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会計クンは鷹揚自若 34

34 泰明(TAIMEI)

 白い肌に黒い髪が濡れて光ってるのに思わず魅入ってしまったらエロオヤジみたいだと言われてしまったのに苦笑する。
 なるべく見ないようにと思っていたけれど、目に入ってしまうし、腕に抱いたり、寄りかかったりされればどうしたって意識するに決まっている。
 風呂からあがって駿也をソファに座らせ足に湿布を貼って包帯を巻いてやっていると母親が呆れたように見ていた。

 「泰明がねぇ…」
 「?」
 駿也がきょとんした表情。
 「なんだか安心。人に興味ないと思ってたら」
 「限定だけどな」
 「それでもいいわよ。何にも誰にも興味ないと思ってたから。駿也くん、よろしくね?」
 「……?」
 何の事?と言わんばかりの駿也の表情だ。

 「泰明って何にも興味ないのよ。人も物も。いつもなんでもいい、どうでもいいみたいな感じ」
 「いや、いくらなんでも全部そうじゃないだろう」
 「え~、そんな感じよ。冷たいわけじゃないんだけどねぇ。それが駿也くんにはまぁ~随分と甲斐甲斐しい!」
 ちらと駿也を見たら顔を真っ赤にさせている。
 泰明は黙って駿也の足に湿布を巻いた。
 「きつくないか?」
 「だい…じょうぶ」
 声を小さくしながらもちゃんと駿也が答えた。


 「あ、の!」
 「うん?」
 ご飯も食べ終わって駿也を抱き上げて二階の泰明の部屋に戻る時に駿也が腕の中で身体を小さくしながら声を出した。
 「さっきの…泰明のお母さんが言ってた…」
 「ああ」
 「…限定…って…?」
 窺うような駿也の顔に泰明はふっと表情を緩めた。

 「駿也は特別だろう?付き合ってるんだろ?」
 「え…っ!…あ…」
 「そうじゃなきゃウチまで連れて来たりとかしない。ましてこんな事とか?」
 顔を近づけて軽くキスする。
 「た、たいめ、いっ!由梨さん、いたら…」
 「ん?帰ってこないだろ。裕也さんとマンションにもう住むって話だぞ?」

 「あ、そう…なの?」
 「そう。だからウチの二階は俺とお前だけ。そして俺の部屋の下は空き部屋だから物音も気にしなくていいけど?」
 「そ…そ…それ……っ!」
 ますます駿也の顔が赤くなっていくのに駿也は意味がちゃんと分かっているらしい。
 「足がそれじゃ無理だけどな。さすがに俺だって怪我人に手は出さないから」
 「だ……だ……」
 駿也が顔を真っ赤にしながら口を何回もぱくぱくとさせる。

 「なんだ?」
 「だす……気……ある、の……?」
 「は?」
 「だ、…って…俺………泰明…知って、る…だ、ろ…?」
 …阿部達サッカー部の事か…。
 「ああ……。でもあれはお前は好きで、じゃないだろう?違うか?」

 「そ、うだけ、ど……なんで…?知って…?」
 「いや、分かったのはこうして駿也といるようになってからだ。……バカだな…助けを求めればよかったのに」
 「だ…て……俺、なんか…誰、も……」
 「そうやって壁作ってるのが自分なんだろ。会長にでもなんでも相談すりゃよかったんだ」
 「そんなの…俺なんかが…」

 「会長は助けを求められた者を無碍にする事はしない」
 「ぁ……」
 駿也の目にみるみる涙が溜まっていった。
 「泰明…俺、言って…よかった…の?……やだ、って……?助けて……って?」
 「当たり前だ」
 泰明は力を入れてぐっと駿也を抱きしめた。
 「やだった……俺……ずっと……」

 ぼろぼろと大粒の涙を駿也が零し始めるのに泰明は自分の部屋の自分のベッドにそっと駿也を横にして、そのまま抱きしめた。
 「た、い…めい…」
 「もっと言え?家での事でもいい。寂しい、だろ?」
 「寂しい…いつも…一人……ずっと…」
 駿也が泰明の服をぎゅっと握った。
 「ああ。…俺はずっと傍にいてやる…駿也。一人にしない。何かあったら助けてやる」
 「たいめ、い…」

