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約束。 3

 学校を終えて帰る時に日和はわざわざ職員室の前を通って帰る。
 ちょっとでも先生の姿が見たくて。
 好き…なのかなぁ?
 戸田に言われた事を考えていた。
 好きなコ…って今までいなかった。

 小さい頃はおにいちゃんと結婚するって泣いた事もあったな…と思い出す。
 思い出すというかそれは日和は覚えていなかったんだけど、日和の親にも先生のお母さんにも未だに笑われながら言われるから。
 日和が引っ越してきたのが3歳か4歳の頃で先生が中学生位だった。優しくてかっこよくて、だから結婚するって騒いだんだとは思うけど。
 小学校位には男同士で結婚は出来ないって分かってた。

 それでもやっぱり先生が一番で…。
 それがずっと。
 「…ぁ…」
 いた。
 職員室の開いたドアからちらと姿が見えてそれに満足して日和は学校を出た。

 あれは日和が小学校なってからだ。
 先生が高校生。
 高校生でも先生は日和の事を可愛がってくれてた。
 自分だってきっと色々あったはずなのに、学校から帰ってくると必ず日和の家か先生の家で一緒にいた。
 先生が勉強してたのかな…?
 相手してくれなくて日和がとろとろと眠くなってきてころんと転がってうとうとしてたんだ。
 


 「ひよ…?寝てるのか?風邪ひくぞ」
 「だい…じょぶ…だもん」
 おにいちゃんが日和の傍にきて顔を見てるのが分かっておにいちゃんに抱きつく。
 「終わった?」
 「まだ」
 なんだ…とがっくりするとおにいちゃんが日和の頭を撫でてくれた。
 「ちょっと待ってろ」
 「うん」
 待ってるのもおにいちゃんがいれば平気。おうちで一人だとすごくさびしくなるのにおにいちゃんがいれば平気だもん。

 「おにいちゃんと結婚って出来ないんでしょ?」
 「出来ないだろ」
 「でも、じゃあずっと一緒いたい時ってどうすればいいの?」
 「いれば?……でもきっとひよは大きくなったら俺なんかいらなくなると思うけど」
 「なんないもん!」
 なんでそんな事言うんだろ。

 「…ひよがずっと俺といたいって…大きくなっても言うなら…考えてやってもいいけど?」
 「ほんと!?」
 「…ああ」
 おにいちゃんが笑った。
 「…ひよはどうして一緒いたいって思うんだ?」
 「どうして?おにいちゃん好きだから。好きになったら結婚して一緒にいられるんでしょ?あ、でも僕も男の子だから結婚できない…けど…あのね、テレビでチューしてたの!好きになったらチューしていいの?お母さんが大きくなったらね、って」

 ぷっとおにいちゃんが笑った。
 「…する?」
 「いいの?」
 オトナになってないけど?
 「結婚する人とって…お母さん言ってたよ?」
 くすと笑いながらおにいちゃんの顔が近づいてきた。

 チュー!

 すっごくドキドキしてる!
 おにいちゃんの手が日和の頬っぺたを撫でてくれてそしてちゅっと小さな音をたててチューした。
 なんかむずむずする。
 「ひよ?…顔真っ赤」
 「だ、だ、だって!……ね!おにいちゃんもひよ…好き?好きじゃないとチューできないんでしょ?」
 「好きだよ。ひよ…」
 「ひよもおにいちゃん好き!…大好き!お父さん、お母さんよりもおにいちゃんのほう好き!」
 


 大きくなっても好きだったら考えてくれるって言ったのに…。
 日和の事を好きと言ってくれたのに…。
 日和が小学校4年になる時、おにいちゃんは大学に行くって遠くに行ってしまったんだ。
 毎日泣いて泣いて…。
 でもひよりが大きくなってもおにいちゃんの事が好きだったら一緒にいられるって思ってたのに…。

 日和だっていつまでも小学生じゃない。
 友達が好きな子できたとか、中学校になれば誰と誰が付き合ってるとか、そんな話題も多くなったし、結婚だってキスだってどんなものかしたことなくたって分かってくる。
 分かってくるけど…、じゃあどうしておにいちゃんは日和にあの時キスしたんだろう?とすごく気になった。

 好き、ってどんな好き?
 日和はずっとおにいちゃんだけが好きだ。
 だから中学校の時におにいちゃんのお母さんからおにいちゃんがこっちに戻ってきて高校の先生になったって聞いて、レベルが日和からしたら高い学校だったけど、頑張って勉強しておにいちゃんのいる学校に入ったのに。
 お隣の家にも全然帰ってこないおにいちゃんに会うために…。
 でもうまくいかない…。

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続きに拍手コメお返事です~^^

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