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会計クンは鷹揚自若 44

44 駿也(SYUNYA)

 泰明はあんな事言ってたけど…。

 駿也は校庭を見ていた。
 泰明達のクラスが体育の準備をしている所だった。
 やっぱり泰明は七海さんと一緒にいるのが多くて駿也はじっと校庭に、泰明と七海さんに意識を向けてしまう。
 泰明は優しいけれど、キスはしてくれたけれど、触ってもくれたけれど…。
 それ以上はなかった。

 朝、七海さんを気にして思わず聞いてしまったけど…。
 傍から見たら七海さんは泰明の言っていたように見えない。
 反対に言えば、泰明はそれ位七海さんの事を分かっているっていう事なんだ。
 泰明のお母さんは駿也がいた時によく泰明は何にも人にも興味なくて、って言ってたけど、そうじゃないと思う。
 そうだったら駿也だって、七海さんだってそれに会長だって泰明と一緒にいるはずない。
 信用に価する人だから…。
 
 あ…。
 じっと外を見ていたら泰明が駿也の方を見ていた。
 見てる…、の?
 駿也が窓から見ていたのに気付いている…?
 やっぱり…見てる、かも…。

 泰明と視線が合ったのに駿也の心臓が大きく跳ねた。
 まさか目線が合うなんて思ってもいなかった。
 思わず駿也は屈んで泰明から見えないように隠れた。
 だって…。
 心臓がうるさい。
 ちょっとしてからそっと立ち上がり、校庭に視線を戻すと泰明はもうすでにこっちを見ていなかった。
 でも見てた、よな…?
 泰明が少しでも自分を気にしてくれれば嬉しいと思ってしまう。

 泰明…。
 何度か泰明は可愛い、と言ってくれたけれど自分がそうじゃないのはよく分かっている。
 素直でもない。
 ちゃんとお礼とかも言えなくて…。
 こんな自分が嫌で仕方がない。
 自分で自分に嫌気がさすのに泰明に好かれるはずないだろ…。
 

 「五十嵐?なんか怒ってるのか?」
 「え?…いや、別に…?」
 休み時間に八月朔日が駿也の顔を覗きこんで聞いて来た。
 思わず眉間に皺を作っていたらしい。
 「七海さん…綺麗…だよな…」
 駿也がぽつりと呟く。
 「えっ!あっ!そ、そうだな」
 八月朔日が慌てたように頷いたのに駿也は驚いた。

 「……やっぱ普通の共学からここにきた八月朔日もそう思う?」
 「あ、まぁ…そりゃ…」
 「だよな…きっと泰明だって……。……綺麗だ、とは言ってたし…」
 「えっ!」
 「?」
 八月朔日がさらにわたわたと慌てている。

 「六平さんって……五十嵐と付き合ってる、んじゃない、の?」
 八月朔日が駿也の耳に顔を近づけてこそりと聞いて来たのに駿也は瞬時に真っ赤になってしまった。
 そうだ!付き合って、と言って、いいだろうと泰明が言ったんだから、一応付き合ってるんだ!
 「い、い、い、…いち、おう…」
 「…なんだ…。…だよな。あ~、びっくりした」
 なんで八月朔日が驚くんだ?
 思わず駿也はきょとんとして八月朔日を見上げた。
 それに…。

 「…だよな?」
 「え?ああ。だろ?」
 だろ、って…。そんな当然のように…。
 …というか八月朔日はずっと秀邦だったわけでもないのに順応しすぎだろう!
 いいけど…泰明と付き合ってる、と誰かに言ったのも初めてで駿也も落ち着かなくなってくる。
 「八月朔日は……なんでそんな…」
 男同士で、なんで聞いてもこんなに平気そうなんだ…?
 「あ?ええ、と…」
 駿也の言いたい事を八月朔日も分かったらしい。

 運動部らしい短い髪の毛をかりかりとかく。
 「俺だけ、ってのもずるい気がするから…それに、六平さんも気になるし」
 「?」
 駿也はうろたえる八月朔日をきょとんと見上げた。
 ずるい?泰明が気になる?
 「…俺、…その、七海さんが…」
 日に焼けた浅黒い顔を仄かに赤くして八月朔日がこそりと駿也の耳に囁いた。

 「え…ええっ!!」
 「ちょっ!五十嵐っ!」 
 八月朔日が慌てて駿也の口を塞いだ。
 大丈夫、と駿也がこくこくと頷くと八月朔日が手を離した。
 駿也が思わず大きな声を出してしまったのでクラスの奴が何事かと見ていたのにさらに八月朔日と顔を近づけた。
 「ま、マジで…?」
 「ああ…。だからほら…六平さん、いっつも一緒いるし…でも五十嵐がいるから、と思って安心してたんだけど…?」
 かっと駿也は顔を赤くした。

 「い、い、一応…は…」
 「一応ってなんだ?」 
 だって別に泰明に好きって言われたわけじゃない。
 でも付き合って、る…はず。
 …付き合うって何するの?
 キスはしてる、けど…。
 駿也は好き、だけど…。
 八月朔日は七海さんを、好き…?
 駿也は計るようにじっと八月朔日を凝視した。

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続きに拍手お返事です^^ 
 
S様
 はい、ハッピーにしかならんのですけども(笑)
 ま~だ、ぐだぐだしとります^^;
 あ、でもあっという間に~にはなるかな?
 泰明くんもう切羽詰ってるので(笑)
 ありがとうございます~^^

msm様
 そんな感じでしょうね~~~(^m^)
 そりゃもう守ったげたい~!
 …だと思います^^;
 ありがとうございます~^^

okw様
 ありがとうございます~^^
 可愛い…////カワイすぎ^^;
 変わりっぷり激しすぎますね~(笑)
 そうなんですよね!早くイタした方がいいと思うのですが^^;
 なかなか進みませんでした(--;)
 ありがとうございます~^^

KRB様
 大抵無自覚ですねぇ~!
 だから可愛いんですけど!自覚してたらあんま可愛くない^^;
 泰明、苦労人になりそうです^^;
 きっともちょっとしたら駿也は色々振り回しそう~(^m^)
 ありがとうございます~^^

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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