 駿也の周りに張り巡らされたガラスの薄いケースが崩れ落ちたように感じられた。
 嗚咽を漏らしてしがみつく駿也の華奢な身体を抱きしめて背中を撫でて宥める。
 小さい子のように駿也は泰明にしがみついていた。
 幼い頃から駿也はきっと誰にも縋った事なんてないのだろう。
 だからあの自分の部屋でずっと駿也はイルカを離さなかったのだ。
 あんなそれほど大きくもないぬいぐるみなんかに縋る位駿也は愛情に足りなかったんだ。

 「駿也…」
 耳に何度も名前を呼んだ。
 ここにいる。守ってやる。
 そんな気持ちが湧いたのは初めてだった。
 特別…。
 人を好きになるなんて自分では思ってもいなかった。
 会長や副会長を見ていた時にどうして?と思っていたが、なるほど、この気持ちは自分で止める事は出来ないらしい。
 愛しい、という思いが泰明の中に溢れていた。
 
----------------
続きに拍手コメお返事です。
ちょっと多いです^^;
溜め込んでてスミマセン…   
kin様
 はい、足よくなるまで我慢です~^^;
 そうですね!イルカ持ってきて!ですけど、
 部屋に入られるのも触られるのもイヤかも…(笑)
 攻め男くんは聡くあってほしいですね~!でも世の中の
 男性は全然聡くないですけどね…(--;)
 ありがとうございます~^^

S様
 確かに!上書き必要ですね(><)
 いいこと言う~~~~~~♪(笑)
 あ、ぴょーーんないです^^
 うふふ…大好きありがとうございます~(^m^)
 私もテレる/////(笑)
 ありがとうございます~^^

okw様
 いやー…ホント失礼いたしました^^;
 駿也可愛い、ありがとうございます~^^
 お風呂タイムはホントにただお風呂なだけです~(笑)
 凝りに気をつけながらがんばってくださいね~(><)
 ありがとうございます~^^

hrn様
 お久しぶりです~^^
 お風呂好きね(^m^)
 これまでの受けと違いますか~?
 自分ではよく分かってないんですけど^^;
 小野大輔さん…?
 スミマセン…疎くて分からないです~^^;
 あとでググってみます(><)
 ありがとうございます~^^

R様
 お久しぶりです~^^
 可愛かったですか?/////
 悶えて…ありがとうございます~(^m^)
 コメントもありがとうございます~^^

nkmm様
 可愛すぎる…?昨日のどこが可愛いっけ?^^;とか…
 皆様に可愛い言われて???になってました(笑)
 そうなのですね~(><)
 やっぱりマイナス思考になるし、
 うまく付き合いって出来なくなりますよね…
 ちゃんと泰明が修正してくれるでしょう~~~^^b
 ありがとうございます~^^

yuk様
 読み方あってましたか^^
 ふふふ…歴浅くても~(^m^)
 大っぴらは私もしてません(笑)
 こそこそですよぉ~~~!
 こんなの書いてるなんて言えんです…(爆)
 是非!何かの折にはお聞きしたいですっっ!
 よろしくお願い致します~~~~m(__)m
 年上攻めいいですよね(^m^)
 私もお好みです~!(笑)
 ありがとうございます~^^ 

AHN様
 あははは~~~!エロくならない…wwww
 すみません~~~(笑)
 え~?私だけですかぁ?(^m^)
 まだ早い?けどもうちょっとですぅ~(笑)
 ありがとうございます~^^

AKR様
 日常だけでもいいですか~?(^m^)
 そう言っていただけて嬉しいです~~~/////
 日常だけでいいならいくらでも書けますけど(笑)
 むしろえちなしの方が書くの私楽なので~^^
 ありがとうございます~^^ 

テーマ : 自作BL小説
ジャンル : 小説・文学

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