか?^^;
 脇役の時とがらりと違います(--;)
 え?キスだけでいいですか?それでいいなら
 私が助かるのですが(笑)
 エロ書き飽きた…^^;
 ありがとうございます~^^

nkmm様
 初恋ですね~(^m^)
 こんな時期…私もないですね…
 もうはるか遠い過去…(笑)
 楽しんでいただければ幸いです♪
 ありがとうございます~^^

USGちゃん様
 副会長編だとね~^^;
 そう思われても、そのとおりかな、と(笑)
 でも気に入っていただけたみたいで
 よかったです~(^m^)
 ぬいぐるみ…それは寂しいですね(><)
 別に誰に迷惑かけてるのでもないので
 治さなくてもおkです^^b
hitもコメントもありがとうございます/////

AHN様
 ふっふっふ…攻め目線ですか~?(笑)
 もちょっとジレジレでお待ちください^^;
 ありがとうございます~^^

S様
 確かに!小鹿ちゃんだ!!!ナイス!^^b
 お尻ぺんぺんのあとの揉み!(爆笑)
 どうぞどうぞ~(笑)
 ありがとうございます~^^



テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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